外来帰化植物のヒナキキョウソウ(雛桔梗草) … 自然観察・WanderVogel2017/05/25

ヒナキキョウソウの花
- -
日本国内では「外来帰化植物」とわざわざ書かなくても良いくらいに、そのへんに普通に帰化植物が蔓延っています。

このヒナキキョウソウもそのひとつで、北アメリカ原産のキキョウ科の植物で、横浜では1930年代から確認・報告がされていたそうです。
けっこう背の高い植物(40~50cm)なので目立ちそうですが、姿形がひょろっとしているのと、上の方にしか花を付けないせいか気付かずうっかり素通りしてしまいそうな陰の薄い植物です。
花を付けると、小さいながらも(キキョウに似て)可愛らしいので「雑草」と一緒にするにはちょっとかわいそうな感じもします。

調べてみると、上の方には確かに花(開放花)を付けるのだが、下の方ですでに種子になっているものは閉鎖花で種子を付けているのだそうです。
そのへんの仕組みはスミレと同じなのでしょうが、ほんとに植物の進化というか、子孫繁栄の方策というか、リスク分散のテクノロジーには感心させられます。

閉鎖花は、蕾み?の状態で自分の花のおしべから出た花粉をめしべが受け取り、花を咲かせないまま実を結び種子を作るという仕組みを持っています。
他の個体からの遺伝子情報が一切入らないので、閉鎖花で出来る種子からの発芽・成長は、親株からすれば一種のクローンのような感じなのでしょうが、生き残りをかけた選択肢としてはある意味確実な方法のひとつだと言えます。
その最後の選択肢を保険として残しつつ、上の方では開放花を咲かせて他の個体からの花粉を待つ、という2段重ねの方法です。

植物の中にはこのような2段重ねどころか、3段重ね、4段重ねの方策を用意しているものもあって、自然界の持つ「科学」は 知れば知るほど不思議で興味が尽きないものです。

アクセスカウンター