かなり存在感のあるヒマラヤスギの大きな毬果 … 自然観察・WanderVogel2017/07/03

ヒマラヤスギの毬果
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立派な松ぼっくりです。ヒマラヤスギの毬果です。

名前にある通り、ヒマラヤ山脈がその原産地で、もともとは標高1,500mから3,200mの高地に生えていました。
日本の山地や公園などで見かけるものは、もとから自生していたわけではなく、明治時代以降に輸入され各地で人為的に植えられたものです。
寒さ,暑さにある程度適応力があるのでしょう、日本でも標高の低い大きな都市公園などでもその姿を見ることが出来ます。

この時期(夏期)に、枝の上に握りこぶし大の樽型の毬果がぴょこぴょこと飛び出ているのを見かけます。
雌雄同株、雌雄異花と図鑑などでは記載がありますが、実際に実物を見ていると、たくさん毬果の付いている木(個体)がある反面、まったく毬果が付いていない木(個体)も見かけるので、何となく雌雄異株なのかと思ってしまいますが、どうもそうでは無いようです。

公園などに園芸樹木として植林されているヒマラヤスギの下を歩くと、足元に散けた松ぼっくりの鱗片に混じって、たくさんの枯れた細長い松かさが落ちているのに気が付きます。
昨年秋に花粉を振り撒いて枯れて落ちた、雄花の残骸です。


写真の毬果表面に見える透明なしずくのようなものは、雨水が垂れた跡などではなく、中から染み出してきた「松ヤニ」です。
不用意に触ると手が超ベトベトになります。
服やズボンに付くと簡単には落とせませんので、後始末が大変なことになります。
ヒマラヤスギには独特の香りがあって、香料などにも利用されると言います。また、強い香りにはリラックス効果があると共に、防虫効果もあるようです。

ヒマラヤスギはスギ(杉)という名前が付けられていますが、れっきとしたマツ科ヒマラヤスギ属の「松」です。
ちなみにスギは、ヒノキ科スギ亜科に属する樹木・杉ですので、科が違うということが解ります。


30年以上前に、インドの北、ジャンム・カシミール州のシュリーナガルというインド・ムガール時代から続く避暑地を旅したことがあります。
そん時、ダル湖という一面ハスに覆われた湖に浮かぶ「ボートハウス」に何泊かしたのだが、その水上家屋の建築材料がヒマラヤスギであった、ということを何年も後になって知った。
ヒマラヤスギはマツ科であることからも耐久性や耐水性に優れ、腐りにくいという性質を持っています。
カシミール地方のヒマラヤ山岳部では普通に自生している樹木ということもあって昔からたくさん産出され、使われてきた木材です。
シュリーナガル周辺のヒンドゥ寺院、木造のイスラム建築やその造園などで多く使われていたことが記録にも残っているようです。

パキスタンとインドでは、イギリス領時代にバラックや公共施設、橋、運河や鉄道車両などに広く用いられた、という記録も残っていると言います。

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