あけましておめでとうございます。2008/01/01

2008年・平成20年の幕開けです。
12月は雪の降り出しが早かった割に積もった雪が少なくて、小雪かなと安心していましたら大晦日になって日本海側から東北にかけてとうとう降り出してしまって、今年は大雪の年になるのかなぁー?とちょっと心配です。
雪国の建設現場にとっては雪は少ない方が良い。渓流釣り師にとってはある程度積雪が必要。オートバイに乗る身になれば寒さがつらいので晴れ間が欲しい。と勝手なことを思っています。
今年は建築業界にとっても設計業界にとっても昨年同様大揺れの一年になるでしょう。総選挙の具合によっては税制改正もありそうですし、公共事業の予算締め付けもあるでしょう。まあ締め付けが厳しくなればなるほど本物が生き残るのでしょう。と、考えれば悪くはないか。
高島易によれば七赤金星の私は育成運の年回りで、「要領を用いるよりは正攻法に徹することで信頼を築く」年なのだそうだ。辛抱の年だ。本当は飛躍したいのだが……

木造軸組構法の耐力壁の新しい技術2008/01/02

最近、木造住宅でも耐震改修の話題が出始めている。やはりここ数年の北陸・新潟方面の地震が影響しているのであろう。
新しい技術で面白い話題があった。FRPでできたグレーチングを転用した面材を使う技術で耐力壁を造るというものだ。FRPグレーチングは強度もあり安価な材料でもあるので、外構やRC造の建物などでは使用したことはあったがそれを利用した「構造壁」というところには考えが及ばなかったなぁ。
この方法は木造軸組構法の仕様規定で壁倍率換算できるように、国土交通大臣認定を取得している。FRPグレーチングであるので当然それで耐力壁を造ったとしても格子壁のように透けているのである。透光性がある耐力壁ということだ。
30mm厚のFRPグレーチングを柱と横架材にL字金物とボルトで接合することで、壁倍率2.5の耐力壁として認められるということである。今度使ってみたい技術だ。
(発売元はAGCマテックスという会社)

性善説では解決しない問題2008/01/03

昨年はさまざまな偽装問題で暮れた一年であった。どの業界でも偽装がありそれが発覚した年であったが、考えてみると「偽装があった」のではなく「偽装が発覚」した年であったというべきであろう。偽装やごまかしはずーっと存在していたが表面化しなかっただけのことなのだ。今年もこれからもずーっと偽装はある。解決方法は性善説に頼るのではなく常に「監視」をすることであろう。偽装する側にメリットが一つもなくても偽装は起きてきた。加えて作る側のモラルやコンプライアンスの認識が決定的に欠けていた。作る側にその姿勢を100%求めてもたぶん裏切られるだろう。一般の消費者(住宅取得も同じ)も「安い」の裏側には常にそれ相応のリスクがあることを認識しなければならない。大手という「ネームバリュー」も、老舗という「ブランド」も時には裏切られる。
建築の世界においては、設計者は常に性善説の上に立っていることを誇りとしていたが、一般にはそれもなんだか危うくなってきた……。
身の回りでは今年は積極的に不正やごまかし・技量不足を廃絶していこうと思っています。設計者も施工者もエンジニアとしての「勉強」が大切だ。設計者としてのプライドは真摯な姿勢から生まれるものだ。

Ghezzi&Brian Furiaの調子は2008/01/03

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新年の行事、「バイクの調子見」で少しエンジンを回してみる。
このところ乗る機会もめっきり減ってしまっていたから、たまにエンジンをかけておかないといざ乗ろうと思った時に「トホホ」となってしまうから。
第三京浜と横浜新道・横浜横須賀道路を軽く流して調子を確かめる。長くエンジンをかけていないからかアイドリングが安定しない。
アクセルに順応してエンジンは調子よく回っているだろうか?トルクはいつもと同じ調子か?などを確かめて2時間足らずで行事は終わった。
今年はどのくらいこれに乗ることが出来るかなあ。

のだめカンタービレ!良かった。2008/01/06

パリ・コンセルバトワール
昨日、今日と二夜連続の「のだめカンタービレ」特別版はほんと良かった。
でも最後に、G.ガーシュウィンのラプソディー・イン・ブルーを野田恵と千秋真一のピアノコンチェルトで聴きたかったなあ。
この曲はクラシックのピアニストはそもそも弾きたがらないし、ジャズピアノにしては即興性もないし、高度な技術が必要なのに加えてほとんどが楽譜通りに弾かなければならないのでジャズのピアニストにも嫌われがちだ。オーケストラとしてのシンフォニックジャズ?はドラマチックなのですがピアノコンチェルトは難しさからかなかなか…。
巨匠バーンスタインのラプソディー・イン・ブルー(1971年ロンドンアルバートホール)はバーンスタイン自らがピアノを弾いている珠玉の一品で、官能的で躍動感があってゾクゾクする。なんといっても音の一つ一つがもの凄く「カッコイイ!」演奏です。「のだめ」でも聴きたかったなあ。
(ガーシュウィンというとElla FitzgeraldとLouis ArmstrongのSummertimeが素晴らしいが、これは「のだめ」向きではないので…)
画面にも出てくるパリのコンセルバトワール、クリスチャン・ド・ポルザンパルク設計の音楽院。工事中にパリで現場を見に行ったにはもう20年以上も前になるのか〜と感慨深い。(といってもただ建物を見に行っただけなんだけどね。)このパリ音楽コンセルバトワールの主要用途が音楽院と老人ホームだったとは知らなかったなあ。
ポルザンパルクは一昨年にルクセンブルグにシンフォニーホールを竣工させている。高さ17mの無数の列柱に囲まれた建物である。
まあ、野田恵と千秋真一のピアノコンチェルトが実現しなかったとはいえシャトーのモーツアルトもよかったしリストも良かったし、何より二人が一緒になれて良かった。
めでたし、めでたし。

建築士制度の見直しで一級建築士はどうなるのか2008/01/12

建築士制度の見直しで一級建築士はどうなるのか
日経アーキテクチャーの記事より、
建築士制度見直しによって昨年6月の建築確認・検査の厳格化や業務の適性化でまずは第一幕が開いた。今年から来年に掛けて第二幕、第三幕の「改正」が立て続けに施行される。第二幕目は建築士法の一部改正で(4号建築物)小規模木造住宅に係る構造関係の審査省略の見直しがある。また、構造建築士・設備設計士の義務化があり、一級建築士自身の定期講習が義務化される。
第三幕は特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保に関する法律の施行がある。と、昨年から今年、来年と制度自体が大きく変化していく。設計者に求められる知識も作業量も大幅に増加し、監理建築士に課せられる責任も何倍も重くなる。本来ならばこの改正や見直しは良識ある設計者であるならば歓迎すべき事柄であろう。ただ問題はそれに見合う報酬と作業時間が担保されるかどうかだ。
一方では公共建築の設計コンペ(公共事業)でさえ常識をかなり下回る設計フィーで契約・発注しているような役所の見識では先行き全く望みが薄い。義務と責任の裏側にはそれに見合うものがないと再び不正と偽装が戻ってくるだろう。そうならないためにはキチンとした設計をすることと共に、設計原価を割り込むような設計フィーでは仕事は引き受けられないと毅然とした態度で臨むことも併せて必要となってくる。この問題が世間一般に広く認知されるように行政も積極的にアピールしていってもらいたいと心から思う。

第三者監理ドットコム:http://www.daisanshakanri.com

のだめカンタービレスペシャルBESTのCD2008/01/16

Nodame Cantebile Special Best CD
Nodame Cantebile Special BestのCDを買って聴いてみた。
僕が普段、設計デザインの仕事をしながら聴くのはもっぱらJazzなのでClassicは全然門外漢であった。今年の年末から年始にかけての「のだめカンタービレ」を観てから急にClassicに目覚めたということなのである。ストーリー性の良さに引かれて一気にハマってしまったのだが、Storyを彩る音楽がまたドラマチックで引き込まれてしまった。指揮者の有り様もここで知ったし、作曲者の背景や心情を理解しないとその音楽そのものを正しく理解出来ないことなど今更ながら教えてくれた。そしてモノづくりに真摯に取り組むことの素晴らしさも見せてくれた。
ベートーベン交響曲第7番のことを「ベト7」ということやそれが今や「運命」「第9」の知名度をしのぐ?ほどの人気であることなどなど・・・知らなかった〜!
CDは2枚組で千秋編とのだめ編に分かれていてお正月に放送されたものを思い起こさせるような構成になっていて単に曲を聴くというよりもドラマを追想するような感覚である。千秋編オーケストラの出だしは主題曲?でもあるベートーベン交響曲第7番である。のだめ編ピアノと室内楽ではのだめが初めてパリの部屋で弾いたラヴェルの組曲「鏡」第4曲「道化師の朝の歌」から始まる。一曲一曲はドラマで使われたフレーズで構成されているいるため曲全体を楽しむほどの長さはなくオムニバス形式に仕立ててあるのはしょうがないところか。これを聴いて本物のClassic CDを買いに行けということだろう。Classicの素人の僕にはそれでも十分楽しめた。
明日はClassic CDを買いにいこう。

カレー料理の強い味方:RED CURRY缶2008/01/20

RED CURRY
月に2回以上はカレーを作る。夏でも冬でも、しかも大量に。僕はカレーは漢方薬だと信じている。気分が沈んでいる時や元気が出ない時にはこのカレーが最強の薬となる。学生時代からインドやネパール・パキスタンなど通算して1年以上はいたことになるのでカレーをはじめ印度料理は大好きだ。これは実はタイカレーの缶詰なのだが、インド風のカレーに仕上げるのが良い。入れる材料は結構シンプルで仕込み時間もこの缶詰を使うことでけっこう短縮出来てしかも旨い。

材料:牛の骨(ダシを取るため)、鶏肉(もも肉と手羽先)、トマト缶(サンマルツァーノ種がベスト)、タマネギ、にんにく、鷹の爪、なす、シメジ、オクラやブロッコリー、レモン、ブイヨンなど。香辛料は月桂樹の葉、生タイム、生ローズマリー、ターメリック(うこん)、クミン、ペッパーなど。タイムやローズマリーは鉢植えで育てていると便利。使った分だけどんどん育ちますから。うこんはミルで粉砕してストックしておくと使い勝手が良い。いつも家で一番大きな鍋でいっぱい作るので15人前以上は一気に出来る。
材料を買ってきたらまず鶏肉を捌いてターメリック、ペッパー、タイム、ローズマリーを加えてなじませ冷蔵庫に入れておく。(この手間は重要だ。鶏肉は結構臭いが気になるから)
鍋でにんにくと鷹の爪をオリーブオイルで炒める。タマネギ3個のみじん切りを加えて色が変わるまで炒め、シメジとなすをザクザク切って加えて炒める。水を加えてブイヨン(マギーブイヨン5〜6個)を加え、牛の骨(関節部分があればなお良い)とトマト缶2缶、ローリエ4〜5枚、タイムとローズマリーを入れて煮込む。牛の骨はしばらく煮込んでいったん取り出し、骨に付いている軟骨や肉、筋を切り離し細かく刻んで骨と共にまた鍋に戻す。この時期なら部屋のストーブにかけておけば手間がいらないだろう。1〜2時間ほど煮込んだところで鶏肉2種を香辛料と共に別のフライパンで焦げ目が付くくらい炒めて鍋に加える。この時には鍋は八割がたいっぱいになっているはずだ。オクラやブロッコリーなどを加えれば完成まじかだ。このままでもスープとして十分過ぎるくらいに美味しい。最後にRED CURRY缶を2缶加える。このカレー缶はカレールーではないので味が薄いと感じるかもしれない。もしそうなら市販のカレー粉を少し加えるのも良い。レモンを搾ってバターを落とせば、最高のカレーが出来上がる。
BON APPETIT!

建築設計者も以外に誤解していること:ガラス厚と遮音性の関係2008/01/26

一般ユーザーだけでなく建築・設計関係者も以外に誤解していることのひとつにガラス厚と遮音性の関係がある。

複層(二重)サッシは一般的に断熱性に優れ単板ガラスのサッシと比べると「全ての点」で勝っているような錯覚がある。僕も漠然と複層ガラスを使ったサッシは断熱性に優れているだけでなく、「遮音性能」もそれなりに高いと思い込んでいた。

しかし実験スペックではガラスサッシの遮音性能はガラスの厚みでほとんど決まってしまいガラスが複層かどうかはあまり重要ではない。(NIKKEI ARCHITECTURE 2008-1-14号) 

遮音性能は面密度が大きいほど上がるという「質量則」によって決まるので同じ厚みとなるガラスでは1枚ガラスのほうが性能が良いということになる。

厚さ3mmのガラスを2枚使った複層ガラスと6mmの1枚ガラスでの遮音性能比較グラフを見ると、低音域(120Hzぐらい)から中音域(1000Hz)までは1枚ガラスの方がはるかに遮音性能が良い。
(ただし、2000Hz周辺では逆転するが…) 
これは結構誤解して認識している設計者も多いのではないだろうか?
施工者や一般ユーザーもこの誤解をしていることも当然考えられる。

道路などの騒音対策で複層(二重)サッシに取り替えるという改修事例も多いと思うが、このことを誤解していると改修したのに前と変わらないとかへたをすると前よりうるさくなったというようなことにもなりかねない。

最近では、優れた断熱性能と遮熱性能によって、窓ガラスからの熱の出入りを防ぎ、室内を快適に保つとともに、暖冷房の効率をアップし、暖冷房によって発生するCO2排出量を削減するエコガラスが注目を浴びている。
これは二重ガラスの内側に特殊な金属膜を貼り付けてあって、この金属膜が断熱性能と遮熱性能を高めるものであるが、遮音性能はやはりガラスの厚みによるので全てに優れているわけではない。

あらためて注意しなければと思う… 漠然とした思い込みは禁物であると。

温泉の安全性:レジオネラ菌対策と温泉吐水口の関係2008/01/30

最近では「秘湯?」の温泉情報ですら簡単にかつ大量にネット上で収集することが出来る。数年前、新聞でもたたかれた天然温泉偽装はまだ記憶に残っていることだろうが、「源泉の価値」は一体どこで決まるのだろう? 「温泉の効能」はその泉質・含有量によって決まりますが、同じ泉質でも掛け流しと循環式では表記は同じ泉質でも内容や印象は違います。昔からの自噴温泉地では問題はないのであろうが、最近多い深部からのくみ上げ温泉では資源の有効利用から循環式で利用されることが多い。そしてこの循環式温泉ではどうしても殺菌/滅菌を前提としなければならなくなる。
「掛け流しの温泉」とは温泉源泉を直接浴槽に流し込み、入れた分だけ捨てる温泉浴槽のことをいう。したがって温泉をくみ上げていったん貯湯タンクに溜め、そこから浴槽に入れ込むようなシステムを組むと厳密には「掛け流しの温泉」とは言えなくなってくる。レジオネラ菌などの雑菌類は土中には存在しないが、地上にくみ上げるとどうしても菌の侵入をゆるしてしまうことになるので、タンクにいったん溜めると菌に汚染される可能性がでてくる。したがって煮沸して殺菌するか、塩素系やオゾン殺菌など何かしらの殺菌/滅菌対策をとって初めて温泉の使用許可がおりることになる。
私の事務所では設計の仕事の内、温泉施設やお風呂の設計デザインがかなり多い。今週も1件、温泉の打ち合せに行くのですが設計上重要なことのひとつにこのレジオネラ菌対策がある。温泉の泉質に関係なく「掛け流しの温泉」でない限り、レジオネラ菌対策が温泉施設の設計にはついて回る問題である。厚生労働省告示・公衆浴場法や保健所指導では設備機器だけでなく、掛け流し式以外の循環式の浴槽での浴槽へのお湯の入れ方にも規制がかかる。私たちが天然温泉でイメージするのは、吐水口からお湯が溢れて滔々と浴槽に注ぎ込まれる「温泉」の姿であるが、循環式温泉ではこれは出来ない。殺菌された“温泉”は空気に触れることなく浴槽に入れ込まねばならないという決まりがあるからだ。この法規の出来る前に作られた施設では適用されないので、「温泉」らしさを演出できているのだが・・・ 衛生的安全性の確保とはいえ やはり、お湯の溢れない吐水口では雰囲気は出ないよなあ。
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