設計監理の大切さを痛感2007/12/13

今年6月の建築基準法改正で建築業界(特に設計関係)にとっては品質向上を図れるのではと、煩雑な作業が増えることを除けば概ね良い方向の改正であったという意見もある。
しかし、その改正によって建物の施工自体が飛躍的に良くなるわけではない。
つい先日も地方都市での鉄骨構造の監理現場で、目を覆いたくなるような施工不良を発見した。
幸いにも次の作業に入る直前で見つけ出して改善措置を指示したので大事にはいたらなかったが、一歩間違うとたいへんな事態となるところであった。
今更ながら監理の重要性を再認識すると共に、工事業者の施工のレベルアップとコンプライアンスが求められるところだ。

こんなところにも結露が・・2007/12/15

足湯施設
今年、雪国で足湯の施設を作った。

屋根だけは元からあったのであるが、そこに10人ほどが入れる足湯と休息スペースを作った。
その屋根下に結露が発生した。完全にOPENな環境であるのでまさか!とびっくり。
もちろん完全に屋外の環境であるのにもかかわらず・・・である。

簡易的な対策もあまり効果がなく、やはり屋根下に断熱材でも吹き付けなくてはならないか?と思案中である。

原因は断熱材無しの折半屋根に雪が積もってその裏側に足湯の湯気が当たり結露に結びついたようだ。

屋外施設であることからまさかそこまで考えが及ばなかった。
建物(今回のは建物?)のを設計する者としては、”結露”は厄介な問題なのである。

Sinn という時計2007/12/15

ドイツ製のSinn(ジン)の時計を使っている。Sinnでは時計とは言わず「出撃用計測機器」と呼ぶそうだ。
Sinn UX GSG 9採用タイプ(EZM 2B)。かなり大型の文字盤と中に入っているシリコンオイルで視認性は抜群に良い。そしてどの角度からでもガラスの反射も無く文字板が見える。(ちょっと不思議な見え方だが)
ムーブメントはSinnでは珍しくクオーツを使用している。
かなり堅固に出来ていて、ケースには潜水艦鋼鉄(Uボート・スチール) が使われている。
スペックでは耐圧性が500バール〔水深5000m〕とあるが、そんなに深く潜る人はいないし渓流でのFF程度の使用ではオーバースペックか?
愛車のOHVのV型2気筒エンジンを載せたMOTO GUZZIの激しすぎる振動にも耐えられるか?
(CONTAXカメラはその振動に耐えられなかったけど…)
http://www.asahi-net.or.jp/~hd2s-ngo/bike/index-bike-top.html

地震と耐震について (法改正の理由とその目指すものは?)2007/12/15

建築物の構造体の耐震性能は、構造体の構造耐震指標Isと保有水平耐力に係る係数qで示され、一定の数値を満たしているか否かで「地震の震動および衝撃に対して倒壊し、または崩壊する危険性」が低いか高いかで決められている。

昨今の耐震偽装問題や新潟県中越沖地震などによって新聞等でも一般化した、いわゆる「新耐震基準」は昭和53年(1978年)の宮城県沖地震を教訓に、昭和56年(1981年)に制定された「新耐震設計法」のことである。

従って、昭和53年(1978年)より前に建てられた建物は「旧基準」で建てられたものということになり耐震的には「問題有り」ということになる。

まあそれ以後でも耐震偽装や施工ミス等々によってかなり“怪しい”建物はかなりある。

耐震化を妨げているのは崩壊メカニズムの解析などの計算式だけではなく、元々の設計上のバランスの取り方の不具合や地盤耐力の考え方の軽視と一部施工業者の技量不足や手抜き・ごまかし工事によるところもかなり大きい。
地震国である日本の耐震基準の考え方は大きな地震が来るたびに基準数値を上げていっている状況なので「新耐震基準」もすでに過去の基準となっている。
今年6月の建築基準法改正の目玉が、設計や施工の厳格化・法規法令遵守(コンプライアンス)と耐震基準の見直しの2点にあるのはそういう理由からであろう。
それにより設計自体の作業量は大幅に増え、国交省でもやっと「設計報酬基準」の見直しに着手した。
施主の方も業者に任せっきりの状況ではいられない時代になった。
一回の地震で大切な財産である”家”や”人命”が潰れては本末転倒であろう。

これからは”保険”に入る感覚で設計や施工の「第三者チェック」が一般化して欲しいところだ。

もちろん「新耐震基準」をチラつかせた悪徳リフォームにも要注意である。

建物はバランスが大切で、“補強”することで建物全体が弱くなる場合もある事を知っておいてほしい。

新潟の集合住宅の現場は…2007/12/15

小千谷のRC現場
新潟は小千谷の集合住宅の設計監理から戻りました。
雪国のコンクリート打ち放しの集合住宅です。RC壁構造の3階建てで10戸ある賃貸部分はほとんどがメゾネットタイプです。
もう雪が舞い落ちてきています。やばいです。間に合いません。寒いです。
コンクリート打ちは今年の夏の酷暑で打ち放しの”お肌”には良くなくて出来映えに不安と不満が残ります。
今年の新潟は秋らしい秋がなく夏から一気に冬の到来です。
なんとか今年中の完成を目指しています。ってもう12月半ばだよ!

最近の建築関連のニュースから2007/12/18

今年ほど「偽」というキーワードが取りざたされた年は無かった。
食品の産地偽装や記載偽装、ニセ表示など信じる基準が根本から覆される事件が起き、偽ブランドなどの問題とあわせこれで「衣・食・住」の全ての「偽」が出そろった感じだ。
世間を騒がせ建築関係者を震撼させた構造耐震偽装の話題も落ち着いてきて、「建築士法改正」と今年の「建築基準法改正」を経て世間的には建築家や設計士、施工業者に対する“目”も信頼を持ち直してきたのかなと思っていたら新たな不正が続々出てきた。
ひとつは製品の偽装だ。耐火/防火製品の性能に対する大臣認定偽装取得問題である。
ニチアス、東洋ゴム工業など大手の建材メーカーの製品の中に性能を満たさないものが複数あったという事なのだが、設計者側・施工者側にとって「大臣認定偽装」をされては「真偽」を確かめるすべがないのが現状である。
はたしてこの2件だけで収束するのであろうか?
もう一つは施工管理ミスによる問題である。今年11月以降だけでも、大手建設会社によるマンション施工ミスが3件も発覚した。
清水建設の“鉄筋不足マンション”(千葉県市川市)、竹中工務店の“鉄筋取り違えマンション”(東京都港区)と“コンクリート強度不足マンション”(東京都世田谷区)である。
どれも現在も施工中であり、施工ミスには何らかの対応をするということであるが…。
そのうち千葉県市川市の超高層マンションの鉄筋不足問題では、建て主の1社である三井不動産レジデンシャルは、工事再開後に再発防止のため現場検査を強化する方針を表明した。工事監理者の日建設計に対しては正規の業務として現場検査を増やし、ここでも新たに第三者機関にも検査を依頼する予定だそうである。

大手ゼネコンであろうが全体でみると「ある確率」で「ミス」は起こる。もちろん中小の工事でもやはり「ミス」は起こる。「インチキ工事」や「手抜き工事」はもっとあるだろう。
今回の「ミス」の発表は大手ゼネコンのギリギリのコンプライアンスが働いたということだろう。
個人の住宅建設や小規模の集合住宅建設などの工事では「ミス」や「手抜き」「技量不足」が表面化せず結果的に「偽装」のまま竣工を迎えることが多いのだろう。
「不良」の結果が分かるのは月日が経ってからか「地震」が来てからか…。
全ての施工業者がいい加減ではないが「ミス」はそれでも起こりうるし、手抜きや技量不足はなかなか無くならないだろう。
やはり、工事規模の大小にかかわらず「第三者による施工チェック」は常識化していくべきであろう。
竣工してからでは「内部構造のチェック」はなかなか出来ないのだから。

第三者監理ドットコム:http://www.daisanshakanri.com

Moto Guzziという選択は?しかもGhezzi&Brian Furia2007/12/18

Ghezzi&Brian Furia
イタリアのモトグッチは不思議なバイクである。と言うよりは不思議なメーカーだ。
世界中に二輪車メーカーはたくさんあるが、どこのメーカーでも数種類のエンジンタイプを持っているのにモトグッチは基本的に1種類だ。昔から変わらずOHV(オーバーヘッドバルブ)2バルブの縦置きV型2気筒エンジンをあえて選択している。(昔はOHC4バルブなんていうのもあったが…) かといって、ほかの個性的なバイクメーカーのように(たとえば、MVアグスタやベネリやビモータなど)ごく限られたマニアックなエンスー達を相手にしているわけではなさそうなのである。

日本で外国製のバイクといえばダントツにハーレーダビッドソンとビューエルのアメリカン連合軍だ。次いで独BMWが追走し、イタリアンではなんといってもドゥカティだ。モトグッチなんてメーカー名さえ知らない人が多いだろう。
(経営難からアプリリアの傘下に入ったことでドゥカティとは兄弟になってしまったが…)
モノづくりを前面に出して質実剛健(むしろBMWか)を売り物にしているわけでもない。取立てて速いわけでもないし、洗練されたデザインというわけでもない。それなのにMAGNI(マーニ)などの極小バイク工房は好んでこのモトグッチエンジンを自分のオリジナルフレームに組み込んで個性的なバイクに仕上げている。
僕のバイクもイタリアの小さな小さな工房でV11というモトグッチエンジンを載せて少数生産されたものだ。これもこれで個性的と言えば個性的なバイクだ。
さすがに今時キャブレター車ではないがエンジンの振動でマフラーははずれるし、ミッションケースのシールは切れるし、エアフィルターなどは自分で替えるなんてあきらめるくらい複雑だ。機能やデザインのために整備性などまったく無視したつくり。
2002年にはこれを造った本人ジョゼッペ・ゲッツィ氏はMOTOGUZZI本社に引き抜かれてそこでMGS-01の開発を始めてしまった。

バイクという乗り物は“魅力”と“不満”を天秤にかけても、たいがいは“魅”力が勝ってしまうものだ。そこが車の選び方とバイクの選び方の違いなのかもしれない。
では、建物とりわけ“家”の場合はどうであろうか?

「家」を作る時(買う時)の“魅力と不満”とは?2007/12/18

“魅力と不満”といってもひとそれぞれ感じ方がかなり違う。「家」の場合は特にそうだろう。
ひとりひとり生活の仕方も違うし「家」に対する“思い”もかなり違うが、最低限守らねばならないルールが「家」にはある。
それは、地震や台風や強風に耐える頑丈なものでなければならないということだ。それが確保できないとそれは「家」ではない。
「家」には車やバイクのように“リコール”という救済はない。壁にひび割れが出てきたり傾いてきたりすると不満は不安へと変わる。
その不安につけ込んで「リフォーム詐欺」が横行することにもなる。
建築物で大切なのは全体のバランスである。デザイン的にも構造的にも工事金額の面でも、とにかくバランスなのだ。
構造的にバランスのとれていない家は、一見頑丈そうに見えてもバランスの弱い部分から歪んでいくことになる。
建築の専門的な知識や施工経験の少ない施工会社がリフォーム工事をすることの「重大な危険性」がそこにはある。
新築の家であっても同様で、木造2階建て程度の“家・住宅”でも構造的な検討と計算をしなければならないことを知っていてほしいものだ。
新車を買うのと違って「家」を作る時(買う時)の“安心・安全”とは、必ず第三者の専門家の意見を聞くことだと思っている。
専門家(建築士)に家の「評価」や「工事の見張り」を依頼すると当然金額が発生する。しかし、「家」は車と違ってかなり高価な買い物である。そして簡単に買い替えも出来ないものだ。
だからこそそれを「保険」だと考えて必ず第三者の専門家に「チェックと評価」「工事の見張り」を依頼することである。
表面的な"魅力?”に惑わされて、数十万円の出費を節約し何千万円の“スクラップ”を造らないように!紙切れの「工事保険証」よりはずいぶんと効果的なのだから。
今年の流行語「偽」を聞くにつれ、強くそう思う。

バイブレーターで生コン入りバケツを持ち上げるという動画の「衝撃度」2007/12/18

建築の設計者や施工者はいつも密実なコンクリートを打ちたいと努力を重ねている。

同じ強度・スランプ値で運ばれてきた生コンでも打ち方ひとつで全然違うものになる。上手に施工された打ち放しコンクリートは表面の硬度もありガラス質の光沢を持つ。

この動画ではバケツに入れた生コンをバイブレーターで締め固め、バイブレーターを引き上げるとバケツごと持ち上がる。
そのように締め固められた密実なコンクリートが造れることを証明する動画であった。
これは私もコンクリート打ちのバイブルとしている「実践 ひび割れのないコンクリートの造り方」という本の内容を解説したDVDである。

もともと現場でつくる試験体と実際のコンクリート体とでは仕上がりや強度ひとつとっても違うものなのであるが、さすがにこれには驚かされた。

コンクリート打ちでは事前に工事担当者と打ち合せをし、「経験」だけでなく専門書を読み返しての慎重な作業となるのだが、それでもなかなか完全なコンクリートをつくるのは難しいものである。
施工技量の問題も大きいが当然現場施工金額にもかかわっている。

美しいコンクリートをつくるのは「施工金額の問題」と一言で片付けられるのは設計者としてもさびしいものだ。
出来るだけ現場に出向いて「良いものをつくる」という姿勢が大切である。

この「動画」は設計者・施工者共にキチンと手順を踏み「良いものを造ろう」という意識を持たなければならないことを教えている。

来年の4号特例の廃止について2007/12/19

東京商工会議所は今月5日に改正建築基準法の運用で4号建築物に対する確認審査の特例の廃止時期を慎重に判断することなどを求めて、国土交通省と東京都に要望書を提出した。
現行の建築確認制度には、建築士の設計した4号建築物(小規模な木造建物)に対して確認審査担当者が構造面の審査をしなくてよいという特例がある。
この特例が、今年の改正建基法に基づいて来年(2008年)末に廃止される予定だ。
「4号建築物」とは在来工法で造られる木造2階建て以下、床面積300㎡(約90坪)以下の木造建物のことである。
現在は、これらの住宅では本格的な構造計算に比べて簡易的な「壁量計算」と言われる構造設計法が広く採用されている。
今はその計算書の提出義務までは無いが、真っ当な設計者であればもちろん計算をして構造チェックを行なっている。
平成21年(2009年)1月からはこの特例が無くなって正式な構造計算を求められるようになると、確認の設計図書を作成できない設計者や工務店が出てくる可能性が高い。また、申請業務も多くなり確認に要する時間や費用も増えるであろう。
そして、その設計図書どおりに出来ているかの施工チェック、監理業務の責任も当然重くなる。

商工会としては現場サイドでの混乱と煩雑な作業負担を警戒しての廃止時期延期の要望なのであろうが、私の考えは「より良い」「より安全な」建築物を造るためにはしょうがないことだと大筋では容認している。これにより今まで質の悪い、インチキな不良物件をたくさん造ってきた業者が一掃されることを期待する。
ただし、計算法は今まで通り「壁量計算方式」も認めても良いのでは、という気はするが…。
いかがであろうか?
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