ハッとさせられる鮮やか色のクサギの実 … 自然観察・WanderVogel2014/10/19

クサギの実
- -
ふだんは高木であるクサギの花や実を間近に見るチャンスなどそうそう無いのだが、斜路につけた散策路が幸いして、ちょうど目の高さになっていた鮮やか色のクサギの実。


快晴の土曜日、真鶴半島の魚付き保安林で自然観察会が行なわれた。

真鶴半島あるいは伊豆半島の海岸線で「海の幸」が多い理由には、海岸線ギリギリまでせり出した緑多い岩壁が続いていることが挙げられます。
これがいわゆる魚付き保安林とよばれる「海と森との密接な関係」です。

また、岸からいきなり深くなる海岸の地形にも関係しています。箱根火山や真鶴周辺にもあったと言われる火山の噴火によって、噴出された大量の溶岩を中心とした岩礁地帯が続いています。それらが多種多様の魚介類を育てるのに最適な環境を作り上げたのでしょう。

真鶴半島は江戸時代始めから小田原藩の継続した植林事業によって、深い林を作り、維持してきた歴史があります。
明治に入ってからもこの深い林は「御林」と呼ばれ「魚付き保安林」として継続的に保護・管理されてきたことも、今なお自然が残る大きな要因になっていると思います。


また、江戸時代から真鶴半島で産出される「小松石(安山岩)」は質の良さで有名で、各所に小松石の石切り場があったといいます。
その石切り場も加工場も、今ではすっぽりと鬱蒼とした森の中に埋もれてしまっています。


真鶴半島の植生は大きく二つに分かれます。
半島頂部を中心に原生林のような様相のいわゆる「魚付き保安林」と、海岸線沿いに広がる「海岸の植物」に分かれます。海岸の植物には遠くの島や陸地から流れ着いて定着した、珍しい植物なども含まれます。

魚付き保安林の中には、小田原藩の植林初期・300年以上前に植えられたクロマツやクスノキなどの巨木を見ることができます。
また、ここの「御林」の特徴は林床が豊かなことです。
丹沢山塊では山は深いのですが、シカによる被害で林床の下草や幼木がほとんど見られないところが数多くありますが、ここはそのどちらも豊かです。


写真は、斜面に付けられた遊歩道沿いのクサギの鮮やかな色をした実(紅い部分はガクで、空色の球が実)です。

クサギは漢字で「臭木」と書きますが、その名の通りに葉に独特の匂いを持っています。葉を揉んで鼻に近づけるとかなり強い臭気を感じます。


この「臭気」は面白いことに、匂いを嗅ぐ人の年代によって「何の匂いに似ているか?」が分かれます。

僕にはビタミン剤の錠剤の表面の匂い、に感じました。(ちょっと分かりにくいかな…)

アクセスカウンター