もとは鎌倉にあった尼寺・旧東慶寺仏殿 … 三渓園/文化財保全・HM2014/06/25

旧東慶寺仏殿正面
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昨日チラッと書いた、三渓園に残る「鎌倉の旧東慶寺仏殿」正面の様子(2014年6月)

建てられたのは江戸初期ですが、鎌倉の禅宗様建築、禅宗独特のスタイルをそのまま残しているので、禅宗様式の仏殿のデザインを学ぶにはうってつけの建物です。
もっとも、鎌倉まで足を伸ばせば、同様に方三間裳階付きの禅宗様建築である円覚寺舎利殿(室町時代建立で国宝に指定されている)をはじめ、多くの神社仏閣を見ることが出来ますけどね。

鎌倉の禅宗様建築の大きな特徴は、建物全体は石造りの基壇の上に建ち、内部にも床は張らない。ここでは瓦の四半敷きとなっています。
柱は石の礎盤の上に立ち、上端と下端を少しすぼめて丸めて細くしている。垂木下の組物は柱の上だけでなく、柱間にも配して詰め込んでいる。垂木は放射状に組み、扇垂木としている。

仏殿本体(身舎・もや)は桁行三間、梁間三間でその外側に裳階(もこし)と呼ばれる張り出しの下屋が付く「方三間裳階付き」という様式・スタイル。
屋根は今は寄棟造りの茅葺きで、裳階部分は杮(こけら)葺きとなっている。

入口正面の扉は桟唐戸で、側面の壁には火灯窓や板唐戸がある。内部の天井は板天井と化粧垂木の組み合わせではなく、格天井の厳格な造りとなっています。

といったように、禅宗様のデザインセオリーの通りに造られていることが解ります。


原三渓はこれを室町時代(弘安8年・1285年)創築(その後、江戸時代に改修された)と信じていたようですが、その後の研究から建てられたのは江戸初期(寛永11年・1634年)だ、というのが現時点での結論になっているようです。
*「三渓園の建築と原三渓」西和夫著、「鎌倉の古建築」関口欣也著 に詳しい。

東慶寺仏殿前の落ち葉掻き:http://hd2s-ngo.asablo.jp/blog/2013/12/21/

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