暑さがぶり返し、アブラゼミが一斉に鳴き始めた … 自然観察・WanderVogel2017/08/18

ユリノキに留まるアブラゼミ
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横浜南部、今日は雨降りも一段落。日中にパラッパラッと降った程度で、道路が濡れるほどではなかった。
時おり薄日も差して、それに伴って外気温も上がってきた。

長雨の後なので、外はムシムシと蒸し暑く、海からの風が無いとまるでサウナの中にいるような状態だった。
今まで静かにしていたアブラゼミもいっせいに地中からはい出してきたようで、街路樹に何匹も何十匹も取り付いてジーィジーィと盛んに鳴き始めていた。
アブラゼミの鳴き声は日本の猛暑に良く似合っている。いかにも「日本の夏」到来という感じがする。

アブラゼミの名前の由来は、その鳴き声が台所で揚げ物を上げている時の音に似ているからだと言う。だから余計に暑苦しく感じるんだな。
クマゼミやニイニイゼミと違って、アブラゼミは乾燥した空気に弱いと言われているので、今日のようなムシムシした湿気100%の気候は逆に気持ち良く感じているのだろう。
逆に、日本の夏を代表するこのアブラゼミも、常に乾燥状態にある都心の新宿や渋谷などではあまり見られなくなっているのではないかな?

セミは5年も6年も地中で暮らし、今日みたいに条件が揃えばいっせいにはい出してきて、葉の裏などで最後の脱皮(羽化)を行い、木に取り付いてこうして鳴き始めるのだ。
長い間を過ごす地中の姿が本来のセミの姿で、僕たちが目にするこの姿はセミにとっては、一生涯の最後に見せる一瞬の「うたかたの姿」ということだ。
この姿でいられる一週間のうちに、木々の間を飛び回りながら雄は雌を、雌は雄を探し求め、たまたま偶然出会ったもの同士が交尾をし、DNAを次へと引継いでいく。


地面や道路に死んで落ちているたくさんのセミの姿を見ると、このセミは無事に交尾出来てその役目を果たすことが出来たのだろうか?、運悪くパートナーに出会うことが出来ず力尽きたのだろうか?、などと思ってしまう。
6年に及ぶ地中での暮らしが、この一週間のためだけにあるとまでは言わないが、長い進化の中で自分のDNAを次世代へと引継ぐことが彼の(彼女の)最大の使命であるとするならば、この一週間の意味はとても大きい。

そう思って、ユリノキに留まって鳴くこのアブラゼミを見返してみると、なんとも誇らしげな姿に見える。

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