山上の農園(6月)・畑脇のエゴノキの実 … 畑仕事・WanderVogel2014/06/26

エゴノキの実
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昨日、東京・板橋では記録的な雹(大きさも量も)が降ったということで、山上の畑がどうなっているか少し心配で、今日時間をみて農作業に行ってきました。

東京のゲリラ豪雨騒ぎほど横浜は雨が降らなかったこともあり、畑は何ごともなく かえってもう少ししっかりと雨が降ってくれれば良かったなぁ、という感じでした。

今日の畑仕事は、ジャガイモの収穫が主で、あとは水やりとサツマイモの追加の植え付けなどで農作業は終わりにしました。

畑脇にはいろいろな樹木が生えていますが、この写真のエゴノキもそのひとつです。5月に白い清楚な花を下向きにたくさん付けていました。
それが今、みんな丸い白灰色の実になって、枝いっぱいに垂れ下がっています。

この実は、10月ころに熟して、果皮が裂けて種子が落下します。落ちた種子はヤマガラやカケス、ヒヨドリ、キジなど多くの山鳥のエサになります。
特に、エゴノキの実はヤマガラの大好物なのそうです。

エゴノキの果皮にはエゴサポニンという成分が多く含まれ、昔は石鹸の代わりに使ったり、魚毒性(麻酔?)があるので、すりつぶして小川に放り込んで「毒流し漁」に使ったといいます。
少量ですと人にはそれほど害はなく、この果実を口にすると、のどを刺激してえぐい(えごい)ため、この名前がついたといわれています。

毒流し漁は(ダイナマイト漁と同様に)今では、日本だけでなく世界中の多くの国で禁止されている漁法なのですが、明治・大正以前までは日本の山間部で(特に東北のマタギのあいだでは)村の年中行事という感じで行われていたのだそうです。
ある書物では、日本では縄文時代から行われていた「伝統の漁法」なのだとも書かれています。


越前谷武左衛門 著の「山村の八十年 マタギの里」には、「大正4年の夏・・・4部落の親方達が相談し、アメ流しをすることになった。・・」という書き出しで、「アメ流し(毒流し漁)」のことが書かれている。主にトコロ(オニドコロ・ヤマノイモ科)の根を揉み出して流したようだ。

「山椒の木の皮でもやった。皮を乾かして砕き、粉を作る。木灰を混ぜて川に流せばよくきいた。山椒の粉と木灰を等量に入れた木綿袋を水に入れて揉んだ。濃い茶色の汁が沢に流れ、イワナが弱って出てきた。なかには40センチ程もある大きなのが、苦しがって夢中で水面を下って来て、陸へ跳ねてバタバタしているのもあったし、次から次と出てサデ網ですくうのが忙しかった。・・・魚がいなくなるとまた袋を揉む。また利いて出てくる。」 と書かれている。
このへんのことは、秋田・食の民俗シリーズ ④ というサイトにも詳しい。


毒(麻酔)として使われる植物は、上記のトコロの根やサンショウの樹皮、エゴノキの(未熟な)果皮のほかにも、ウルシの樹皮やクルミ・ムクロジの実なども使われたようです。

いずれにせよ、今それを試してみることは出来ないが、「毒」と言っても一時的に魚を痺れさせるだけの効果しかないのでしょうから、川魚を壊滅させるわけではなく必要な分だけ獲ればあとは流れて逃げていくわけですから、「毒流し漁」という言葉の持つインパクトとは裏腹に、自然と共生した漁だと言えなくもないな。

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