新潟/魚野川沿いの国道脇に点在する桐の花 … 自然観察・WanderVogel2015/05/29

キリの花
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魚沼丘陵でのスナップ、さらにしつこくもう1枚、キリ(桐)の花。

ハレーションを起こしそうなほど眩しい青空をバックに咲く薄紫色のキリの花。
国道17号線を湯沢町から南魚沼市方向へ走ると、国道の両側に点々と咲いていて、けっこう目につくのがこの桐の花です。

巫女さんがお神楽を奉納する時に持って鳴らす「神楽鈴(かぐらすず)」にも似た形(円錐花序)で、高い木の枝先に咲く特徴ある花なので、車で走っていてもすごく目を引きます。

花の下に丸い鈴状の茶色いつぶつぶがたくさん付いているのが見えますが、去年出来た果実の(殻の)残りです。
(花が種子になった直後の姿は、まるで神楽鈴そのものです。)
殻の中には翼の付いた種子が入っていて、風で飛ばされて遠くまで運ばれます。
キリの種子は発芽率が高いと言われていますので、街道沿いでもどんどん野生化して、育っているのかもしれませんね。

原産地はもともとは中国大陸なのだそうですが、その葉は古くから皇室の家紋などに図案化され、「菊の御紋」に次ぐ高貴な家紋として、特に「五七桐花紋」は日本のパスポートの表紙を飾っているくらいおなじみのデザインです。

また、500円硬貨の表にも刻まれていますので、日常の生活でもほぼ毎日目にしている「花」と言えますね。
(ちなみに、裏側には竹と橘(タチバナ)がデザインされています。)


桐自体の木や花は知らなくても、キリと言えば「桐箪笥」という言葉がついて出てくるほど、家具材としての認知度は高いと思います。
特に会津や南部地方(津軽)では家具材として盛んに植林され、桐箪笥の名産地となりました。厳しい寒さと湿潤な気候が良質な桐を育てるのだと言います。

桐は日本で取れる木材の中ではもっとも軽い材で、防虫性・抗菌性(タンニンやセサミンなどが含まれるため)にもすぐれ、湿気を通さず狂いが少ない材として昔から高級家具材として利用されてきました。
桐材で作った箪笥は火災にあった時でも、表面が炭化して防火性が高まり、中まで火が入るのに時間がかかる、といわれています。

その良質な木材は、桐の下駄やお琴(和琴)など、「桐材」で作らなければダメ、というものも少なくありません。

また、女の子が産まれると家の敷地内に桐を植えて、嫁入りする際にはその桐を切って嫁入り道具の桐の箪笥を作って持たせる、という風習も生まれました。
それだけ「桐」は成長が早い木、ということなんですね。

キリもなかなか奥が深い樹木です。

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