鎌倉禅宗建築・旧東慶寺仏殿 … 建築の旅・WanderVogel2013/06/09

旧東慶寺仏殿正面
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横浜本牧三之谷にある三渓園で6/8〜6/16の期間限定で、重要文化財建築物内部の一挙公開がいよいよ始まりました。

公開建造物は国の重要文化財に指定されている三渓園内の10棟全ての建物で、寺院建築あり書院・数寄屋建築あり、民家建築(合掌造り)ありで、様々な魅力に溢れていて見るものを飽きさせません。

写真の旧東慶寺仏殿は明治40年(1907年)に鎌倉から移築してきたもので、鎌倉では「駆け込み寺」として名高い禅寺です。
鎌倉幕府の置かれた鎌倉は京都(京五山)と並び「鎌倉五山」といわれるくらい、禅宗寺院にとって歴史的重要な都市でした。

東慶寺の創建は鎌倉中期(弘安八年)といわれますが、この建物自体は昭和31年の「修理工事報告書」によると、仏殿の建立時期ははっきりとはしないとしながらも見つかった墨書きなどから、江戸時代初期の寛永11年(1634年)としています。

建物の基本プランは梁間三間、桁行き三間に一重の裳階(もこし)の付く規模で、仏殿の屋根は茅葺きの寄せ棟造り、裳階の屋根は杮(こけら)葺きとなっています。

扉(桟唐戸)や火灯窓、格子戸/板唐戸のデザインや組物の配置、木床を張らない内部のデザイン(平瓦の四半敷き)や柱上下の粽(ちまき)の形状など、内外部共に完全な禅宗様のスタイルを見ることが出来ます。

三渓園の濃い緑の木々の中に建つ禁欲的なその建築デザインは、見るものの心の奥底に訴えかけるものがあります。

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