木造住宅の準耐火仕様違反と工事監理 … 建築監理・第三者監理2017/10/29

準耐火仕様の検査
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このblogでは新築住宅検査の話題は出来るだけしないようにして来たが、最近すごく気になったことがあったのでさわりだけ書いてみる。
(ちょっと生臭い話なので、興味なければ読み飛ばしてください。)


写真はある準耐火仕様の3階建て住宅の天井裏に隠蔽されることになる換気ダクトの写真。換気ダクトの材質は一般的な樹脂製のスパイラルダクトで、火には大変弱いものだ。

準耐火仕様ではダクト類が不燃物で作られていない場合はグラスウールやロックウールなどで囲うか、同等の防耐火性能のある被覆材で囲わなければいけないことになっている。
検査時にそういう突っ込みを入れると「まだ施工前の状態なんですよ」と切り返してくるだろうが、これまでの工事のやり方というのを見ていると、たんに木造住宅の準耐火仕様に対する知識が欠けていて、この先の施工などまったく考えていなかった、というのが本当のところだろう。

実際にこの状態でかまわず天井下地を組み始めていたので、検査時に指摘して天井の下地材をすぐに解体・撤去してもらった。
もともとこの時の検査の主題は、写真下の方に写っている壁の横下地材の是正検査だった。その前の検査でこの横部材が施工されていなかった(準耐火仕様違反)ことが、是正工事指示の発端だった。
この工事現場では、問題個所がひとつ解決すると、また次の問題点が発見される、ということの繰り返しだった。
つまり、造っている大工さんには準耐火仕様に関する知識がまったく無く、管理する現場監督も仕様や手順がよく解っていなかったということだ。

これまでの数回の第三者検査においても、強化プラスターボードの下地材の施工には不具合が多く見つかり、外壁や間仕切り壁のファイアーストップ材は施工忘れが頻発していた。加えて、小屋裏の準耐火仕様の施工に関しても規定通りの施工が全然なされていなかった、などなど様々なことを考え合わせてみると、問題の根本は大工・現場監督の知識不足と注意不足、ということなのだが、大金を支払う施主にとってはたまったもんではない。


この工事を担当しているのは、関東圏内ではわりと知られている設計施工の会社(提携している設計事務所が設計する「デザイナーズ住宅」というのがウリの会社なので、高額であっても一般的な規格住宅より人気があったりする)で、私のところでも過去十件近くその会社が施工する住宅の第三者監理・検査をしてきた経緯がある。
第三者監理・検査は全て施主からの直接オーダーで、施主の代理人として施主の立場で検査に立会ってきている。

これまでの複数物件の検査を通じて一貫して感じるのは、設計者や施工担当者の違いによる技術的・施工的なレベル差がかなり大きくて、施工の出来についてもその時々でかなり品質にバラツキがある、という点だ。
この「施工レベルの違い」と言うのは、上手・ヘタという意味ももちろんあるが、実際に「違法建築」に当たるかどうか、というくらい違法性の高い非常に危ないケース、ということだ。


そうした施工の出来如何にかかわらず、検査をする側としては違法なことを見過ごすことは出来ないので、施工上の不具合についてはその都度しつこく指摘し、全てきちんと是正するまで確認をするようにしている。
そうしないとそのまま「違反建築」になってしまうし、そもそも耐久性・耐震性・耐火性に大きな問題を抱えることにもなる。
その結果は、施主の利益が大きく損なわれてしまうことにつながってくる。

本来ならそういった違反や不良工事の検査・是正指示は(第一義的には)工事監理者が行なうべきなのだが、この会社の場合、施工会社から委託された「設計事務所」がその任に就くことはなく、施工会社が直接それを行なうので、施工者が施工者を検査する(自分で自分をチェックする)という大甘の格好になり、これでは「検査」の意味をなしていない。
施工会社が立てる「中立性を保って検査をする(建前の)第三者検査機関」というのも、信頼性においては五十歩百歩だ。
なにしろ依頼者がその施工会社なわけだから、表向き中立とうたってはいてもその検査機関の検査が厳格なものには成りきれないものだ。


また、いくら「経験豊富なデザイナーが設計した個性的な住宅」とわざわざ銘打った住宅であっても、設計者が図面を描きっ放しで、施工には一切関知しない・監理出来ない(施工会社との契約上そうなっているのだろう)のであれば、まったく中途半端な仕事だと言わざるを得ない。
おまけに、細かい図面やディテール、施工上の注意点などの指示が無いのであれば、肝心なところは施工者任せで、そこに違法性があろうと造り易いように造ってしまう、と言うことになる。

で、当然そういうやり方をしている会社は、この現場でもその他の現場においても同様の欠陥・トラブルが多発している。
ほとんどは、仕上げ材が施工されてしまうと隠れて見えなくなるところなので、施主は竣工後に何か重大な欠陥が表面にあらわれて来るまでそのことに気が付かないということになる。


運良く違反箇所を施工中に発見し是正に着手したとしても、その結果施工期間が大幅に延長となり、引渡しが半年も一年も伸びてしまう、といったケースも多く発生している。
施主にとっては仮住まい費用や引越しの費用、精神的な負担が膨らんでいくことになるのだが、そういった金銭的な面の保証・違約金に関してもスムーズに話し合いがつかず、双方で弁護士を入れてやり取りをせざるを得ないケースも実際に出てきている。まあ、一般的な弁護士は建築に関しての知識は施主以下なので、トンチンカンなやり取りになることが多いだが、、、
そしてそれは施主にとってまったく利益のない、不毛のやり取りが繰り返されることになる。


これでは、職業倫理なんてあったもんじゃない。

(こういう話題は、書き始めると文字数が多くなってしまうし、だんだん腹立ってくるので、実はあまり書きたくないんだよな。)

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