ガクアジサイ? ヤマアジサイ? … 自然観察・WanderVogel2014/07/01

ガクアジサイ?
- -
今日から7月、夏はもうすぐそこです。梅雨明けも間近です。

梅雨と言えばアジサイ。
アジサイの花は、時とともに花の色が変わっていきますが、元々の花(正確にはこれは花弁ではなく、ガク・装飾花です)の色は、アジサイの持っているアントシアンの影響によってピンク色だったそうです。

アジサイは、生えている土壌の性質によって、花の色に違いがあるのはよく知られています。では、なぜ、色の違いが出てくるのでしょう?

これだ!という決め手はまだはっきりと解っていないようなのですが、そのひとつに土壌内のアルミニウムイオンが関係していると言われています。
どうやらこのアルミニウムイオンを根から吸い上げたアジサイの花は、写真のような青色になるようです。

日本の土壌は酸性土壌が多く、土壌が酸性化するとこのアルミニウムイオンが溶け出してくるといいます。ですから日本のアジサイは青いものが多いというわけです。
逆に、ヨーロッパのアジサイがピンク色が主流だと言うのは、ヨーロッパはアルカリ性土壌が多く、アルカリ土壌にはアルミニウムイオンがあまり含まれていないからだそうです。

そのようなメカニズムで、ヨーロッパのアジサイにはピンクが多くて、日本のアジサイは土壌の性質によってピンク、紫、白、青と刻々と色の変化が現れる、というわけです。


では、ガクアジサイとヤマアジサイの違いは?
一般的にガクアジサイは海辺の近くに自生し、ヤマアジサイは山に近いほうで見られる。といいますが、その見分け方は諸説あり、僕にもまだよく解っていません。

葉の形がまるっこくて緑の色が濃い(艶々している)のがガクアジサイで、細く尖っていて葉の色も薄いのがヤマアジサイだとする人もいれば、葉の形だけでは見分けられないとする人もいます。
ヤマアジサイは日本全国の山沿いの地域に普通に見られる自生種ですが、地域による変異もかなりあるようです。

ガクアジサイは海岸地帯の強い陽射しと潮風に対する適応力を発達させた特殊な種で、もともとの自生地は伊豆半島・三浦半島などの海岸地域に限られると言います。

この時期は、鎌倉のお寺のアジサイが有名ですが、三浦半島でも丹沢でも山のなかを歩けば、日本に自生しているアジサイの仲間を普通に見ることが出来ます。
上のガクアジサイとヤマアジサイだけでなく、コアジサイやタマアジサイ、ガクウツギ、ノリウツギなど様々なアジサイ属の花が咲いています。
(最新の分類法では、アジサイの仲間の定義がこれともまた少し違っているのかもしれませんが…)


鎌倉のお寺などで普通に「アジサイ」と呼んでいるのは、中心部の両性花がすべて装飾花(中性花)に変化した手鞠型のものをさします。なかには両性花が一部残る、半テマリ型という形もあります。
全てが装飾花になってしまうと当然 種子は出来ません。植物にとっては困った変異と言えますが、その分だけハデになり鑑賞価値は高くなっていきます。

アジサイの仲間・種類は、(園芸用や西洋アジサイなどを含めると)100数十種類にもなるそうですが、日本の山に自生している種類は10数種程度です。

ちなみに、僕の家の庭に咲いているアジサイは2種類あって、手鞠型の大型のアジサイは薄緑から白、青、紫へと変化していきますが、ガクアジサイのほうは白色のまま色は変化しません。
どちらかと言えば、清楚な白色一色のガクアジサイのほうが僕は好きだな。

伊豆/真鶴半島までショートツーリング … バイクツーリング・WanderVogel2014/07/02

真鶴半島ツーリング
- -
先日、友人と二人でふらっとショートツーリングに出かけてきた。わずか半日の短いツーリングです。

このところ休日も何かと忙しくて、バイクのエンジンをかけることも少なくなってきている。
バイクの調子をきちんと維持するには、定期的にエンジンを掛け、エンジンヘッドやミッションケースにオイルを回してやることも大切なことだ。

なんてね、、、最近は、バイクに乗るのにも何やら言い訳じみている気がする。
(とは言うものの、たまにはしっかりと長い距離を走るロングツーリングをしないとバイクもかわいそうだ。)

この日は梅雨の晴れ間で天気が良く、外は真夏の陽射しです。
例によって湘南の海沿いの道を経由して、小田原の先の真鶴半島まで気持ち良くバイクをとばします。

真鶴漁港にある海女(あま)食堂でお昼にします。野菜は店主のおじいさんが作ったもの、魚介類は旦那がその日獲ってきたもの、ということなので、その日その日によって材料も献立も変わるのだと言います。
僕が食べたのはサザエとイカを使ったカレーですが、サザエとイカの肝がたっぷり入った少し苦みのある僕好みのシーフードカレーでした。

伊豆半島の海沿いはどこも地元の魚介類をメインにする洒落たレストランが多いのですが、こんな家庭的な漁村の食堂もホッとさせられる。

ラン科の植物・ツチアケビ … 自然観察・WanderVogel2014/07/03

箱根のツチアケビ
- -
先月中旬、箱根の神山(箱根火山の中央火口丘のひとつ)の林のなかを歩いていた時に見つけた「ツチアケビ」という名の変わった植物。

腐葉土のような土のなかからニョキニョキと茶色の茎だけが高く立上がっていて、他には葉も何も付いていません。
まことにみょうちくりんな植物なのですが、これでもれっきとした(?)ラン科の植物なんです。

茎から横にぴょこぴょこ出ている腕のような枝に、秋になると同じ色のアケビのような細長い実がぶら下がることから「ツチアケビ」という名が付いたといいます。
別名をヤマシャクジョウ(山錫杖)と言いますが、こちらのほうが今のイメージとしては何となく湧きます。

ラン科の植物はすべてが菌根を発達させる菌根植物だそうですが、ツチアケビなどは腐生植物(腐生ラン)とも呼ばれています。
ツチアケビは身体に葉緑体を持っていないので、自分で栄養を作り出すことができません。
簡単に言えば、共生している菌類(ラン菌根)・キノコ(ナラタケ)から栄養をうばって生きている植物だと言えます。

こういった腐生ラン類は非常に生育環境が限定されるものが多いのですが、ツチアケビに関しては森林内であれば比較的簡単に見つけることが出来ます。

ランの仲間、ネジバナの話:http://hd2s-ngo.asablo.jp/blog/2014/06/22/

ヒメコウゾの紅い実 … 自然観察・WanderVogel2014/07/04

ヒメコウゾの紅い実
- -
この辺りでもよく見かける、ヒメコウゾ(姫楮) クワ科コウゾ属の落葉低木です。

写真は金沢八景の山で見つけたヒメコウゾの木ですが、葉の間から直径1cmくらいの鮮やかな橙紅色した熟した実(集合果)が見え隠れしています。

ヒメコウゾは古来から日本に自生していたもので、最初はこれを「コウゾ」と呼んでいたそうです。
ところが、和紙の原料としてヒメコウゾとカジノキの雑種(中国から渡来?)を栽培、品種改良して使われるようになると、そちらをコウゾと呼ぶようになり、わが国自生のコウゾの方をヒメコウゾと名づけ替えて区別をしたようです。

ヒメコウゾはクワ科だけあって、さすがに葉の変異が激しい。写真のように切れ込みのないきれいな(?)葉があるかと思えば、一方だけに切れ込みがある葉、複雑に切れ込んだ葉など、ひとつの枝にいろいろな葉の形状を見ることができます。
特に、幼木だとその傾向が顕著に現れます。

ヒメコウゾとコウゾ、カジノキはみなクワ科コウゾ属ですのでその形状もみな非常に良く似ていますが、ヒメコウゾは雌雄同株、コウゾ、カジノキは雌雄異株なので、春の花の咲く時期には何とか区別がつき易い。

ただし、雑種であるコウゾは時として雌雄異株と同株の2パターンがあるそうですから、そうなるとますます分かり難い。

ちなみに、美味しい実のなるイチジクもクワ科です。

タブノキの丸い実の雨 … 自然観察・WanderVogel2014/07/05

タブノキの実
- -
毎週土曜日(または日曜日)は時間が取れる限り、三渓園・旧矢箆原家住宅でガイドボランティアをしています。

茅葺き屋根や檜皮葺き、杮葺きといった古建築の風情にはなぜか雨が似合います。
今日は梅雨らしい霧雨のようなしとしと雨の降る一日でしたが、来られる方にとってはそのぶん日本らしい光景を楽しまれたと思いますよ。

この時期は樹木も草本も開花がちょっと一段落していて、かろうじてアジサイやガクアジサイが色気を演出している程度です。
蓮や睡蓮もまだ本格的な開花というわけではなく、ポツリポツリと咲いているくらいです。

少し目立たない園路の脇にハデなオレンジ色の(中国原産の)小さな花を付けたガンピセンノウの一群が咲いています。


主園路に覆い被さるように大きなタブノキが立っていて、この時期には枝先に1cmくらいの緑色から紫色の球形の実をたくさん付けています。
タブノキの下を歩くと上から絶え間なくパラパラとこの実が降ってきます。

煙雨に煙るモノトーンな園内は落ち着きを保って、雨の雫とこの実の落ちる音だけがひびきます。まさしく「いとおかし」という風情があります。

タブノキ(クスノキ科の常緑高木)は三浦半島や江ノ島など神奈川県の海岸沿いではかなりポピュラーな木です。
シイ(スダジイ、マテバシイなど)やカシ(アラカシ、シラカシなど)とともに、照葉樹林を代表する樹木のひとつで、高さも枝振りもかなり立派なものです。

元箱根のヒメシャラの林 … 自然観察・WanderVogel2014/07/06

元箱根のヒメシャラ林
- -
来週行われる林間学校のインストラクター引率の下見で箱根の山を歩いてきました。

前回行った時からすでに1ヶ月経過しているので、山の様子もずいぶん変わっていると思ったからですが、やはりというか案の定、そのとき咲いていた花はひとつも残ってはいなかった。

そのかわりに新しい花が咲き、散った花は替わりにいろいろな色の実を付けていたので、それほど寂しい感じではなくちょっとホッとしました。


神山と駒ヶ岳の間の鞍部から芦ノ湖方面・防ヶ沢に下る斜面にヒメシャラ(ツバキ科ナツツバキ属)の群生があります。
ヒメシャラがまとまって生育するのは珍しく、かつここは群落分布の北限と言われ、神奈川県の天然記念物にも指定されています。
ヒメシャラは神奈川県以南、和歌山県までの本州太平洋岸と、四国、九州に生息する日本特産種のひとつです。

垂直によく伸び、高さ15mにも達する落葉高木です。木肌は赤褐色のごく薄い樹皮に覆われ、森林内では明るくひときわ目立ちます。

温暖帯上部から温帯域の山地に生育し、パイオニア的な性質を持っているので、樹木が倒れたり山火事や土砂崩れなどでギャップが出来ると真っ先に取り付いて生育する樹木です。林の林縁部など、日の当たる場所でよく生育することからも「陽樹」であることが解ります。

一月前は花が盛りでしたが、今日はほぼすべて散ってしまっていました。
写真で地面にたくさん落ちている白いものがヒメシャラの花なのですが、ヤブツバキ同様に花弁、雄しべは基部で合生しくっついているので、花の形のままポトリと落ちてきます。
踏んで歩くのが可哀相なくらいです。

箱根神社の境内には、総数125本のヒメシャラが大変珍しい純林を作っているということなので、次回行く時は足を伸ばしてみよう。

幻想的に浮かぶイワガラミの白い花びら … 自然観察・WanderVogel2014/07/07

イワガラミの花
- -
暗くなり始めた元箱根の山中で見たイワガラミの白い花。

イワガラミは枝や茎から気根を出して高木や岩崖に付着し、ツルを絡ませながら這い登っていきます。
淡いクリーム色がかった中央の両性花の周りに、真っ白な装飾花が縁どります。
同じアジサイ科のツルアジサイとは少し違って、装飾花は花弁状の萼片が1枚しかありませんので、花が咲いてさえいれば遠目からでも見分けはつきます。

陽の光が好きな樹種ですので、渓畔林や林縁部で見ることが出来ます。このイワガラミも芦ノ湖畔の良く日のあたる林の周縁部で見つけました。

ちょうど日が傾いてきて、バックの森が闇に溶け込むとき、イワガラミの真っ白な装飾花だけが怪しく白く光っていました。

異彩な姿のツチアケビのしたたかな生き方 … 自然観察・WanderVogel2014/07/08

ツチアケビの花
- -
ひと月前に確認をしていたツチアケビが花を付けていました。
期せず定点観察になってしまいました。
花の姿を見ると、この植物がランの仲間だとやっと気がつきますが、それにしても妙ちくりんで変ちくりんな植物です。

この植物、見ると解るように色も赤褐色していて葉っぱもなく、普通の緑々した植物とはずいぶん趣が違います。

ツチアケビは光合成を行って栄養をつくり出す葉緑素を持っていません。ですから、緑色の葉っぱも必要ないわけですね。では、栄養はどこから取っているのでしょう?
前にも書きましたが、ツチアケビはナラタケというキノコと、土中の菌から栄養をもらって(奪い取って)生きている変わった植物です。

このナラタケというキノコには「木材腐朽菌」といって、倒木や枯れ木にとりついて、腐らせ分解し栄養にしてしまう能力を持っています。
ナラタケは自身の持っている細い根のような菌糸束を地中に伸ばして、栄養分となる樹木や枯れ木を一生懸命に探します。

そのうちにツチアケビの白くて太い根を見つけて、ナラタケの菌糸束が根にとりついてしまうことがあります。
ところがツチアケビは,伸ばしてきた菌糸束を通じて逆にナラタケから栄養分をうばって成長するというしくみです。
なかなかうまく考えられています。
というか、自然界、特に動物や植物の持っている共生能力・支え合いというのは、僕ら人間の想像をはるかに超えているような気がします。

ひと月前の同じツチアケビ:http://hd2s-ngo.asablo.jp/blog/2014/07/03/

アマギアマチャ(天城甘茶) … 自然観察・WanderVogel2014/07/10

アマギアマチャ?
- -
先日の日曜日に歩いた箱根の山中で見つけた、アマギアマチャ(天城甘茶)?

アマギアマチャは、ユキノシタ科(またはアジサイ科)アジサイ属の日本固有種の落葉低木で、ヤマアジサイの変種といわれています。
名前の通り、伊豆半島と箱根南面の山地に自生するアマチャ(甘茶)の一種です。

アマチャは、ヤマアジサイよりもまだ葉が細身のところに特徴があるというが、その区分けはなかなか難しいです。
花の色は白色で、装飾花も白色であることが多い。萼片(花弁のようは装飾花)は4~5枚とされるが、3枚のものもあるそうなので、それだけでは解りづらい。

甘茶という名前が付くくらいですから、(特にアマギアマチャは)葉を摘んでかじってみるとほんのりと甘味を感じるといいます。僕は齧ったことはないけど…

伊豆半島の山中にはこの甘い葉をもつ木が昔から沢山生えていたそうで、地元の人はこの木を「甘木(あまぎ)」と呼んでいたそうです。
この「甘木」がたくさん自生している山だから、甘木山 = 天城山と名づけたといわれているそうです。面白いなぁ。


葉を陰干ししたものが甘茶の材料になり、これを煎じて飲みます。
甘茶は今では糖尿病などで砂糖が使用出来ない時の代用として使われたしたりもするそうですが、昔は本当に甘味料として普通に使用していたそうです。

お釈迦様の誕生日に甘茶を飲んでお祝いしたり、お釈迦様の像に甘茶を注いだりするので、「甘茶」という言葉自体は聞いたことがあるでしょうが、どんな植物なのかは意外に解っていなかったりします。

台風一過で猛暑が続く週末、さてどうしよう? … バイクツーリング・WanderVogel2014/07/11

フーリア
- -
週始めの天気予報では、50年に一度の大型台風が本土に上陸して最大級の被害を出す、というニュースで持ち切りでしたが、ふたをあけてみると週の半ばですでに貧弱な温帯低気圧並みに勢いを落とし、あっけないくらいに予想を裏切って千葉沖へと抜けていってしまった。

今週末は毎年恒例の大学ワンゲル部のOB・現役部員合同での奥多摩キャンプでしたが、予報を真に受けて私も早々に「中止」の決定を出してしまいましたが、このような状態になろうとは…、執行部としては結果的に判断ミスと言われても仕方ないか、、まったくもって残念至極。

仕事では、雨を予想していた今日のコンクリート打設工事も一転して、予想もしていなかった「猛暑」の中での作業となりました。

打設量は90m3程度の量でしたが、スラブ上でジリジリと照りつける陽射しを浴びながら打設作業にあたる人も大変です。
何といっても、スラブ下のムシムシした(作業環境最悪な)サポート柱の林立する屋内にこもって、下から型枠を叩き続けていた作業員さんたちはさぞかし大変だっただろうなぁ。
検査で立合う僕でさえも、ただ立ってるだけでクラクラするくらいの暑さでしたから。

事前に構造設計と打合せをして、生コンのスランプ21cm、フローも40cm以上というワーカビリチーの高い、柔らかめのコンクリートでの打設となりましたが、それでもこの暑さの中では表面の硬化速度が速く感じられます。

建設現場はどの職方も慢性的に人手不足です。
最近では、東南アジア系・中国系の外国人労働者はあたりまえになってきているのに加え、高齢の作業員さんも多く、これからの季節は「熱中症」が心配になります。

昨日は必要以上の人数の作業員を配置していたこともあって、適当に交代しながら作業が出来たのが良かったですねぇ。ほんとうは雨対策での作業員増強だったのですが、思わぬ猛暑日になり、熱中症対策としてそれも幸いしましたよ。

と、それはさておき、奥多摩キャンプ中止に伴い、明日・明後日の週末の予定がポコッと空いてしまった。
明日は、三渓園でのガイドボランティアに行くとして、日曜日はどうしようか、頑張ってツーリングに出かけるかな。
いや、それにしても、暑そうだ!

アクセスカウンター