西丹沢・シカの寝床の話し… 鹿道歩き/自然観察・WanderVogel2015/01/01

シカの寝床
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あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。

干支のヒツジではなく、ホンドジカの話しです。

以前書いた、西丹沢の低山歩きで見つけた、シカのベット(寝床)の話しのつづき・・・。

尾根上の見晴しと陽当たりの良い場所に、落ち葉をかき分けて丸く凹んだ跡がありました。大きさ的には60cm×90cmくらいか。
(写真中央の、枯葉がどかされて楕円形にへこんでいるところがそうです。ちょっと解りづらいかな?)

ちょうど、大人のシカがお腹を付けてうずくまったくらいの大きさで、いかにも先ほどまでシカが寝てました、という様子が想像出来る大きさ・形をしています。

ここに寝ていれば、尾根を歩いてくる足音も、両側の斜面を尾根に向かって歩いて来る音なども聞き逃すことはありません。

冬枯れの尾根道の、陽を浴びたシカの寝床はとても気持ち良さそうに見えました。
この日はこういったシカの寝床跡を3カ所も発見?して、大満足の鹿道探索となりました。


尾根上の立木にはシカの皮剥の跡がたくさん見られます。そして広範囲に散らばっている大量のシカ糞。
あちらこちらにタヌキの溜め糞も見られます。テンの糞も落ちてます。
尾根上はいろいろな動物の通り道であり、共同トイレになっています。

シカの糞は我慢出来るとしても、タヌキの糞を踏んで靴底に付けたまま帰るのだけは勘弁です…、タヌキは雑食だからなのか、かなり(強烈に)臭いんです。

シカ?クマ?の皮剥(キハダ)… 鹿道歩き/自然観察・WanderVogel2015/01/02

シカの皮剥?
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先日行った低山・鹿道歩きの時のスナップ

シカなのかクマなのか、はたまたカモシカの仕業なのか、、冬枯れの色の無い枯葉の斜面でひときわ目を引くキハダ(黄檗)の鮮黄色の肌!

地面から1.2mの高さくらいまで表面の樹皮が見事に剥がされてしまって、痛々しい姿を晒しています。
この一帯には数本のキハダの木が生えていますが、そのうちの何本かはこのように樹皮を齧られて生木の色が出てしまっています。
樹木の成長にとって一番大切な樹皮下の形成層がこのようにぐるっと剥がされてしまっては、この木はもう生きていかれないかもしれません。

キハダは漢字で「黄檗」と書くくらいですから、本当に鮮やかな黄檗色(きはだいろ)をしています。
樹皮は布を黄檗色に染める染料として使われるほかに、ベニバナ(紅花)を用いた染め物の下染めに使われることでも知られています。キハダで下染めされたものは、紅花特有の鮮やかな紅色を一層引き出させるのだそうです。

また、黄檗は「おうばく」とも読み、その樹皮は強い抗菌作用を持つ健胃整腸剤として漢方薬の材料に使われるそうです。

と、キハダの話しはそのくらいにして、この皮剥ぎ行為はいったいだれの仕業なんでしょうか?


遠くから見かけた時は、皮剥ぎの範囲がけっこう大きいのでツキノワグマの仕業ではないかと思いました。

近づいて齧り取られた肌を良く観察してみると、ところどころに二本の歯形のような筋が縦にすうっと何本か付いています。根っこの部分にも同様に齧り取られた跡が見られます。

やはりニホンジカの仕業なのでしょうか。

シカは上の前歯が無くて、下の前歯しか生えていませんので、受け口で下からこそげ取るように樹皮を剥いでいきます。
足元の根の部分も同じ様にしてきれいに剥ぎ取っていったのでしょうね。

シカ(シカ科)もカモシカ(ウシ科)も基本的には同じような歯をもっていますが、ニホンジカの下の前歯2本(第一切歯)はカモシカのよりも大きく幅も広くて、樹皮を下から剥ぎ取るのに適した形状をしています。

キハダはコルク状の樹皮をもっていますので、めくるように剥いでいくとけっこう広い面積で一気に剥げてしまうのでしょう。


キハダの木肌(シャレではない)には、クマの爪痕らしき引っ掻き傷の痕跡は発見出来ませんでした。
結論としては、やはりシカの皮剥かと思われます。

シカは可愛らしい顔をしていますが、山の植物たちにとってはけっこう迷惑で嫌なやつなのです。
この日も遠くでシカが警戒する時に出す甲高い啼き声がしていました。


[ 訂正:12/30のBlogで書いたツガの木は、再度よく調べてみるとウラジロモミの木でした。Blog内容も修正してあります。]

年初め:東京港野鳥公園で探鳥会… 自然観察・WanderVogel2015/01/04

東京港野鳥公園で探鳥会
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今年最初の野外活動、東京港野鳥公園での探鳥会に参加して来ました。
冷たい海風に吹かれることもなく、陽射しもあって比較的暖かい一日でした。

東京港野鳥公園は浜松町駅からモノレールに乗って流通センター駅で降り、15分ほど歩いたところにある野鳥公園です。
埋立地の中にあり、淡水の池と汽水池とがあり多くの水鳥が生息している公園です。

今日は観察の他に、鳥の先生を交えての解説や講話もあって、充実した楽しい一日になりました。
都会の公園でも(三渓園でも)目にする鳥が多かったのですが、より野生に近い環境で生息していることもあって、鳥たちの動きもとても自然にみえました。

双眼鏡で鳥を観察していると、鳥たちの色々な表情が見えてきて知らず知らずに夢中になってくるものです。
野鳥観察、けっこうハマりそうです。

今日出会った野鳥たち一覧:
マガモ、カルガモ、ハシビロガモ、コガモ、ホシハジロ、キンクロハジロ、カイツブリ、キジバト、カワウ、アオサギ、バン、オオバン、イソシギ、セグロカモメ、オオセグロカモメ、トビ、オオタカ、ノスリ、カワセミ、ハシブトガラス、シジュウカラ、ヒヨドリ、ウグイス、メジロ、ムクドリ、ツグミ、ジョウビタキ、スズメ、ハクセキレイ、アオジ、オオジュリン、ドバト

山上の農園(1月)・ひたすらダイコンの収穫は続く … 畑仕事・WanderVogel2015/01/05

ダイコンの収穫
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今年初の畑仕事、というか偵察というか、、ですが、日暮れ少し前にデスクワークを抜け出して、山上の畑に行ってきた。

ひたすら毎回同じようにダイコンとカブと下仁田ネギの収穫、マメ(スナップエンドウや空豆、絹サヤなど)の育ち具合の偵察、相変わらず農作業をする時間は無かった。
この時期取り立てて無理してやることも無いのだが、マメにちょっとネットを仕掛けてあげたいなぁと思っていた。
昨年、12月に入ってから低い気温が続いたので、玉ねぎもマメ類もどうも育ちが今ひとつ、という感じでちょっと心配なんです。


それに引き換え、ダイコンだけは毎年出来過ぎるほどの収穫量なので、家では毎日鍋料理が続いています。
種蒔きの量を昨年の半分に減らしたとはいえ、1本1本が大きいのであちこちに配ってもなかなか減らないのだ。

とはいっても、そろそろ今月いっぱいであらかた何とかしないと、ダイコンの中にスが入ってしまうかなぁ。
何だか昨年も同じようなことを言っていたような気がする…


昨年・一昨年とこの時期になると、ノウサギやらアライグマやらタヌキやらが畑を荒らしに来るのだが、このところなりを潜めている感じです。
それでもダイコンの葉っぱが少し齧られているところなどを見ると、全然来ていない訳ではないのだろう。
ただ、例年よりは数はかなり少な目だな。

サイカチの刺と枯れた大きなマメ … 自然観察・WanderVogel2015/01/06

サイカチのトゲ
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一昨日の東京港野鳥公園でのひとこま

モノレールの駅から野鳥公園へと向かって歩いていると、街路樹から落ちたと思われる長くて大きなマメ状の枯れた実がたくさん落ちていました。

足元に落ちている枯れたマメは、ハリエンジュのマメの2倍以上の大きさがあって、両端を持って強く捻りを加えたような変わった形状をしていました。
手に取って振ってみると、カサカサとサヤの中で小さなマメが動く音がしています。

周りの街路樹を見渡すと、幹に鋭いトゲトゲのある、いかにも痛そうな高木が何本も生えています。
いったいこの奇妙な木とマメは何だろう? 僕は知りませんでした。

一緒に行った詳しい方に聞いてみると、サイカチという木で、日本の固有種、マメ科ジャケツイバラ亜科の落葉高木なのだと教えてくれました。

この時期にはマメ科の特徴である羽状複葉の葉は全て落ちてしまっているので、特徴を見つけるとすれば全体的な樹形、特徴のある木肌の皮目と幹から直接生えているこの鋭いトゲトゲの枝。
なんでも、サイカチの中には樹齢数百年にもなる木もあるそうで、群馬県・長野県には天然記念物の巨木があるのだそうです。


帰って来て、net上でもう少し調べてみると、
木材は建築、家具、器具、薪炭用として用いる。豆果は皁莢(「さいかち」または「そうきょう」と読む)という生薬で去痰薬、利尿薬として用いる。
また、サポニンを多く含むため古くから洗剤として使われている。莢(さや)を水につけて手で揉むと、ぬめりと泡が出るので、かつてはこれを石けんの代わりに利用した。
石鹸が簡単に手に入るようになっても、石鹸のアルカリで傷む絹の着物の洗濯などに利用されていたようである(煮出して使う)。

棘は漢方では皂角刺(そうかくし)といい、腫れ物やリウマチに効くとされる。豆はおはじきなど子供の玩具としても利用される。
とありました。


なんと、都内には「さいかち坂」という坂まであるのだそうです。
中央線 水道橋駅から、線路の南側をお茶の水の方に登る坂にその名が付けられています。
名前の由来は、この坂の脇にサイカチの木が生えていたために名付けられた、ということなのだそうです。

万葉集にも詠われるほど昔から日本人には馴染みのある木(マメ)で、いろいろと便利に使われてきたのですね。

恥ずかしながら、僕は知りませんでしたけど・・・、世の中には変わった植物がたくさんあるものです。
でも、このトゲ!、街路樹としてはかなり危険!な気がするのだが、大丈夫なのだろうか?

柔らかそうなマンサクの冬芽とネソ(捻苧)の話 … 自然観察・WanderVogel2015/01/07

マンサクの冬芽
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柔らかそうなマンサクの冬芽、互生して葉柄を持った冬芽が枝に並んでいます。

中心に葉芽があり、その両側にいくつかの花芽が付いています。
花芽は可愛らしい丸い形をしていて、短い枝を持っていて2~4個を鈴のようにぶら下がっています。

葉芽には最初2枚の芽鱗が付いていますが、早々に剥がれ落ちてしまい裸芽の姿になってしまっています。
冬芽を保護する役目をしている(であろう)芽鱗が割と早いうちに剥がれ落ちてしまうので、何のために芽鱗がついているのかちょっと疑問です。

マンサクと言えば春先の早い時期に葉よりも先に、黄色いヒモ状の花弁をブラシのように咲かせるので、早春の花として人気があります。
名前の由来が「まずさく」まず一番に咲く、という言葉が転じたものだという説もあるくらいです。


もうひとつ知られているのが、(知っている人は知っているという感じ?)マンサクの木の利用法でしょう。
マンサクは別名「ネソ:捻苧」とも呼ばれ、茅葺き屋根などの民家の小屋組みを造る(縛る)材料として昔から重宝されてきました。

合掌造りの小屋組み材を縛るのには欠かせない材料です。
その他にも、刈った柴を結い束ねたり、筏を組む際にも使われていました。

ロープや縄の代わりとして木と木を縛るのに使うのですが、生木の時に縛ったマンサク(ネソ)は乾燥するにしたがってギュッと固く締まってきます。

時間が経って弛んでもいい箇所、縛ったりほどいたりをする箇所(茅を縛るなど)には藁を撚った荒縄や細縄を使い、弛んではいけない箇所(梁と桁、柱と桁/梁、合掌梁同士など)にはマンサクの木(枝・樹皮)を使います。
つまり、その場所場所によって使い分けをするという訳です。

昔の人は自然にある材料の特性をよく知っていて、その場にあった材料、素材を用いて工夫して生活をしていたことがよく解りますね。
(縛る材料としては、マンサクの他にもクロモジや藤蔓などを捩じったものもよく使われます。)


茅葺き屋根の話:http://hd2s-ngo.asablo.jp/blog/2014/11/26/

面白い形のカミヤツデの花だが、外来植物なんです … 自然観察・WanderVogel2015/01/08

カミヤツデの花
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普段良く見かける日本のヤツデと違い、いかにも南国的で大陸的な大柄ないでたちのカミヤツデの花。

台湾・中国南部が原産のウコギ科の木。漢字では「紙八手」と書きます。
カミヤツデの茎の髄(ズイ)の部分を使って紙を作るのだそうです。その紙を「通草紙(つうそうし)」というのだそうで、別名「通草(つうそう)」とも呼ばれています。

ちょうど先端の丸いつぼみが開いて、小さな花が咲き始めました。
ヤツデ同様に、気温の下がったこの時期(12月~1月ごろ)に写真のような可愛らしい花を咲かせます。


英語ではライスペーパープラント(Rice-paper plant)というのだそうで、これは通草紙をライスペーパーと誤訳してしまったことからくる英語の勘違い命名なのだそうです。
ただ、長い間そう言い習わされてきたので、勘違いだと解った後でもずっとライスペーパープラントという名が今だに使われ続けているのだそうです。
考えてみればおかしいですよね。

このカミヤツデ、東京港野鳥公園で見つけたのですが、原産国が台湾や中国南部ということで解るように外来植物です。
その南国的な雰囲気から観葉植物として、庭木などで各地に広まったと言います。


神奈川県でも以前、湯河原や真鶴半島で大増殖しているのが見つかり、問題になったことがあります。
特に、群生するとその大きな葉が日光を遮り、下層部の下草類の成長を妨げ枯死してしまう、という危険性が指摘されています。

実は湯河原町でも真鶴半島を中心に大規模に駆逐したことがあるそうですが、また復活して群生を形成し、また駆逐する、ということを繰り返していると聴いています。

外来生物は植物でも動物でも昆虫でも、なかなかしぶといのです。一度はびこってしまうと、完全に駆逐しようとしてもそうそううまくは行かないものなのです。


外来種の全てがダメとは言わないが、また有害な!外来種の定義というのもなかなか難しいのだろうけど、日本古来の生態系が破壊される危険性の高いものは、やはり駆除していかないといけないのだと思いますね。

風に揺れるハシバミの雄花のつぼみ(冬芽) … 自然観察・WanderVogel2015/01/09

ハシバミの雄花のつぼみ
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ハシバミの雄花のつぼみ(冬芽)を見つけました。

ハシバミはカバノキ科の雌雄同種の落葉低木です。そう言われるとカバノキ科のシデ類やヤシャブシなどと雄花の形状がよく似ていますよね。

榛色(はしばみいろ)という色がありますが、これはヘーゼルナッツの実のような柔らかみのある黄土色(黄色がかった薄茶色)を指します。英語ではhazel brown(ヘーゼルブラウン)と言います。
それもそのはず、チョコレートに入っているおなじみのヘーゼルナッツは、ハシバミの仲間のセイヨウハシバミの実のことです。

この時期、ほとんど枯れ枝化したさびしい姿の木の枝先に、紅い色をした雄花のつぼみがいくつもぶら下がって冷たい風に揺れていました。

園内のロウバイが見頃を迎えています … 三渓園ボランティア・WanderVogel2015/01/10

茅葺き屋根とロウバイの花
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横浜本牧の三渓園ではもうロウバイの花が咲き始めました。

茅葺き屋根を持つ旧矢箆原家住宅の庭では、本種のロウバイ(蝋梅)と栽培品種のソシンロウバイ(素心蝋梅)の二種類のロウバイの開花を見ることができます。
(写真は本種の方のロウバイの花です。)

ソシンロウバイの方は色も薄くて、レモンイエローという色合いをしていますが、本種のロウバイの方は写真のように山吹色に近い濃い黄色をしています。

ロウバイは中心部の花弁が暗紫色なのが普通なのですが、この木は何故か暗紫色のものに混じって中心の黄色い花もチラホラ見えます。混血したりすることがあるのでしょうか?
ソシンロウバイの方は、花も花弁部分も同じレモンイエローの薄い黄色一色です。

ロウバイは梅という漢字を使いますが、ウメの仲間ではなくロウバイ科という独立した科です。この時期、ウメのつぼみはまだまだ小さくちぢこまったまま、身体を固くして冬の寒風に耐えている、という感じです。

このところの横浜は気温は低いものの、大気が乾燥しているので青空がきれいに見えます。
ロウバイの濃い黄色の花びらが、澄んだ青空をバックによく映えます。

ふくらみ始めたミツバツツジの冬芽 … 自然観察・WanderVogel2015/01/11

ミツバツツジの冬芽
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三渓園で、もう一枚。

園内には何軒かのお茶屋(食事処)が配されていますが、そのうちのひとつに「待春軒」というのがあります。
写真の奥におぼろげながら写り込んでいるのがそれです。

その手前の園路脇にミツバツツジが植えられています。
長枝の枝先に、ふくらみ始めた花芽の冬芽がたくさん付いているのを見つけました。枝先の太い花芽は、芽鱗に少し粘り気があるのが特徴です。
「待春軒」の前にあって、いかにも春を待ちわびているという風情がありました。

丹沢の山では、これとトウゴクミツバツツジの二種類のミツバツツジが見られます。

特に西丹沢の山は5月にもなると、トウゴクミツバツツジ(東国三葉躑躅)のピンク色の花とシロヤシオ(五葉躑躅)の白い花の競演が楽しめます。

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