目指すべき建物/住宅の姿とは(省エネ法改正) … 建築・自然素材2013/08/19

自然素材の家
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日本の建物/住宅の将来像と問題点について、Facebook上でのある書き込みを題材にして考えてみる。

(以下の書き込み、まったくその通りであまりに的を得た内容なので思わずシェア(笑)してしまった次第です。)
「省エネ法改正の問題は、住宅建築の今後に大きく関わってきます。
このままで行くと、現場での経験や知識よりも、マニュアルが重視されることになるのでしょう。技術がなくても住宅が建てられるように、規格化・工業化がますます進むのでしょう。それで性能のよい住宅が簡単に建てられるのならよい、と考える人も多いかもしれません。技術の高い職人はこれからどんどん減っていくのでしょうし……。

でも、この方向性は、現場から「ものづくりの喜び」を奪っていくような気がしてしまうのです。もう既にそういう方向へずっと来ているわけですが……それで本当によいのだろうか。断熱材を隙間無く張ることに、職人は喜びや誇りを感じるのでしょうか、そうなのかなあ、よくわからない。」(原文のまま)

日本全国同じような基準に当てはめ、断熱材で住宅全体をすっぽり囲ってしまい外の空気を完全に遮断してまで気密性を高めてどうなる?という気もします。(といっても、それさえも満足に仕事出来ない昨今の施工状況を考えると、規格住宅ではそれが最低条件となるのだろうが…)

そもそも論を言えば、「省エネ」とは断熱材の問題だけに限らず、家の内外の風通りの良さ(通風)や採光、軒の出による遮熱、使用する素材/材料に関して、安易な発想(マニュアル化)を今一度見直して何が大切なのかを見極めた上で設計し施工すべきなんですね。本来は。

そのためには設計者にはものづくりに対する一段と高い「志」が必要ですし、施工者には理論と技術に裏付けされた「手業(てわざ)」が求められる。

その土地の気候風土にあった解決策(通風、採光、遮熱、断熱方法)を導き出して、出来るだけ自然に逆らわず かつ自然素材を中心に建物を造っていくことが本来のあるべき姿だと思う。建物や住宅の全てを(昔のように)天然素材で造るべきとまでは言わないが、あらためて今の住宅を見渡して見ると天然素材というか「手仕事」の痕跡がどのくらい残されているかも疑問なところだ。

と言ってみたものの、現在日本で建てられている住宅に関して言えば大部分が工業製品を多用する「規格化住宅」です。それなのにも関わらず、第三者監理で現場を監理/検査していると、施工上の不具合やいい加減さが目立ち、構造上でも省エネ法でもその「規格」を満足した施工になっていない現場が多いのもまた事実です。

それだけ施工者(元請けだけでなく実際に手を動かす職人さんも)の技量と言うか几帳面さというか真面目さというか、、そういう意識面のバラツキが大きいということなのです。少なくともこれは正していかなければならないだろう。

話しがあちこち飛んでしまったが、省エネ法改正についての国交省へのパブリックコメントの意見提出は、昨日(8/18)で締め切られている。

ちなみにこの写真は(住宅ではありませんが)自然素材で造った家:構造材は全て県産材、壁は内外部共に土壁/シラス壁/珪藻土と国産の唐松材を加工(+自然塗料)、石材も地元産の原石を石屋で挽いてもらい敷石とした。屋根はスレート石葺き(これだけは外国産)、建具も大半が特注の木製建具という具合に自然素材だけで造った建物。施工業者選びに苦労したことを思い出す。

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