魚沼丘陵で見かけたヤマブドウの若い実 … 自然観察・WanderVogel2017/07/26

ヤマブドウの若い実
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先日行った魚沼丘陵での1枚。ヤマブドウの若い実。

径の脇にはあちこちにこのヤマブドウの姿を見ることが出来る。やはり新潟、自然はとても豊かだ。
春先の山菜というイメージの強い「ワラビ」は、この暑い時期にもどんどん新芽が出てきていて、盛夏までワラビ狩りを楽しむことが出来る。
ただ、こちらでは当たり前すぎるのか誰も採ろうとはしないので、伸び過ぎたワラビがワサワサとジャングル状態に茂っているのであるが。

野生種のヤマブドウは栽培品種のブドウと違い、雌雄異株の木なので雄雌両方の株が近くに無いと実を結ばない。
それにしてもこのヤマブドウの株は見事だった。大きな実を付けた房がまさに鈴なりに実っていた。
ブドウの実は当然、この山に棲む動物たちの大切な食料になるのだろうが、時期が合えば熟す頃に再びここへ来て、山ぶどう狩りを楽しみたい気分になる。

ヤマブドウの実は、そのまま食べても美味しいし、ジュースにしてもジャムやシロップ漬けにしてもなかなかいける。
もちろん、果実酒にしても美味しいことは言うまでもないのだが、聴くところによるとヤマブドウで果実酒を作ると「ワイン」の扱いになり、作ること自体が酒税法に抵触するということのようだ。

ヤマブドウのツル(蔓)で作る籠や皿、バッグなどは山の工芸品の中でも特に珍重され、買うととても高価なものなのだが、他のつる性植物の蔓と違って採取して編むまでの加工やなめしがとても大変のようで、こればかりは素人ではなかなか手が出ない作業だ。
ブドウのツル製品がとても高価なのもうなずけます。

やっと正体が判明しスッキリ!・ヤマウツボ … 自然観察・WanderVogel2017/07/25

西丹沢のヤマウツボ
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今年の5月、西丹沢の上流域でのフライフィッシングの最中に見つけた変な植物?です。

見つけた時は、ヤマウツボかな?とは思ったのですが、なんだかちょっと全体のシルエットが違う気がしていて、頭のどこかにずっと引っ掛かっていました。
昨日ふとしたきっかけで同定出来て、モヤモヤがスッキリ解消しました。やはりヤマウツボでした。
こういうことがあるから、解らないものを見つけた時にはしっかりと写真を撮っておくのが良い。あとから同定するのに役立つように、特徴がきちんと解るように様々な部位を細かく撮っておくのが大切です。

オニク(御肉)という変な名前の植物かなとも思いましたが、オニクは8月から9月にかけて開花すると書かれているので、5月の時点でこんな感じということはやはり開花時期が違うようです。
オニクは「滋養強壮・強精剤として漢方薬の原料になる高価なもので、木曾御岳山や富士山麓のオニクは特に有名」、と書かれていたのでちょっと期待したのですが、やはりこれはヤマウツボで間違い無さそうです。

5月から7月にかけて開花するヤマウツボですが、下から花が咲き始めだんだんと上に向かって咲いて行くということなので、こういう姿というのも納得出来ます。
ヤマウツボもオニクもともに同じハマウツボ科で、カバノキ科やブナ科の根に全寄生する葉緑素のない一年草。丹沢を含め、本州以北の亜高山で見られます。

ブナをはじめ、西丹沢の畦畔林にはヤシャブシやケヤマハンノキなどカバノキ科の樹木も多く生えているので、育つ環境としてはピッタリと言える。
そこまで写真を撮りきれていないのが迂闊ではあったが周りに散らばる落ち葉を、撮ってきた写真から探って見るとハンノキ属の葉っぱや果穂、雄花序などは見当たらなかったが、ブナの葉はたくさん確認出来たので間違いないだろう。(あとはケヤキとイタヤカエデ、イロハモミジなどが写っていた。)

この場所にはヤマウツボが群生して7~8本生えていました。
ヤマウツボの群生が丹沢の山中で見られるというのはやや珍しいと言えるかな?


同じ仲間のハマウツボの方は、僕の住んでいる金沢八景の海のそばでよく見られます。
ハマウツボは樹木の根ではなく、シロツメクサ(マメ科)やヤブジラミ(セリ科)といった草本の根に全寄生して、春先(5月頃)に勢力を伸ばして姿を現します。
ヤマウツボと同じ仲間と言ってもその姿かたち・印象はかなり違っていて、パッと見、違う種類に見えてしまいます。

野島のハマウツボ:http://hd2s-ngo.asablo.jp/blog/2016/05/11/

この時期、野山で一番目立つ花・ヤマユリ … 自然観察・WanderVogel2017/07/24

ヤマユリの花
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昨日の続き、、

日本原産のヤマユリは、花自体が大きくてかなりハデな姿なので、咲いていると遠くからでも一目でその存在がわかります。
この時期、ヤマユリもちょうど開花の真っ盛りなのですが、地面に目をやるとあちこちにイノシシが掘り起こした痕跡を目にします。ヤマユリのユリ根を狙って掘っているのでしょうか?
人にとっても縄文時代からユリ根は大切な食料でしたし、今でもユリ根は日本人の食文化には欠かせない食材ですよね。

ヤマユリは神奈川県の県花に指定されています。
その背景としては、神奈川県がヤマユリの有数の自生地であったこと、明治初期から昭和初期にかけて、日本から外国への主要な貿易品であった「生糸」と並んで、「ユリ根」の積み出し港(日本から輸出されるユリの球根の9割近くは横浜港からだったようです)だったから、とのことです。
明治6年(1873年)、ウイーン万博でヤマユリを含む日本のユリの花が大好評を博したことを契機に、それ以後ヨーロッパやアメリカへのユリ根の大量輸出が始まったのだと言われています。

神奈川県でも、農家でヤマユリの山採りや栽培が盛んに行なわれたようです。
輸出が始まった当初は、神奈川県をはじめ関東地方の山野にイヤと言うほど(?)自生していたヤマユリですが、その「山採り」の量は、一説では数百万球とも一千万球とも言われています。
ちなみに、明治41年(1908年)の国産百合根累年輸出額表という記録によれば、輸出量は1,200万球に上ると記録されています。最盛期にはなんと4,000万球にも達したとも言われていますので、驚きしかありません。
もちろんこの中には、栽培されている分も含まれているとは思いますが、それにしても今から考えると、「いくら売れるとはいえ、どんだけ採るんだよ!」という感じです。
それだけヨーロッパ、アメリカでの人気が高かったということなのでしょう。


余談ですが,先週末に出張で立ち寄った十日町市の旧中里村では353号線の脇や117号線の津南村との間の街道脇で、カサブランカを売る出店をたくさん見かけます。
カサブランカは日本原産のヤマユリのハイブリット版で、ヤマユリの特徴でもある花弁内側の黄色の筋や朱の斑点が無く、純白の大輪の花を咲かせるので(特に冠婚葬祭に)人気があります。
日本にはヨーロッパ(オランダ)からの逆輸入というかたちで入って来たものですが、十日町市の気候に合ったのでしょうね、盛んに栽培されていて上記のように道端の無人販売所でも切り花として売っています。

カサブランカの名前の由来はわからないけど、白い花と「casa blanca」を掛けた?のかな。
モロッコ・サハラ砂漠にひと月ほど行ったことがあるが、僕にはユリの花のイメージとは結びつかないのだけどなぁ。

大倉・戸川の森林整備に行ってきました … 自然観察・Volunteer2017/07/23

ヒメヒオウギズイセン
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仲間と続けている、丹沢大倉の森林整備のボランティア活動。

ササ刈り・タケ刈り、アオキやフジの除伐、風倒木の片付けなどの地味な作業の合間に、周辺を見回し咲いている花などないものかと探してみましたが、手を付け始めたばかりの作業エリアの林は、ただただ手入れの行き届いていない荒れた山林という感じです。
猛烈な暑さの中、やたらと派手な色の園芸種のヒメヒオウギズイセンが数輪咲いていました。

ヒメヒオウギズイセン(姫檜扇水仙)は、アヤメ科ヒオウギズイセン属でヨーロッパで作られた園芸種です。
これも明治の中ごろに日本に入って来た(輸入されて来た)種類の植物になります。

近くにある山岳スポーツセンターの植込みから脱走して来たものが野生化したものなのか、林内で勢力を増していました。
種子で増えるというよりは、地下茎を伸ばして増えていくということなので広範囲に一気に増え広がるということは無いようですが、徐々に確実に勢力圏を広げていくタイプの植物です。

2年ほど前までは、このあたりには台湾原産の外来種、タカサゴユリが群生で生えていましたが、このところぱったりと姿が見えなくなってしまった。
一説では、外来種駆除の対象になっているのでいっせいに駆除されてしまった、とのことだが、球根がまだ残っていればまた復活するのかもしれないな。
タカサゴユリは在来種との交雑が懸念されていて、環境省でも野山で見つけたら抜き取るように指導しているようです。

また、タカサゴユリもユリの仲間なので、ウイルスの影響を受けやすく、長期間同じ場所で繁殖することが難しい(連作障害?)と言われてようです。
案外そんな理由で最近見かけないのかもしれないが、これについては僕にもよくわからない。

トリアシショウマの花の蜜を吸うヒメキマダラセセリ … 自然観察・WanderVogel2017/07/22

ヒメキマダラセセリ
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一昨日の続きです。
魚沼スカイラインに群生で咲いていたトリアシショウマの花の蜜を吸うヒメキマダラセセリ(蝶)

新潟県の南魚沼市・六日町市と十日町市との間に長く伸びる魚沼丘陵。その頂上をつなぐように「魚沼スカイライン」という展望道路が作られています。
3カ所ある展望台からは、魚野川沿いに広がる米どころの水田の景色越しに、越後三山(八海山・中ノ岳・越後駒ヶ岳)や上越国境の山々を展望することが出来ます。
また、展望を楽しむだけでなく、ここでは様々な新潟の自然環境や樹木・草花を楽しむことも出来ます。

353号線の十二峠から一番近い魚沼展望台(標高920m)からは、十日町市方面に広がる当間山麓(国有林)を散策するルートがつけられています。
当間高原周辺などは僕も断片的には歩いたことはあるのですが、しっかりと辿ったことが無いので、機会を作って歩いてみたいと思っています。
ブナを主体とした更新林の他に、湿原植生や沢筋の畦畔林などもあるというバリエーションに富んだこの森を是非歩いてみたいなぁ。

先日ここで、ヒヨドリバナやシモツケソウに混じって、トリアシショウマやヤマブキショウマなどを見ることが出来ました。
写真は、トリアシショウマの花の蜜を吸いに来た可愛らしいヒメキマダラセセリの姿です。
ヤマトシジミ(蝶)も同じようにこの花の蜜を吸いに来ていました。

セセリチョウやシジミチョウは山野を歩くとわりとよく見かける蝶なのですが、身体も小さく華やかさもあまり無いかなり地味な蝶です。
でも、こうして蜜を吸いに来て、ついでに花粉も媒介して、と花にとってみればすごくありがたい存在なのでしょうね。

カメラを近づけても気にした様子も無く、小さなトリアシショウマの花の蜜を一心不乱に吸っていました。

樹林帯の中で存在感を放つオオウバユリの蕾み … 自然観察・WanderVogel2017/07/21

オオウバユリ
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昨日の新潟出張の道すがら、旧塩沢町から旧中里村へ抜ける国道353号線の近くの、スギ・ヒノキ林脇で見かけたオオウバユリ(大姥百合)の大きな蕾み。

オオという名が付いていることを一目で納得させられるほど大きな葉(根生葉)が特徴で、普通のウバユリより二回り以上は大きい。
こうした陽の当たる湿った林内が好きらしく、この周辺には数えられないくらいあちこちで群生を作っている。
道路の際に生えているものは、草刈り機で切り倒されたり踏み倒されてしまっているが、地下には大きな芋(鱗茎:ユリ根)が残っているので、すぐに復活する。

今の姿は大きなひとつの蕾みにようにも見えるが、夏にかけてこれからグングンと背の高さを増していきます。
蕾みが開き始めると、中から10~20個の花の蕾みが現れてきます。
花の形状はいわゆる「ユリ型」の花なのですが、ひとつの茎に10以上の花がいっぺんに咲いている姿というのはけっこう壮観で、車で走っていても良く目につきます。


ウバユリは一生に一度だけ花を付けて、その一生を終えると言われています。そう考えると、花ひとつが作る実の中に大量(500~600個)の種子が入っているというのもうなずけます。
最後の瞬間、大量の種子を風に託して一生を終えるということなのでしょう。
ちなみに、この種子から育ちまた花を咲かせるようになるまでには、早くても6年~7年掛かると言われています。その間、地下茎(鱗茎:ユリ根)に一生懸命栄養を貯え続けているということなのですね。

実は、ウバユリは子孫を残す手立てをもう一つちゃんと用意しているんです。
地中の地下茎(鱗茎:ユリ根)の脇に、もうひとつふたつ小さなユリ根「娘鱗茎(栄養繁殖体・ラメット)」を準備しています。
種子を放出し終った後、親芋は枯れて一生を終えるのですが、この娘鱗茎(クローン)をあらかじめ用意しておけば、種子から育つよりもずっと短い時間でまた花を咲かせる個体を作り出すことが出来るというわけです。
自分の立っている環境に変化が起きない限り、この方法の方がはるかに効率は良さそうです。

しかしその環境に、生存が危ぶまれるような劇的な変化が起こってしまった場合、というのを想定して、「種子散布の手段」は進化の過程の中でも捨て去ること無く、ちゃんと残してあるというわけなんですね。種子散布だとクローンであるが故の障害も回避することも出来ますからね。
う〜ん、自然のしくみの奥深さを感じますねぇ。


普通のウバユリは、毎年出る柔らかい新葉を春先の山菜として天ぷらなどにすると(少し粘り気があって)美味しいのですが、ここまで大きな葉っぱだとちょっと食べる気にはなりませんね。ウバユリは鱗茎(ユリ根)ももちろん食べるのですが、このオオウバユリ、地元の一般家庭で積極的に食べられているのだろうか?

地元の人に是非聞いてみたいところです。

風に吹かれて揺れるハナズオウの赤いサヤ … 自然観察・WanderVogel2017/07/19

ハナズオウの赤いサヤ
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中国原産の落葉低木。春先に枝に直接ピンク色の花を付けるハナズオウ。

この時期にはすっかり種子・豆の姿に変ってしまっている。
マメ科ジャケツイバラ亜科(ハナズオウ属)の木なので、写真のように豆のようなサヤを持った実を付けている。
赤いサヤが風に揺れて、これはこれでなかなか風情があるものだ。

中国原産の樹木は江戸時代始めまでに渡来してきたケースが多く、さすが昔から頻繁に往来があった国ならでは、ということなのだろう。
中国経由でもたらされる植物は、総じて割と早い段階で日本に入ってきていることが多いのではないか。
ハナズオウ、可愛らしい花の姿を見ると、昔から庭木として重宝がられたことは想像に難しくない。

僕にとってはつい最近まで名前を知らなかった樹木なのだが、ある日、どこかの小学校の正門脇でチラッと見かけて「何の木だろう?」と不思議に思ったのがきっかけで、それ以来どこか頭の隅にそのことが引っ掛かっていたのだろう。
身近にこうして植わっている木を再度見つけて、「そうか、これだったのか!」と再認識した樹木のひとつだ。


里山や山岳地帯に生えている樹木・草本などは、その地域や環境,季節などからおおよそのあたりをつけて樹木を観察出来るのだが、庭木や公園樹に関しては必ずしもそうではないし、特に民家の庭木などは近寄って観察が出来る状況にあるとは限らないので、すぐに同定出来ないことも数多くある。
そのような時でも頭の隅にその記憶はしっかりと残っていて、何かのタイミングで再開した時にその「疑問」が解けるということもあるので面白いものだ。

何げない住宅地の散策というのも、時として変わった樹木・草花と出会えるチャンスがあるからそう馬鹿には出来ない。

このように身近に見ることが出来る樹木・草花は、四季を通して観察することが出来るという点でもなかなか興味深いのだ。

もちろんこのハナズオウ、山で見かけることは絶対に無いだろうな。

小田原の森林で下草刈り作業 … 保全活動・Volunteer2017/07/15

イロハカエデに作ったメジロの巣
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今日は小田原の山林で下草刈りのイベントが行なわれ、インストラクターで出かけてきました。

県民参加の森づくりの一環で、一般応募のボランティア数十名を連れて植林地に入り、ワサワサと生えてきた下草や雑木を刈り取っていく地域活動です。
ここは、3~4年前からいろいろな樹種の広葉樹の苗木を植えているフィールドなのですが、植えた苗木より大きく育ってしまった「雑草・雑木」が幅を利かせていて、一見すると何を植えたのか解らないくらい雑然としてしまっています。

炎天下での作業となりましたので,実質的に午前中で終了です。作業前の姿と比較すると見違えるほどにキレイになりました。
人の力はあなどれないものです。ある程度の人数が集まればけっこう出来てしまうものですね。
それにしても今日は暑かったぁ~。

イロハモミジとイタヤカエデの木に、メジロが作ったのだろうか、精巧できれいな巣(写真)を見つけました。
ススキの原ではカヤネズミの可愛らしい巣も見つかりました。

シオデ(牛尾菜)の花(雄花)が咲いていた … 自然観察・WanderVogel2017/07/11

シオデの雄花
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本州では山地でよく見かけるシオデ、漢字で書くと「牛尾菜」と書きます。

雌雄異株のツル性の多年生の草本で、若い芽は春の山菜(ひでこ)で有名。「山のアスパラガス」などと呼ばれて珍重されています。
サルトリイバラ科シオデ属(またはサルトリイバラ属)。大きな葉なので離れたところからでもよく目立ちます。
葉柄の基部から巻きひげが2本出ていて、いろんなところに巻き付き伸びていきます。

写真で丸い実のように見えるものは花被片で、後ろにそっくり返っているので丸く見えています。
その先端から雄しべの一部の葯(やく)が、クルッと曲がった姿でぴょこんぴょこんと飛び出しています。

よく探せば近くに雌花も咲いていたのかもしれませんね。

可愛らしく目立つ、アカメガシワの幼果 … 自然観察・WanderVogel2017/07/10

アカメガシワの幼果
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神奈川県ではあちこちでよく見かけるアカメガシワ、雌雄異株の落葉高木だ。

この時期、雄木の方は淋しい姿なのだが、雌木の方では雌花が膨らんで来て、すでに幼果が出来始めている。

ひとつひとつの果実には、黄色い線状のイガのような突起がピョコピョコといくつも飛び出ている。
幼果の先端にはカニの爪のような形状の紅色の花柱が残っていて、円錐花序全体を見るとカラフルなカップブラシがぶら下がっているようにも見え、なんとも賑やかな姿である。

山間部では崩落地やギャップが出来ると真っ先に取り付いて繁殖していくパイオニアプランツのひとつなのだが、街なかでも、隙さえあれば地面の隙間からでもしぶとく芽を出し育ち広がっていく。
雌雄異株なので受粉して増えていくにはとうぜん雄の木と雌の木がセットで必要で、繁殖には不利なのかと思いきや意外にそうでもなく、あちこちでやたらと勢力を伸ばしているように感じる。

アカメガシワの花弁のない雄花は華やかさに欠ける姿にも見えるのだが、その良い香りに惹かれてアゲハチョウやミツバチ・ハナバチ類など多彩な蝶や昆虫たちがまんまと集まってくるのだそうだ。そうしてみれば、案外効率の良い受粉システムになっているのだろう。

特定の虫のみに頼って受粉を行なう樹木・草花も多くあるなかで、アカメガシワの「来るもの拒まず」の八方美人的な受粉のやり方というのも、彼女らしい手練手管で虫たちを手玉に取っている、ということになるのかな。
確かに一見すると効率の良さそうな方法なのだが、そのためには昆虫をおびき寄せるための大量の蜜と花粉を生産し、供給しなければならないことを考慮すると、費用対効果でどちらが効率が良いのか、僕には判断出来ない、、、

また、この方法で生産されるこれまた大量の「種子」についても同じことだ。
パイオニアプランツたり得る条件のひとつには、とにかくあたり一面に種子をバラまき、何年経とうがじっと我慢をして、条件が揃ったところで「すぐに発芽し、急速に育つ」ということがある。
バラまく方法は「鳥」に託してということにはなるが、生き抜くための賢い戦略のひとつと言えるのだろう。

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