冬の野鳥観察でもやっぱり気になる足元の草 … 自然観察・森林インストラクター2017/01/08

相模川河原のカワラハハコ
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昨日(1/7・土)参加した、かながわ森林インストラクターの会 自然観察部会主催の「冬の野鳥観察会」。
場所は、相模川中流域の神澤河原と呼ばれるエリアで行なわれました。

目的はもちろん野鳥の観察・バードウォッチングなのですが、引率・解説をしてくださった市博物館の学芸員の方のお話しによると、ここには希少種のカワラノギクの生育地があるということで、そちらの話しも(かなりマニアックな内容ではありましたが)なかなか興味深いものでした。
カワラノギク(キク科シオン属)は、環境省レッドデータブックの絶滅危惧種に指定されていて、世界でも日本の関東地方にしか見られない植物なのだそうです。相模川、多摩川、鬼怒川の三河川の一部でしか確認出来ていないめずらしい種ということです。

一級河川の中流域らしい丸い石の積み重なった河原には、ドライフラワー化したカワラノギク(キク科)とカワラハハコ(キク科ヤマハハコ属・写真)が群生しています。

カワラハハコはヤマハハコの亜種だと言います。ヤマハハコは本州では低山から2,000mを越える山の山頂付近でも良く見られる草本です。
先日歩いたネパールヒマラヤの山の標高3,000mを越える風雪厳しい尾根・稜線上でも、日本と同じようなヤマハハコ(アナファリス・トリプリネルピス)の群生が見られました。
環境の変化に対する適応力が優れているのでしょうね。
どんな厳しい気象条件、自然環境の中でも根を張り花を咲かせ、勢力範囲を広げていく術を身に付けているのだろうと思います。

カワラハハコは(カワラノギクも同様ですが)土壌の薄い、丸い石の積み重なった河原の環境の中で何とか根を張る場所を見つけ、数年に一度訪れるであろう河川の氾濫の力を利用して生き残っているようです。

ただし、上流にある相模湖ダムの放水コントロールによって、河原全体に及ぶような広範囲の河川の氾濫がない状況の中では、河原の乾燥化が進んでいるところもあるようです。そのようなところでは、カワラノギクやカワラハハコに替わって、乾燥に強い外来種のシダレスズメガヤやアメリカカルカヤなどのイネ科の植物が勢力を伸ばしています。
私たちの目に見えないところで、植物同士の生き残りをかけたせめぎ合いが繰り広げられていました。
シダレスズメガヤは英名weeping lovegrassと言われ、道路法面の崩落防止・緑化土留めのために使われてきた外来種。(weepingとはしなだれる、と言う意味で、love grassとは、イネ科 スズメガヤ属 Eragrostis の草の総称を言うので、日本語名はほぼ直訳です)

道路法面の崩落斜面や土留めのために切り崩した地面を、コンクリートですっかり塗り固めるのも景観上どうかと思うのですが、根張りの良い外来種を使って一見見栄えよく緑化すると言うのも考えものです。
かれら外来種は植物でも動物でもそうですが、異常に繁殖力・抵抗力・環境適応力が強いので、日本の固有種などはなかなか太刀打ち出来ないのですよ。
今、日本列島のあちこちで外来生物(植物)による交配・混雑・異常繁殖といった諸問題を引き起こしている「厄介者」です。


昨日は「野鳥観察」が主目的でしたので、昨日見られた野鳥を順不同でいちおう列挙してみます。(僕が確認出来たものは半分くらいでしたけど、、、)
キジ、ヒドリガモ、マガモ、カルガモ、コガモ、カイツブリ、キジバト、カワウ、アオサギ、ダイサギ、オオバン、イカルチドリ、トビ、オオタカ、ノスリ、カワセミ、コゲラ、アオゲラ、モズ、ハシボソガラス、ヤマガラ、シジュウカラ、ヒヨドリ、ウグイス、エナガ、メジロ、ムクドリ、シロハラ、ツグミ、ジョウビタキ、スズメ、ハクセキレイ、セグロセキレイ、カワラヒワ、シメ、ホオジロ、カシラダカ、アオジ、カワラバト、ガビチョウ、ナベヅル、コブハクチョウ

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