ダムマニア垂涎の一品? … 土木構造物・芸術祭・WanderVogel2015/08/05

鋼製セル式堰堤
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炎天下の越後妻有トリエンナーレ「大地の芸術祭」スナップ・津南町、辰ノ口、トヤ沢

芸術作品というわけではないが、半端な作品?よりはずっと存在感と訴えかけてくるものがある巨大な複合型堰堤。
砂防堰堤やダムには様々な種類、工法、歴史があり、それぞれ独特の景観を見せてくれていますが、この工法はそのなかでも特異なもののひとつでしょう。

世に「ダムマニア」という特異な趣味の人たちが存在していますが、これなどはダムマニア垂涎の景観を見せているのではないでしょうか?
まさに「ダム萌え」「堰堤萌え」という感じです。

紅く錆びた耐候性鉄板(鋼矢板セグメント)で囲まれた円筒形のものは、「鋼製セル式堰堤」と呼ばれる砂防堰堤です。ここでは直径30m弱の円筒形のものを4函(カン)並べた格好になっています。
そのとなりの芝が張られた部分も堰堤構造物で、こちらは「INSEM ダブルウォール堰堤」という工法で造られています。
そして、もう一方には従来のコンクリート重力形の堰堤が組み合わされていて、全体として複合的に構築された土木構造物として見ることが出来ます。

平成23年3月に起こった長野県北部地震で、トヤ沢一体と前を走る国道353号線を呑み込んだ土石流の復旧作業の一貫として造られた砂防ダムだということでした。

暑い中、鋼製の作業階段を延々と登って堰堤上まで行くと、ダムの内側を見ることができます。
今の状態でもけっこう土砂が溜まっているように見えるので、そこで説明をしていた職員に聞いてみると、地震による土砂崩れで発生した16万㎥を留める容量は(設計上では)確保されています。ということですが、どうなんでしょうか?

水利ダムや発電用ダムとはニュアンスが違う「砂防ダム」に関しても、自然環境の問題、景観の問題などで、その必要性を含めて様々な意見が出ていることは解っていますが,日本にある「沢」はその地形的環境や土質などから自然災害が起き易いことも事実です。
砂防を目的とした土木構造物の建設は木製堰堤、野石組み堰堤を含めれば、江戸時代から存在していたものだと思います。
「日本の山」「日本の川」の持つ宿命なのかもしれませんねぇ。

ちなみに、明治期・大正期に造られた石組み堰堤や初期RC堰堤などのなかには、登録有形文化財認定を受けているものも数多くあります。

純粋なトリエンナーレの作品としては、当時発生した土石流の範囲を黄色いポール・列柱で囲い・表現したものがありました。

それにしても、堰堤上までの階段は暑かったぁ!

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