三渓園・合掌造り/旧矢箆原家住宅 … 建築の旅・WanderVogel2012/09/20

荘川村合掌造り 旧矢篦原家
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横浜市本牧の三渓園の中に移築されている、岐阜県白川郷(荘川村)の合掌造り住宅・旧矢篦原(ヤノハラ)家住宅(国指定重要文化財)です。

江戸時代宝暦年間(1751〜1764)に、飛騨三長者のひとりといわれた岩瀬の(矢篦原)佐助の家として飛騨高山の大工によって建てられたと伝えられていて、御母衣ダムの建設で湖底に沈む運命にあったものを昭和35年(1960)に三渓園に寄贈され、移築されたものだそうです。

大きな茅葺き屋根を妻側から見ると、豪壮な入母屋造の上段の窓の火灯窓(火頭窓)形式の意匠が珍しいようで、この家の格式の高さを表している、と説明書きには記されています。
玄関は平入で、式台付玄関を持ったかなり位の高い上流農家であったことがうかがえます。

隣村に位置する越中五箇山の合掌造り住宅・江向家住宅(blog/20120917)と比べても、同じ茅葺き住宅であっても、その系統の違いが一目で解ります。

古建築を巡る旅は、コンテンポラリーな新しい建築を見て回る面白さとは少しベクトルが違い、建築本体への新鮮な興味や新しい発見/提案など直接目に見えてくるものに加えて、その地域の文化的な成り立ちやその藩内での関係性、建てられた時代背景、階級や身分制度、その土地の気候や植生など 様々な要素が入り交じって成立している分だけ理解するにはとても奥が深く、その地方の持っている歴史の深淵を覗き込むような神秘性も加味されて、古建築に惹き付けられる大きな要因になっているのかなと思います。

以前のBlog:http://hd2s-ngo.asablo.jp/blog/2012/08/12/

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