変わった茶室・越後妻有トリエンナーレ … 芸術祭・ART TRIENNALE2015/09/02

変わった茶室
- -
越後妻有トリエンナーレ「大地の芸術祭」スナップ・松之山温泉、おふくろ館内

とても変わった茶室を見ました。
何と表現したら良いのか、僕のボキャブラリーでは上手く表すことが出来ないが、雅と静寂さを合わせ持った色気のある空間とでも言うのか、とても不思議な気持ちにさせる空間でした。素晴らしいものを見ることができました。

表題には「うたかたの歌垣」とありました。
作者は古郡弘(Furugori Hiroshi)という作家で、同じく「大地の芸術祭」の出品作品である、願入集落に建てられた「胞衣(えな) - みしゃぐち」と同じ作家でした。
「胞衣 - みしゃぐち」同様に、神秘さと強い精神性を感じます。

HPの紹介文には「若い男女が互いに求愛の歌謡を掛け合う「歌垣」に想を得て、カラスの羽による漆黒の屋根や乾漆、鉛、金箔、木、古紙などが用いられた茶室を制作。花器には松之山に自生する蓮が連日生けられる予定だ。」
とあるが、蓮の花が既に旬を過ぎてしまっていることもあって、生けられているのは青々としたスギの葉でした。
スギの葉が下の方から少しづつ赤茶色に枯れていくのもまた風情があるものです。

鉛の貼られた深く沈んだ色をした床は、秘められた沼のような深山の水面を感じさせます。

沼の水面から立上がる金色の葦のような植物が、夕焼け色の紅い壁へと変化していき、カラスの濡れ羽色の傘が天を覆って、狭くて淫靡な空間を作り上げている。
金色の葦の立ち並ぶ「結界」のような壁に、うっすらと隙間のように丸く細長く空けられた「入り口」、そこに向かって、現実と幽玄の世界を繋げる一本の露地が延びている。
茶室の外周りに立ち並ぶ、銀色の葦をイメージさせる乾漆作りのつい立てが、茶室全体を隠すかのように複層して立てられている。

僕は、その露地を歩いて入口にたどり着き、葦の中に顔を突っ込み、秘められたものを覗き見て、発せられる言霊を聴く。
葦の隙間の入口は、僕の身体にはとても狭くて、入ることを拒絶されているかのようだった。
僕はしかたなく、茶室の周りの沼をじゃぶじゃぶと歩いて、ほかに覗ける隙間はないものか、と葦の周りを一周する。

なんてことを好き勝手に夢想しながら、おふくろ館を後にして、名湯・松之山温泉に浸かって現実の世界にもどりましたとさ。

胞衣 - みしゃぐち:http://hd2s-ngo.asablo.jp/blog/2015/08/07/

松之山温泉の山で見かけたハギの花 … 自然観察・WanderVogel2015/09/03

ミヤギノハギ
- -
昨日の新潟出張でちょっと足を伸ばして松之山温泉に寄ってきました。

道すがら道路脇の斜面に咲いていたミヤギノハギの花。
斜面から垂れ下がるように、赤紫色の花をたくさん付けた枝を道路側に垂らしていました。

秋の七草にも挙げられるハギですが、暑さが一段落したこちらでは一足早く咲き誇っています。
古くから言われる いわゆる「萩」というのは「ヤマハギ」を指すのだそうですが、じっさいに山を歩くとこのミヤギノハギ(宮城野萩)がけっこう目に付きます。
葉よりも長い花序を持ち、たくさんの花を咲かせて枝を垂らす姿は、ハギの中でも一番華やかに見えるかもしれません。

もともとは園芸品種として栽培(1650年代と言います)されていたのですが、それがいつのまにか各地の山に広がってしまった、ということです。
ミヤギノハギ(宮城野萩)と名付けられているくらいですので、宮城県の県花になっています。
また、別名をセンダイハギといって、仙台市の市の花にもなっています。

ススキの穂とハギの花、越後妻有の山は「秋の山」へと移っていきます。

越後妻有の野山で見かけたゴシキドクダミ … 自然観察・WanderVogel2015/09/04

松之山温泉のゴシキゴクダミ
- -
昨日UPした松之山温泉のミヤギノハギの足元に生えていた、ゴシキドクダミ(五色毒痛み)

花の季節は終ってしまっていますが、名残りは残っています。
ドクダミの花と言うと、四枚の白い花びらを思い起こしますが、見慣れたあの白い花びら状のものは実は葉っぱが変化したもの(総苞片)で、真ん中の穂状のものが本当の花の部分にあたります。写真の中にも何個か写っていますね。
ドクダミの花にはじつは花弁も萼もありません。

このゴシキドクダミというのは、自然なものではなく園芸種です。
なんでも、江戸時代に作り出された「斑入りドクダミ」がヨーロッパに渡り、そこで園芸種のゴシキゴクダミが作り出され、それがまた日本に逆輸入されてきたのだそうです。
ですからこのゴシキゴクダミは、斑入りドクダミの帰国子女版といったところでしょうか。

松之山温泉で見たゴシキゴクダミは、道路脇のグランドカバーとして誰かが故意に植えたものなのでしょうね。
自生するドクダミ同様に、勝手にワサワサとはびこっていました。

その毒々しい色の葉っぱは、日本の山野にはあまり似合っていませんでした。

すっかりクズの葉に覆われたミズキの木 … 自然観察・WanderVogel2015/09/05

クズの葉に覆われたミズキ
- -
植物の生存競争は厳しい。

ミズキという木は育つのが早くて、あっという間に上へ上へと幹を伸ばして、効率良く最大限に太陽の陽を受けられるように、横へ横へと枝葉を広げる天才的な仕組みを持っています。
ただ、このミズキの場合、あまりに背が低過ぎた。

といっても2m近くにはなっているのだが、クズの攻撃には為す術が無かっただろう。

たぶんそれこそあっという間にクズの葉が覆い被さり、すっかりクズのマントを着せられているようになっている。
クズの葉の隙間から、かろうじて葉と実の一部が顔を出している、という感じです。
これでは満足な光合成も出来ないのではないか。来年もまたこんなふうに覆われてしまうのか。

う〜ん、成長の早いミズキにしても、クズの成長速度には適わなかったか。

少し前の話だが、エゴノネコアシフシのこと … 自然観察・WanderVogel2015/09/07

エゴノネコアシフシ
- -
ひと月ほど前(7月下旬)の話です。
丹沢の戸沢公園内の森林整備の作業時に見つけた、エゴノキに出来た変わった形をした果実?

エゴノキには通常、直径2cmほどの丸い実が枝から鈴なりにぶら下がるのですが、本来のその青白い丸い実に混じって、黄色いバナナのかたちをした大きめの実?が、たくさん付いています。
いったいこの奇妙なものは何なんでしょうか?


これはエゴノネコアシフシというごくごく小さなアブラムシが作る「虫こぶ(虫えい)」でした。

実際、エゴノキに虫コブを作る虫はこれ以外にもたくさんあるようですが、変わった形状という点ではこのエゴノネコアシフシが一番です。
どうしてこうした奇妙な形状の家(虫こぶ)を、毎回毎回この小さなアブラムシは造るのか、全く不思議です。
先祖から引き継いだDNAの中に、何世代にも渡って間違えること無くこういうかたちの家を造るようにと、きちんと記録されているのでしょうね。

先日見た時にはすでに茶色く萎んでしまっていて、中は空っぽでした。

名前の付け方は(前にも書きましたが)「植物名+虫えいの出来る場所+虫えいの形+フシ」という並び順に従って、エゴノキに付く猫足状のフシということです。
実際には虫えいの出来る場所は「実」ではなく「芽」なので、命名のルールに従うと、エゴノキ+メ+ネコアシ+フシ、でエゴノキメネコアシフシとなるのが正しいのでしょうね。

もっとも、僕には猫足というよりは、バナナの房そっくりに思えるので、エゴノキメバナナフサフシと呼びたいくらいです。(冗談ですけど…)

マタタビミフクレフシ:http://hd2s-ngo.asablo.jp/blog/2015/08/14/

黄金色に輝くコシヒカリの田んぼ … 芸術祭・ART TRIENNALE2015/09/09

越後妻有・コシヒカリの田んぼ
- -
ここ数ヶ月、新潟・越後妻有への出張が続き、季節もいつの間にか猛暑の夏から実りの秋へと変わっていきます。

8月中旬から続く長雨の異常気象は、上越の山々を越えた向こう側でも同じで、天候不順が続いています。
通常ですと関東地方が雨なら新潟は晴れ、関東が晴れなら新潟は雨という具合に真逆の天気になることが多いのですが、今年はそうでもないようです。

日照時間が足りない今年の田んぼの稲は、この分だと収穫時期がかなり遅くなりそうですね。
とはいえ、雨に濡れて黄金色に輝く田んぼの風情はなんとも良いものです。

この地では今年、3年に一度開催されるトリエンナーレの年にあたり、自然の中で繰り広げられる芸術祭を見物するために多くの人が訪れていました。
盛況と伝えられる「大地の芸術祭」の開催期間もこの週末で終了します。


越後妻有の秋はまさに実りの秋です。自然の芸術祭と言っても良いくらいです。
田や畑の収穫物ももちろんですが、山野で採れる秋の山の恵みもこの土地ならではの楽しみのひとつです。新米も山のキノコも、新酒も!

トリエンナーレが終っても、しばらくはこの地から目が離せない。

世田谷区の遊歩道に咲いていた黄色い花 … 身近な自然観察・WanderVogel2015/09/10

遊歩道の黄色い花
- -
少し雨が小振りになった東京の午後、建築検査に行った帰りに遊歩道で見つけた黄色い花。

マメ科らしいのは葉の付き方や花の形状から何となく解ったのだが、これはいったい何という木なのだろう?
とりあえず写真を4〜5枚撮って、帰って来て調べてみました。

調べてみると、カッシアという南アメリカ(ブラジル中部からアルゼンチン北部)原産の木なのだそうです。
葉の丸い「小葉のセンナ」と呼ばれるものと、葉の細い「花センナ」と呼ばれるもの、の2つの種類があるようです。

葉に形からこれは後者のもののようです。なんと、園芸品種名を「アンデスの乙女」というのだそうです。
鮮やかな山吹色の五弁の花びらは華やかで、たしかに云われてみるとそんな気がしてきます。

夜になると葉が閉じると書いてあります。
マメ科のオジギソウやネムノキと同じように、このカッシアも葉の開閉運動をするんですね。

町中を歩いただけでも、けっこう見たことない草花に出会うものです。
(って、僕が単に知らないだけなのかもしれんが・・・)

森林探訪の下見1・大雄山最乗寺 … インストラクター・WanderVogel2015/09/12

大雄山・多宝塔
- -
かながわトラストみどり財団とNPO法人 かながわ森林インストラクターの会 自然観察部会が行なう秋の森林探訪の下見に行ってきました。

今回で第81回の森林探訪になります。
今回のテーマは「大雄山最乗寺・苔むす樹齢500年のスギ巨木林を訪ねて」です。
神奈川県の西端、静岡県と接する南足柄市の山中に建つ名刹・大雄山最乗寺とその周囲の鎮守の森を歩きます。


8月中に一度踏査をして、今回の森林探訪コースを決めていたのですが、8月中旬から続いていた長雨と先日の台風の影響で、激しく降った雨水が山道を深く削り取り、当初計画していた「奥の院」からの周遊ハイキングコースはまるでアドベンチャーコースのような姿になっていました。
参加者の安全が確保出来ないということで、当初コースの下見をいちおう終えたあとに、台風の影響の比較的少ないルートに設定し直し、その踏査を行ないって「新」実施ルートを決めました。
そんなこんなで、陽が暮れる寸前くらいにやっと下見を終えることが出来ました。

お寺の周りに広がる寺領の杉林は樹齢の古さもさることながら、水源林の森としても良く手入れがなされていて、気持ちの良い明るく静かな森になっています。
また最乗寺は、秋の紅葉の名所としても広く知られていて、紅葉シーズン(11月前後)ともなると、多くの観光客がカメラを持って園内を歩き回ることになると言います。


最乗寺は曹洞宗のお寺ですので、基本的に寺院の建築様式は「禅宗様」と呼ばれる様式で形作られることになります。
「禅宗様」というキーワードを頭に入れて境内を散策するとより理解度が深まり、境内に3O棟以上点在すると言われているお寺を見る楽しさが倍増します。

昭和になってから再建された寺院・建物が多い中、もっとも古いと言われているのが写真の多宝塔です。文久3年(1863年)に建立された塔で、南足柄市の市の指定文化財に指定されています。

多宝塔は二重(二階?)になっていて、一層目(1階)は正方形、二層目(2階)は円形の平面をしています。
特に円形平面を持つ上層階のデザインは、軒の垂木の架構方法(扇垂木)や三手先の詰組、野屋根、軒先の反り返り具合など、禅宗様の雰囲気を残していると思います。

ちなみに、本堂と御真殿については、日本の近代建築の基礎を築いた建築家の一人である、伊東忠太が設計したものです。

次回(下見2)につづく・・・

森林インストラクターの技術向上研修・間伐編 … インストラクター・WanderVogel2015/09/13

間伐研修会
- -
今日は、かながわ森林インストラクターの会 森林部会主催の技術研修会、間伐研修に行ってきました。

僕の普段の森林ボランティア活動では、間伐のインストラクターとして一般参加者と接する機会は実はあまりないのです。
でも、インストラクターとして最低限の森林整備技術は当然キープしておいてくださいね、という会の方針があるので、今日は頑張って間伐技術研修会に参加してきました。
朝から15時近くまで、間伐木の選木から間伐の手順、作業の安全対策、一般参加者を指導する上での注意点までみっちりと実践研修を行ないました。

こういう技術的な事柄は、おりに触れ継続的に行なっていかないと、特に普段 間伐などの作業・指導に馴染みのない僕などは、あっという間に勘所を忘れてしまいます。

でも、今日は雨にならずに良かったぁ。
現場はけっこうな急斜面だったので、雨が降ったりすると、斜面の登り降りはもちろん、間伐作業自体も苦労したでしょうからね。

でも、今日は疲れました!

丹沢の林道で見かけたヤマカガシの子供 … 自然観察・WanderVogel2015/09/14

ヤマカガシの子供
- -
昨日の間伐研修で見かけたヤマカガシの子供

思いのほか、動きが早くて、写真はちょっとピンボケ気味です。残念。
日本に棲むヘビのうち、毒を持っているのは意外と少なくて、ハブとマムシとこのヤマカガシの三種類ですが、ヤマカガシは奥歯に毒を持っているので、深く噛み付いて毒を注入します。ですから、噛まれると噛み跡が大きく深くなると言います。

ただし、マムシなどと違ってヤマカガシの方から人を噛みにくることはありません。たいがいは逃げていきます。
春に秦野市の弘法山に登った時、登山道脇で見かけたのですが、踏みそうになる寸前までジッと動かず、踏まれる瞬間にすごい勢いで逃げていきました。長さは1.5mくらいの大人のヤマカガシでした。
これがマムシなら、たぶん噛まれていましたね。

どの動物でもそうですが、子供のうちはみな可愛いものです。

アクセスカウンター