山の自然素材を使って作るアート(カラスノエンドウ) … Nature Art・Workshop2021/08/01

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「タネ・種子」に注目して作った標本風のサンプル作品:カラスノエンドウ(ドライフラワー)
「森林インストラクターと山を歩き、山で収集したもので作品を作ってみよう」という“森のワークショップ”の一環で作成した、WS用の個人的な「習作」

カラスノエンドウ:マメ科ソラマメ属の越年草。
春先にピンクと赤の目立つ色合いのいかにもマメ科らしいフォルムの可愛らしい花を咲かせる。果実はそのままエンドウマメを小さくしたような形状をしていて、やがて黒く色付いてくる。
熟してくると外側の黒い莢が強烈によじれて、中の種をパンっと勢い良く弾き飛ばす。自力で種を遠くに飛ばすこの仕組みは感動的だ。

作品化するには、捩じれた莢と絡み付く蔓がバランス良く付いているパーツを採取すること。すでに種子が弾き飛ばされている場合は種子も別に採取しておくことで後々の作品づくりの助けになる。
雑草扱いのカラスノエンドウだが、こうしてバランス良く配置し額装してみると、種子散布の不思議とそのメカニズム・ディテールの複雑さに感心させられるものとなる。

まさしく「種子萌え」な一品だ。

ヤハズエンドウ(矢筈豌豆、Vicia sativa subsp. nigra):
カラスノエンドウ(烏野豌豆)という名が一般には定着しているが、ヤハズエンドウというのが、標準和名。
近縁の仲間には、スズメノエンドウ(Vicia hirsuta)、カスマグサ(V. tetrasperma) などがある。この3種は、いずれも路傍に生えるごく普通な雑草で、生育の季節も共通するため、往々にして混生する。

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山の自然素材を使って作るアート(ブナ) … Nature Art・Workshop2021/08/02

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「タネ・種子」に注目して作った標本風のサンプル作品:ブナ・山毛欅・椈
「森林インストラクターと山を歩き、山で収集したもので作品を作ってみよう」という“森のワークショップ”の一環で作成した、WS用の個人的な「習作」

ブナ:ブナ科ブナ属の落葉広葉樹
新葉は銀色に輝く細かな柔らかい毛で覆われ、春の芽吹きはなんとも可憐で美しい。新葉の展開と同時に開花する。
秋には綺麗に「黄葉」「紅葉」するので、その姿も見どころ。殻斗の中には2個の堅果が入っていて、種子散布方式は殼斗ごと地面に落とし野生動物に食べられるとともに一部を運んでもらう方式だ。冬芽にも特徴があって、細長いきれいなライフル弾型(披針形/ひしんけい)をしている。
良く似たイヌブナはブナよりも低い標高で見られるが、殼斗も小さく果実も小振りだ。

ブナの実はソバの実に似るため「そば栗」とも呼ばれる。
毎年、大量の実を落とすブナだが、地面に落ちたブナの実は山に棲む野生動物(ツキノワグマ、ネズミ、リス、ムササビなど)の貴重な食料になり、その場であらかた食べられてしまう。
そこで、ブナは数年に一度、大豊作の年を作るようにDNAにプログラムされているのだ。そして野生動物の食べる量を大幅に上回る数の果実を作り地面に落とす。そのようにしてブナは子孫を残すチャンスを広げているのだ。実に賢く涙ぐましい生存戦略だ。それほど気を使って種子をバラまいても自然界ではなかなか実生が育たないという厳しい現実もあり、人生同様に樹生もそうなかなかうまくは行かないということだな。

令和3年(2021年)度もブナの実が大豊作となる可能性が高いという。ブナの実が豊作となると、ブナの実を好物としているツキノワグマの栄養状態が向上し、翌春に生まれる子熊の数が増えると言われている。ブナの実付き具合は山の食料事情を大きく左右する大切な指標となっている。


作品づくりでは、フォルムのきれいな個性的なかたちの殼斗と果実(種子)を同時に採取しよう。4裂して広がった殼斗は刺状の突起が特徴でかなり変わった姿をしているが、そこがブナの果実の特徴だ。果実にははっきりとした3稜がある。
ブナの殼斗はゴツくて迫力があるので、額装するにあたってはその迫力に負けないくらいの少し粗っぽいテクスチャーを持つ台紙(ネパール和紙など)にレイアウトすると良いだろう。何ごともバランスが大切なのだ。


ブナ(山毛欅、橅、椈、Fagus crenata Blume)
日本の温帯林を代表する樹種。
中国語で「山毛欅」とは、中国ブナを指す。「橅」の漢字は近年作られた和製漢字。
雌雄同株。5月頃に葉の展開と同時に開花する。果実は総苞片に包まれて10月頃に成熟し、その殻斗が4裂して散布される。
殻斗に包まれた2個の果実(堅果)は、断面が三角の痩せた小さなドングリのようなもの。

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ネパールヒマラヤ・Phuへの旅/記録 6 … 海外・WanderVogel2021/08/04

Phu村のバッティにて
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写真:Phu村で唯一開いていたバッティにて、2018年12月

Phu村で唯一開いていたバッティで朝を迎えた。
旅では毎晩ガイドのラムさんが湯たんぽを用意してくれる。極寒の室内でもベッドの中だけは極楽だ。う~ん、やはり湯たんぽはありがたい!

朝食の時に聞いてみると、このバッティの一家も含めて、村人はだいたいみな今日中に下のkyang村まで下るのだそうだ。
いやそうだとすると、昨夜いきなり来て泊まることが出来て、ホントにラッキーだった! というか、1日ズレていたらどうなっていたことか!ほんと今回も冷や汗ものだった。(実際その話を聴いたときは恐ろしさで身体が震えた。)

Phu村では冬は、年寄り連中は動物たちを連れてKyang村あたりまで下って「冬ごもり」をする。若い人はカトマンズまで出稼ぎに行くという。
12月以降の冬期間は、まとまった積雪があるとKyang村からPhu村までの山道(生活道)が閉ざされてしまうので、村人はみな下の村に下るとのこと。そうなると、我々のような外国人がこの間にトレッキングをすることなど到底 ”無理”ということだ。なんとか村までたどり着いても泊る場所もなく、食事すら手に入らないというのでは、命にも関わる問題だ。
ひと雪ドカッと降ればそれこそ言葉通り「進退窮まる」事態になりかねない

村人と共に下って行くロバや馬、ヤギ、ヤクの隊列を眺めながら、ガイドのラムさんと「いやぁ~、ギリギリセーフ!という感じだったな。到着が一日遅れていたら途方に暮れていただろうな」などとしみじみ話しをした。

朝食後、Phu村を散策。村自体はそれほど大きくないので1時間もあればぐるっと一周することが出来る。すり鉢状の地形に沿って家屋が展開しているPhu村の裏山頂上に建てられている古いゴンパまで登ってみる。上からの村の俯瞰もなんとも幻想的で不思議な光景だ。(僕が出発間際に見た写真がまさしくこれだった。)

標高4,080mのPhu村でも夏の間は(種類は解らなかったが)「麦」が収穫出来るのだそうだ。逆に、荒れた地でも良く育つと言われる「蕎麦」は、標高が高いゆえに育たないのだそうだ。
この乾燥した地だと青菜類も採れそうにないだろうし、耕作の条件としては最悪な土地の部類だろう。食料にせよ他の物資にせよ、ヤクや馬、人の背を利用して運び込むしか方法が無いのだが、交易の民「チベット族」ならそのあたりはNo Problemなのだろう。


朝9時を回るとPhu Kholaの河原にまで太陽の陽射しが射し込み、Phu村全体に陽が当たり出す。
昨夜泊ったバッティも各扉に外から大きな錠が掛けられ、旅立ちの準備をしている。
バッティの一家も他の村人と家畜と一緒に今日中にKyangに下るのだと言う。

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山の自然素材を使って作るアート(ナガミヒナゲシ) … Nature Art・Workshop2021/08/05

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「タネ・種子」に注目して作った標本風のサンプル作品:ナガミヒナゲシ・長実雛芥子
「森林インストラクターと山を歩き、山で収集したもので作品を作ってみよう」という“森のワークショップ”の一環で作成した、WS用の個人的な「習作」

ナガミヒナゲシ:ケシ科ケシ属
ヨーロッパ地中海沿岸原産のの一年草または越年生植物。春先から初夏にかけて道端などで生育し、目立つオレンジ色の花を咲かせる。
非常に強い繁殖力を持ち、他の植物の成長を妨げてしまうため、全国の多くの自治体で「注意すべき外来植物」に指定している困った植物だ。
ここで取り上げている「山で見られる植物」というわけではなく、日光が当たる場所であれば街中であれ花壇の植込みであれどこでも爆発的に繁殖しているのを見かける。

蕾みの時には深々とうなだれているが、開花する時にはまっすぐ上を向く。毛が密生する萼に包まれた蕾みは、開花するときには萼を脱ぎ捨てる。

種子散布のシステムがこれまたユニークで独特。非常に良く出来ている。
果実が熟して乾燥すると柱頭との間に8箇所程度の隙間・スリットが円周に沿って開いてくる。縦に細長い果実の内部にはフィン状の縦のガイドが設けてあって、上部のスリットから吹込んだ風をガイドに沿って下に送り、その力を利用して逆に種子を押し上げ外へと浮き上がらせ排出、散布する、というメカニズムを持っている。

合わせて、風靡(ふうび)散布あるいは風力射出散布と呼ばれるような、風の力で果実自体を激しく揺さぶることによって広範囲に種子をまき散らすという二重の仕組みを組み合わせている。そのためにその身体のサイズに似つかわしくないほどの高く長い茎を持っているのだ。


採取にあたっては少し注意が必要だ。ナガミヒナゲシの茎や葉には植物毒の「アルカロイド」が含まれているので、採取中に黄色い汁が手に付くと、皮膚の弱い人はかぶれやただれを起こす恐れがある。(鈍感な僕は平気なのだが、、)

そんなやっかいなナガミヒナゲシだが、その種子散布の巧みにスポットを当てて作品づくりをしてみるとかなり面白い。
種子散布の仕組みが解るようデザインし、レイアウトにも工夫をこらすと楽しい作品になるだろう。
果実が緑色のうちに採取して吊るしてドライフラワーを作り始めても問題はない。ドライフラワー化する過程でスリットが出来、種子散布の準備は進んでいく。ただ、問題がひとつあって、この細かい種子は出尽くすということが無く、いつまでも細かい種子が出続けることだ。


ナガミヒナゲシ(長実雛芥子、Papaver dubium)
果実(芥子坊主)は細長く、和名の長実雛芥子はここから付けられた。
株立ちして育つことも多く、大きな株では一株で100個もの実をつけるという。果実の中にはケシ粒大の種子が入っていて、一つの果実には約1,600粒もの種子が内包されているという。ということは、大きな株ではそれひとつで16万粒もの種子を周囲にバラまくという「飽和攻撃」により他の植物を駆逐していく、ということになる。ある意味、無敵な植物なのだ。外来生物恐ろしや。

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山の自然素材を使って作るアート(タマアジサイ) … Nature Art・Workshop2021/08/07

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「タネ・種子」に注目して作った標本風のサンプル作品:タマアジサイ・玉紫陽花
「森林インストラクターと山を歩き、山で収集したもので作品を作ってみよう」という“森のワークショップ”の一環で作成した、WS用の個人的な「習作」

タマアジサイ:アジサイ科アジサイ属の落葉低木
平地で咲く様々な種類のアジサイの花期が終わった後の7月から9月過ぎにかけて花を咲かせる。淡紫色の小さな両性花の集まりの周りに、4枚の花弁(正確には花弁ではなく萼片)の白色の装飾花が縁どり、丹沢の沢沿いの林道などではけっこう目立つ存在だ。

両性花は、秋に実が熟す。果実は朔果(さく果)で、熟すると花柱の根元が裂開し下部が裂けて、種子がこぼれ落ちるという散布方式(風散布)をとっている。
種子散布が終わり、全体が枯れた後も萼と花柱、ドライフラワー化した周りの装飾花(4枚の萼片)がいつまでも残るので、翌年の開花時期を過ぎても昨年の花が枯れた姿で残っているのをよく見かける。

種子は1mm以下とかなり小さく、楕円形で両側に翼状の薄い膜を持ち、まるで、セロファンに包まれたキャンディーのような形状をしている。

作品づくりに関して、採取時期は自然にドライフラワー化する冬以降が良いだろう。年を越しても問題なくきれいなものを採取することが出来る。
すでに中央の両性花も周囲の装飾花(萼片)も枯れた色をしてしまっているので、そこはフォルムとレイアウトの工夫で面白い作品に仕上げていこう。
種子もユニークな形状をしているのだが、なにせサイズが小さ過ぎて、組み入れるのには一工夫が必要だ。
サンプル作品では額もベースも同系色としているが、地味過ぎてパッとしなかった。バックに関しては、白色に近い色の方が花自体のシルエットを強調出来て良いと思う。


タマアジサイ(玉紫陽花、Hydrangea involucrata)
蕾が球形なのでこの名がある。丹沢一帯から箱根にかけて多く自生しているポピュラーな樹木。
中央に両性花を配し、周囲にいくつかの装飾花を持つタマアジサイだが、装飾花の雄しべと雌しべは退化してしまっているので結実することはない。
装飾花の役目は目立たない両性花に代わって虫たちを呼ぶ寄せる働きをしている。そしてうまく受粉が成功すると、装飾花はその役目を終え、頭を垂れうつむき、虫たちに受粉完了のサインを送ることになる。
誰が考えたのか、まったく良く出来たシステムだと感心させられる。自然の作り出す「しくみ」のなんて神秘的なこと。

同じようなシステムを持つものに、ヤマアジサイやガクアジサイ、ノリウツギなどがある。みな同じアジサイ科アジサイ属の落葉低木だ。

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黄色いツルウメモドキの果実 … 自然観察・WanderVogel2021/08/08

黄色いツルウメモドキの果実
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普通、ツルウメモドキの実というと黄色い果皮と橙赤色の仮種皮というのがよく見かける姿なのだが、一昨日見かけたものは緑色の果皮と黄色い仮種皮というシックな組み合わせのものだった。猛暑のこの時期にすでに果実化しているのもかなり気が早い。

葉や若芽の形がウメ(梅)に似ていて蔓性であることから、ツルウメモドキという名が付いたが、実感としては名前ほどにはウメには似てない気がする、、
モチノキ科モチノキ属の「ウメモドキ(梅擬)」は、葉の形や寝癖の様にあちこちにぴょんぴょん枝を出す枝振りがウメに似ていると言えなくもないが、紅い小さな実を密集してつける果実はウメには全く似ていない。
また、クロウメモドキ科クロウメモドキ属の「クロウメモドキ(黒梅擬)」も果実は全くウメではない。
面白い呼び名だが「海クロウメモドキ」という植物もいる。ヒマラヤ山中でも見かけられるが、地中海沿岸から中央アジア、中国にかけて自生しているグミの仲間で、英語圏では、サジー(saji)、シーバックソーン(Sea buckthorn)、シーベリー(Sea berry)などと呼ばれている。グミ科ヒッポファエ属(Hippophae)の落葉低木で、昔から栄養価の高い果物として親しまれている。海クロウメモドキに至っては、ウメにもクロウメモドキにも似ていない。

というように、なぜか「~ ウメモドキ」と名の付いた樹木は意外に多いのだが、どれもウメには似ていない気がするのに何故その名が付いた?、と少し疑問に思う。

目立つ色の仮種皮に包まれた種子は小鳥に食べられ遠くまで運ばれる。広範囲に子孫を散布してもらうのが目的だ。
硬い仮種皮は小鳥がついばみやすくする為にだろうか、果実が熟すと3つに割れて反っくり返る。艶やかな仮種皮はいかにも美味しそうだ。

ニシキギ科ツルウメモドキ属(蔓梅擬、学名:Celastrus orbiculatus)の落葉つる性木本
雌雄異株で、葉腋に短い集散花序を出す。果実はさく果。
花期は5~6月頃で、通常10~12月になって黄色く熟し、果皮が3つに割れ、橙赤色の仮種皮があらわれる。
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山の自然素材を使って作るアート(アオギリ) … Nature Art・Workshop2021/08/09

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「タネ・種子」に注目して作った標本風のサンプル作品:アオギリ・青桐
「森林インストラクターと山を歩き、山で収集したもので作品を作ってみよう」という“森のワークショップ”の一環で作成した、WS用の個人的な「習作」

アオギリ:学名:Firmiana simplex、雌雄同株で、雄花が先行して開花し花粉を飛ばす。
アオイ科(APG III分類、従来の分類ではアオギリ科)アオギリ属の落葉高木。中国南部・東南アジア原産で、本土には自生していない。

山野で見かけることはあまり無く、人為的に植えられた公園樹、街路樹として都市部などでよく見かけられる。
名の由来は、葉っぱがキリ(桐)の葉に似ていて、幹の色が緑(アオ)に見えるため「アオギリ」と名付けられたが、キリ(キリ科 Paulowniaceaeキリ属)の仲間ではない。花も果実もキリとは全く違う形状をしている。

6月から7月に黄白色5弁の小花(花弁ではなくガク片)を群生させ、果実は10月ころに熟すが、舟形をした心皮は5片に割れ、その心皮の縁辺に1~5個の小球状の種子を付けるのが特徴。かなり高い位置に花を咲かせるので、条件が良くないと果実の採取には苦労する。気が付くと強風で四散してしまったり、管理業者に剪定されいつのまにかサッパリと整理されてしまったりするので、きれいなものを手に入れるのもタイミングと条件次第だ。

種子は結構しっかりと心皮の縁に張り付いているので簡単には剥がれ落ちないが、作品化するにあたって心配であれば瞬間接着剤で留めておいた方が良い。
形自体が変わっていて作品化しやすそうだが、個体によって大きさがまちまちなのでレイアウトに工夫がいる。
写真のものは額自体大き目のものを使用し、額自体も白く塗装し台紙も白色のものを使用、心皮にも一部に彩色を施している。

種子の風散布の仕組みは良く出来ていて、強い風に乗ってボート状の心皮の縁に種子を乗せたまま枝から吹き飛ばされ、ヘリコプターの羽のようにくるくる回転しながら落下していく。
小さな丸い種子は古くは食用にされ、太平洋戦争中にはコーヒー豆の代用として使われたとも書かれているが、どうなんだろう。まぁ、昔の人は大概のものを口にしてきた経緯があるので、「昔は食用にされた」と言っても話半分で聞いていた方が良い気もする。

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山の自然素材を使って作るアート(ベニシダ/紅羊歯) … Nature Art・Workshop2021/08/11

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「シダ/羊歯」に注目して作った標本風のサンプル作品:ベニシダ(押し葉)
「森林インストラクターと山を歩き、山で収集したもので作品を作ってみよう」という“森のワークショップ”の一環で作成した、WS用の個人的な「習作」

ベニシダ:
シダの押し葉の標本でよく見かけるのは、成長した2回羽状複葉の葉の姿が多いように思うのだが、ここでは地上に出たての若芽を作品づくりの題材としてみた。
紅色を帯びた若芽はモサモサの毛で覆われ、成長した姿とはまた変わった様相を見せていて面白い。個体によって明るい紅色から濃い茶色までカラーバリエーションがあり楽しめる。
春先、若芽がまだ十分に伸びきらないうちに採取するのがポイント。押し葉にする際にも作品の出来上がりを想像しながら、産毛を痛めない様に時間をかけながらていねいに押し葉作業すると良い。

作品づくりでは、ハガキ大の画面にどのようにレイアウトしていくかがデザインのポイントだろう。
上記作品はガラス板にサンドイッチして作成しているが、その方法だと2~3年は全く変化無くこの状態を維持させることが出来る。
ガラス板で挟まないやり方だと劣化(あるいは虫害)で1年も持たずにポロポロと崩れていってしまうので注意が必要だ。

シダは花を咲かせない植物なのだが、なぜか花言葉があるそうで、「魅惑」や「誠実」「愛らしさ」という花言葉があるという。
ヨーロッパ(どこの国だか知らんが)に伝わる「シダは夏至の夜にひっそりと花を咲かせる」という魅惑的な言い伝えが由来らしい。

ベニシダ(紅羊歯、Dryopteris erythrosora)オシダ科 オシダ属
日本(本州以南)を含む東アジア南部、南はフィリピンまで自生し、草原や明るい林内などによく見られる。
欧米では、Japanese shield fern、Japanese wood fern、autumn fern、copper shield fern などの名前で呼ばれる。
常緑性で、茎は長さ50cm前後、幅20cm前後の2回羽状複葉。
若芽は紅色をしているためにこの名があり、また若いソーラス(胞子嚢)も赤く色付く。

シダ関係の過去のブログ:https://hd2s-ngo.asablo.jp/blog/2017/06/04/8585421

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山の自然素材を使って作るアート(イワタバコ) … Nature Art・Workshop2021/08/12

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「タネ・種子」に注目して作った標本風のサンプル作品:イワタバコ・岩煙草
「森林インストラクターと山を歩き、山で収集したもので作品を作ってみよう」という“森のワークショップ”の一環で作成した、WS用の個人的な「習作」

イワタバコ:岩煙草、Conandron ramondioides Siebold et Zucc.、イワタバコ科イワタバコ属
別名:イワジシャ(岩千舎、岩萵苣)、イワナ(岩菜)、ヤマジシャ(山萵苣)とも呼ばれる。(ジシャ、チシャとはレタスのこと)
和名の由来は、岩場に生え、葉がタバコの葉に似ているので名付けられた。若葉は食用とされる。
日本の本州、四国、九州、沖縄および、台湾などの山地に一般に分布し、日当たりの悪い湿った岩や崖に生える多年草。いつも水がにじみ出ているような日陰の岩壁に群生しているのが見られる。
細長い朔果は長さ約1cmの広披針形で2つに割れる。(ほとんど粉のような)紡錘形の種子が多数入っている。

神奈川県内では鎌倉長谷寺や東慶寺、円覚寺などのイワタバコ(ケイワタバコ)の群生がよく知られているが、神武寺はじめとした三浦丘陵一帯と丹沢および箱根などに広く分布している。ざっくり言うと鎌倉や三浦丘陵一帯にはケイワタバコが多く見られ、丹沢の沢沿いなどではイワタバコが見られる。
ただ、丹沢や箱根でもイワタバコとケイワタバコの両方が自生していて、場所によって棲み分けされていると言われている。山地の沢だけでなく、秦野市菩提のわさび園の沢や石垣などでも普通に見かけられる、丹沢では割りとポピュラーな花というイメージだ。
丹沢は基本的に丹沢層群の地層を構成する凝灰岩(緑色凝灰岩)が多く、岩質が水分を含みやすいこともあってイワタバコの生息にはもってこいの環境なのだろう。

採取にあたっては、自然保護を最重点に考え、種子が放出された後の枯れたものを個体を痛めず慎重に採取するか、個人のわさび棚などに生えているものを一声掛けて採らせてもらう。写真のイワタバコの枯れた朔果のサンプルは「ケ」の付かない「イワタバコ」。
2つに割れた朔果はそれ単体で見てもけっこう芸術的なフォルムをしていて、なかなかに「萌える」ものである。
ただ、そうそうたくさんのサンプルを採取することが出来ないのが難点だ。


イワタバコとケイワタバコの区別について:同定は結構やっかいだが、このへんを詳しく解説している他人のブログ記事を参考にすると、「ケイワタバコの葉は主脈が葉身(ようしん)の中央を通らず片側に寄っており、左右対称でないことが大きな特徴。主脈は曲線を描く。(毛がどうこうは一切無視して)この点をもってケイワタバコであろうと当たりを付けると良い。葉の表面は強めに縮緬(ちりめん)状になる。」とあった。

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ネパールヒマラヤ・Phuへの旅/記録 7 … 海外・WanderVogel2021/08/13

Kyang村周辺の風景、2018年初冬
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写真:Kyang村周辺の風景、2018年12月

Phu村を出発すると、あとは基本的に下るだけだ。道々のバッティ事情もすでに解っている。そう思うと不安を抱えた昨日までと違い精神的にけっこう楽なものだ。
快晴の天気に気分も良く、鼻歌まじりで歩いて行ける。

お昼過ぎに陽当たりの良い丘の上に造られたKyang村に到着する。(写真)
しかし、昨日昼食を食べたバッティにはすでに住人はいなかった。その下に見えるもう一軒の民家に村人が出入りしているのがチラリと見えたので行ってみる。地元の村人とヤクの放牧に来ている人が、今まさに食事を取ろうとしているところだった。ラッキー!です。幸運ですよ!

我々もそこでなんとか昼食にありつけることが出来た。面倒な注文・お願いはもちろんやめた方が良かろうと、トマトスープとチャパティを頼む。それと手持ちのチーズで僕は簡単に昼食を終える。チャパティはベニヤ板のように硬く、味も素っ気もなかった。
ガイドのラムさんとポーターくんは地元の人たちと同じようにチベット風に味付けされたダルバートを食べる。
(後日、今回のトレッキング中の食事の話しになったのだが、彼らにしてもチベット風に味付けされたダルバートは超マズかった~。 と吐露していた。)

そこでミネラルウォーターを1本売ってもらう。1L=Rs350、Kathmanduなら1本 Rs20~30程度なのにねぇ。
他の観光地トレッキングコースの場合、車やヘリでの大量輸送が可能だが、このあたりでは、一昔前と同じように基本的に馬や人の背に背負われて運ぶしか選択肢が無く、かつ滅多に外国人トレッカーが訪れない地なので余計に高く付くのだろうな、と理解は出来る。
が、、いったい何時のミネラルウォーターなのだ?

とりあえず、質素な昼食を終え、Kyang村を出発する。
快晴で陽が射してはいるのだが、風が強くひどく冷たくなってきた、ダウンジャケットとハードシェル、バラクラバ、ウールの帽子と手袋は離せられない。
オーバーミトンを持ってこなかったことを後悔する。標高が下がってくるにしたがって、冷たい風が出てきて身体を急速に冷やしていく。

そうこうしているうちに上空には雲が湧いて来始め、山に掛かるようになってきた。雲の動きも速い。
そういえば、登っていた時も標高の低いところの方が天気が不安定で積雪もあったな。
周りがうす暗くなりかけた時、やっとChyakku村のバッティに到着した。今日の行動時間は6時間超、今日も良く歩いた。

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