シルクロードを放浪する老バックパッカーの想い出18 … 海外・WanderVogel2021/10/05

スペインコルドバのメスキータ内部
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写真:1997年9月、スペインコルドバのメスキータ内部、「円柱の森」と呼ばれる礼拝空間。

コルドバのメスキータ(Mezquita)は、スペインに現存する唯一の大モスクで、後ウマイヤ朝の至宝とも言うべき建築物だ。
8世紀後半から始まったモスクの建設は何度も増築を重ね今の姿となった。このメスキータ(スペイン語でモスクのこと)で特筆すべきものが、この「円柱の森」とその外に広がる「オレンジのパティオ(中庭)」なのだ。


「円柱の森」は、何本もの円柱によって支えられた天井高さ10mの礼拝空間で、そこには反復し無限に連続してゆくリズミカルな空間が広がっている。
この広い空間を支える無数の円柱は、世界各地から集められた時代も様式も異なる石の柱材を再利用したものなのだ。そのため、長さが足りずに寸足らずな円柱しか集めることが出来なかった。そこで、この高い天井を支えるために考え出された工夫が、この二重アーチ構造というわけだ。

奇しくもこの二重アーチ構造は、赤いレンガと白い石灰岩を交互に配するという斬新な配色デザインを取り入れたことで、世界に類のない唯一無二の特異な造形空間を生み出すことになる。独創的な構造解析手法が美しいデザインへと昇華した瞬間だ。


規則正しくオレンジの木が植えられたパティオは、この「円柱の森」の礼拝空間の外に広がる中庭空間として、メスキータ全体を囲む広大な外壁(回廊)によって囲まれている。
コルドバのメスキータの大きな特徴は、内部空間である「円柱の森」で繰り返される円柱の延長線上に沿って、規則正しくオレンジの木(古くはナツメヤシ、月桂樹などが植えられていたという)が配されていることだ。
レコンキスタ後にカトリック教会として転用されるまでは、この中庭と礼拝堂の間に壁は無く、文字通り空間的にも内部の円柱と外部の樹木のラインが一体化し、視線が礼拝室奥のキブリ壁 ・ミフラーブ(Mihrab)へと流れるように連続していたのであろう。


後ウマイヤ朝、ナスル朝、ムデハル様式の建築と庭園、南スペインには北インドやイラン、トルコなどとは異質の輝きを持ったイスラム建築の至宝が今も息づいている。
1997年9月から10月にかけての1ヶ月間、僕たちはロンダやアルハンブラのパラドールに泊り歩きながら秋色に染まるアンダルシアを旅した。

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