柔らかそうなマンサクの冬芽とネソ(捻苧)の話 … 自然観察・WanderVogel2015/01/07

マンサクの冬芽
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柔らかそうなマンサクの冬芽、互生して葉柄を持った冬芽が枝に並んでいます。

中心に葉芽があり、その両側にいくつかの花芽が付いています。
花芽は可愛らしい丸い形をしていて、短い枝を持っていて2~4個を鈴のようにぶら下がっています。

葉芽には最初2枚の芽鱗が付いていますが、早々に剥がれ落ちてしまい裸芽の姿になってしまっています。
冬芽を保護する役目をしている(であろう)芽鱗が割と早いうちに剥がれ落ちてしまうので、何のために芽鱗がついているのかちょっと疑問です。

マンサクと言えば春先の早い時期に葉よりも先に、黄色いヒモ状の花弁をブラシのように咲かせるので、早春の花として人気があります。
名前の由来が「まずさく」まず一番に咲く、という言葉が転じたものだという説もあるくらいです。


もうひとつ知られているのが、(知っている人は知っているという感じ?)マンサクの木の利用法でしょう。
マンサクは別名「ネソ:捻苧」とも呼ばれ、茅葺き屋根などの民家の小屋組みを造る(縛る)材料として昔から重宝されてきました。

合掌造りの小屋組み材を縛るのには欠かせない材料です。
その他にも、刈った柴を結い束ねたり、筏を組む際にも使われていました。

ロープや縄の代わりとして木と木を縛るのに使うのですが、生木の時に縛ったマンサク(ネソ)は乾燥するにしたがってギュッと固く締まってきます。

時間が経って弛んでもいい箇所、縛ったりほどいたりをする箇所(茅を縛るなど)には藁を撚った荒縄や細縄を使い、弛んではいけない箇所(梁と桁、柱と桁/梁、合掌梁同士など)にはマンサクの木(枝・樹皮)を使います。
つまり、その場所場所によって使い分けをするという訳です。

昔の人は自然にある材料の特性をよく知っていて、その場にあった材料、素材を用いて工夫して生活をしていたことがよく解りますね。
(縛る材料としては、マンサクの他にもクロモジや藤蔓などを捩じったものもよく使われます。)


茅葺き屋根の話:http://hd2s-ngo.asablo.jp/blog/2014/11/26/

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