春の里山・雑木林で見つけたキブシの花 … 自然観察・WanderVogel2015/03/18

キブシの花
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ポッと半日時間が出来たので、早めの墓参に行ってきました。

家のお墓は「峯市民の森」という自然公園に隣接する山中にある霊園なのですが、高台にあるのでみなとみらいが一望出来るロケーションになっています。
スカッと晴れていれば、霊園でありながらとても気持ちの良いところです。

このあたりは、横浜横須賀道路の朝比奈ICから東に、横浜自然観察の森、金沢市民の森、金沢自然公園、氷取沢市民の森、峯市民の森と続く横浜市内でも屈指の自然の残る一帯となっていて、尾根伝いに鎌倉天園から北鎌倉まで山道を歩いて行くことが出来ます。

高台にある霊園は竹林や雑木林で周りをぐるっと囲まれていて、里山の中にいる雰囲気です。季節ごとに木々の新緑や紅葉、様々な草花を楽しむことが出来ます。

この時期はちょうどキブシの可愛らしい花が、枝いっぱいにぶら下がっているのを見ることができます。周りは葉を落とした雑木林なので、キブシのこの小さな淡黄色の花(花序)は遠くからでもよく目立っています。

キブシは日本固有種の木で、雌雄異株の落葉低木です。多くの変種や品種があるといいます。そして(写真の)これはどうやら雄の木のようです。

花の形状や花の付き方などは雌雄同じようなものですので、それだけではなかなか区別がつきません。咲いている花の中の覗きこんで、雄しべを見比べるとオス・メスが判別出来ます。

雌花、雄花とも雌しべは1個、周りの雄しべは8個、と同じだけありますが、雌花の方の雄しべは小さく退化していて、ほとんど見えません。ですので、花の中から雌しべだけがピョコンと出ているのが見えたら雌の木ということです。

花の色も若干の違いがあって、雄花の方は(写真のように)淡黄色をしていて、雌花の方は雄の花に比べると若干緑色を帯びています。

キブシは漢字では「木五倍子(きぶし)」と書きます。果実に含まれるタンニンが、黒色の染料になる五倍子(ぶし・ごばいし)の代用になるところから名付けられました。
同じような名付けられ方をしているものに「ヤシャブシ(夜叉五倍子)」があります。同じく、布を染める染料として利用されています。


一般に「五倍子(ごばいし・ふし)」というと、ヌルデに寄生するアブラムシの作る虫瘤(むしこぶ・ちゅうえい)から作られるもの(タンニン)を指します。
主に染料の原料として利用されていたといいますが、明治時代の終わりまで既婚女性の化粧として一般化していた「お歯黒」の原料にもなったそうです。


・・・余談ですが・・・
このお歯黒という習慣は、今の世の中の常識(美意識)で考えてみると、かなり奇異なものですよね。
でも、明治3年に新政府から皇族・貴族に対して「お歯黒禁止令」が出されるまでは、日本では身分・階級、職業を問わず、かなりポピュラーな美習慣・化粧法だったようです。

この皇族・貴族に対しての禁止令が出されて以降、それに伴って民間でも徐々にこの習慣が廃れていき、大正時代には全国的にほぼ完全に消え去ったと言います。

僕なんかが考える「昔」という時間的な概念からすると、「明治時代なんて、ついこのあいだのこと」というイメージなんだが、明治以前と明治以後では(文化にしても生活にしても、考え方や価値観ひとつ取ってみても)時間の流れ去るスピードがまるっきりぜんぜん違うものなんだなぁ、と最近何だか真剣に考えさせられてしまいます。

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