茅葺き集落・高柳「陽の楽屋」2008/05/05

高柳町・陽の楽屋
現在は新潟県上越市に編入されてしまったが旧「高柳町」は環状集落で有名だ。環状集落とは大きな円形の水田を囲むように円弧状に並ぶ茅葺き集落群のことである。この町にはもうひとつ名物があって、それが「門手和紙」と呼ばれる手漉き和紙である。有名な日本酒「久保田」の和紙ラベルもここで手作りされる門手和紙なのだ。
ここに建築家「隈研吾」設計の茅葺き屋根の交流施設が建っている。写真後ろに写っている家屋がそれである。壁には手透き和紙が貼られ一風変わった印象を受ける。夕方に行けば中に明かりが灯りまるで茅葺き屋根が浮いているような不思議な景色を見せてくれるだろう。「茅葺き屋根を持つ家」と言うとそれだけで建物のシルエットが決まってしまって建築家がすることが無くなってしまうのでは?と考えてしまうが、さすがにこのデザインは秀逸だ。すがすがしいデザイン性を見せている。
今年のゴールデンウィークは日本海側の方がよい天気に恵まれ、この日はバイクに乗って旧川西町を見て回り、代掻きの始まった棚田の風景を走りながら高柳町を楽しんだ。その後、「草津・有馬と並ぶ日本三大薬湯」松之山温泉に入った。妻有地区の魅力は自然と温泉につきる。豪雪を除けば……。

「建築の見方」いろいろな手法2008/05/05

関川村歴史資料館
有名な?建築物を見に行くことを趣味にしている人も多いだろう。一般紙で建築家特集を組んだり、建築物をアート感覚で楽しむことが一般化されている昨今、「建物を見に行く」のが目的だとしてもそれほど奇異な趣味ではなくなってきているのだろう。
「建築の見方」にもいろいろな手法があるが、ある地域に建てられた同じ建築家の作品を数点続けて見て歩くのも面白いものだ。
ゴールデンウィークの一日を塩沢町からスタートし魚野川/信濃川を下りつつ味方村、聖籠町、関川村までを建築家「香山壽夫」の設計した建物を廻ってみた。それぞれ博物館であったり資料館であったり中学校であったりとその用途は様々だ。しかし全体に流れるそのメロディーは共通するものがある。設計した年代も違うし条件も違っているだろうが、共通するひとつの「テーマ性」を感じることが出来て設計者の込めた「思い」をより明確に感じ取れる。
画家や作曲家が、4つの違った景色を描いてそこに共通の風土を感じさせようとするのと似ている。風土的統一感・様式的統一感。様式とは造り出すものに固有の精神的刻印のようなものだ。

人の集まる空間とそうでないものとは2008/05/11

越後妻有交流館キナーレ
写真は十日町市に建っている「越後妻有交流館キナーレ」である。2003年のアートトリエンナーレのメインステージとして建てられた施設(設計は原広司+アトリエφ)だ。
メインは正方形の水の張られた中庭の池の回りに回廊状に廻らせた一辺が72mの2階建ての建物である。(一角に平屋の温泉棟が張り付いている) 外から施設を見るとRC打ち放しの壁で囲まれた閉鎖的な建物で、かなりそっけない顔付きだ。出来た当時に期待を持って見に出かけたが、その時の印象はかなり悪いものであった。豊かで美しい自然と伝統的な形態の残る農村集落の点在するこの地域にあってこの「素っ気なさ」は寒々しく、来る人を拒絶する印象を強く受けたからだった。打ち放しの壁面は打ち方も汚く、救いようもないと思ったものだ。加えてこの施設に併設されている温泉施設「明石の湯」がまたいけない。日本でも有数の薬湯(松之山温泉)を初め、素晴らしい温泉を多く持つこの地域ではかなり見劣りする温泉なのだ。
建物の用途はこの温泉施設の他、十日町市の伝統工芸である着物の店舗と「きもの歴史館」であるが、三年に一度開催されるトリエンナーレ時期以外はあまり使われていない印象を受ける。実際に今年の「きもの祭り」(ゴールデンウィーク中に開催)の時でも展示も無くガランとしていて活気が感じられない建物なのだ。
しかし先日GW中に訪れた時に、このガランとした空間・素っ気ないデザインが「あれっ、なかなかいい感じ?」と、うかつにも思ってしまった。地域性や土地の持つ自然環境とは何も絡まないこのデザイン性?がかなり印象的に映ったのだ。人の居ない(集まらない?)、外部とは切り離されたこの建築物は逆に清々しくもあった。何もないスクエアな水盤の回りに立ち並ぶRCの列柱が古代ローマの(あるいはムッソリーニ時代の)廃墟のようで緊張感と空虚感を同時に感じさせ不思議な気持ちにさせる。そう考えるとこの「水の中庭」空間の持つ意味はかなり深く複雑? 何かのアイロニー(irony)? 切り取られた四角い空は何かの暗示?
現実には施設の外ではきもの祭りと成人式で、隣に建つ道の駅「クロス10」周辺と本町通りはかなりの賑わいなのに・・・ここは空虚だ。まあ、嫌いではないのだけど。
中心の水の張られた中庭の池はこの建物を印象的に見せる効果は大いにあるだろう。しかし弾力的な使い方で、ある時期は水を抜くかデッキでも造って人が入れるような仕掛けをしても良いのでは?と思った。重たい冬を乗り切ったこの時期は暖かい陽光がなによりのごちそうなのだ。建物の中心に人が集まってくればまた印象も違ってくるだろう。

八海山の雪も少なくなり春到来2008/05/16

八海山
南魚沼も一気に山の緑が濃くなり、やっと春到来だ。八海山頂の雪も少なくなりこの季節の山は特に美しい。この季節の八海山の山景は一層女性的で優しい感じがする。山にも男性・女性があるように思う。男性的な山とはいわゆる独立峰である。エベレストやダウラギリ、K2、マッターホルン等の山は見るからに男性的で、富士山や槍ヶ岳も男性的な山という感じがする。この八海山はカンチェンジュンガのように女性的な山に僕には見える。20年ほど前にインドのダージリンの北、シッキム近くの高地から朝焼けに燃えるカンチェンジュンガを目の前に見たときはその色っぽさに身震いしたことを思い出す。
けっしてヒマラヤの寒さからくる震えではない・・・。

春の山菜、ワラビの力強い姿2008/05/16

南魚沼のわらび
山菜の中でも特にワラビには力強さがある。他の山菜はいわゆる「芽吹く」という感がある。僕の好きなこごめもたらの芽も山ウドでさえもやはりその姿は「芽吹く」なのである。ところがこのワラビの姿はどうだ!写真のように頭を下に腰を曲げてこの姿で土を持ち上げ立ち上がってくるのだ。「芽吹く」なんていうヤワなものではない。全身で春と戦っているファイターなのである。
しかーし、その成長した姿のあれはなんなんだ?この力強さの果てのあの開ききった「中年」のような姿はどうしたことだ?

魚野川支流の源流域も雪が解けすっかり春2008/05/16

魚野川支流の源流域
魚野川支流のD川源流域。スノーブリッジも消え渓はすっかり春の様相であるが、源流域でも雪解け水でかなり水量が増え、水温は身を切るほどに冷たい。川通しで沢をさかのぼるのもちょっと苦労する水量である。陽が出ると半袖でも過ごせるような季節になったとしてもここはまだ清々しい冷気に満ちている。渓魚はまだ水面上には興味を示さずもっぱらニンフやラーバ等の水生生物を補食している。陽を浴びて温まった脇の水たまりでやっとハッチが始まったくらいのこの水温では、流れでの中で羽化が出来るようになるにはあとひと月はかかりそうだ。ドライフライでの釣りが出来るようになるまでもう少し。

こごめも暖かい陽気で一気に伸びきってしまい2008/05/16

南魚沼のこごめ
ついこの前まで雪の中に埋まっていた暗い渓流の「こごめ」もここ数日の暖かさで一気に回りの雪も消えてご覧のとおり一気に伸びきってしまった。こうなるともう食べることは出来ない。その名のとおり見るからに「草ソテツ」という感じである。山菜採取の季節(旬)は本当にタイムリーなものだ。ほんの数日違うともうご覧のような有様である。もっとも、もう少しさかのぼれば雪の残っている箇所が増え食べごろのものが採取できるのではあるが。

中国・四川省大地震はやはり未曾有の災害2008/05/20

中国・四川省大地震はマグニチュード8.0に上方修正され、中国でも記録的な大地震となり大きな被害を与えることとなった。アジアでの地震と言えば2年前に大きな被害を出し津波の映像が衝撃的だったスマトラ沖地震やジャワ島中部地震などインドネシアの南海あるいは台湾での大地震をイメージする。しかし、今回起きた中国四川省付近も実は地震多発地域なのだそうだ。中国での災害は情報がオープンになっていないせいか、日本にはあまり伝わってこなかったようだ。
インド亜大陸がユーラシア大陸にぶつかり地面を隆起させヒマラヤ山脈を形成したのに、その押す力は休むことを知らず今だにユーラシア大陸を押し続けているため、その歪みがチベット高原や四川省周辺に出るのだという。
四川省も省都成都を外れるとチベット族や少数民族が主体であるため、家や建物の造りもレンガ造り等の組石造が多い。これも被害を大きくした原因だろう。加えて中央政府の造るコンクリート造の建物は耐震基準も無く建設されているため組石造並みの強度しか無いのであろう。今回の被害の拡大は一瞬にして倒壊してしまったその建物の造りにあるといえる。また、森林の少ない禿げ山の続く地形は、地震により山崩れが頻発しており今後は大規模な土石流も心配される。死者や被害状況も今後まだまだ増え続けるだろう。
その少し前に起きたミャンマーのサイクロンの被害も大変大きなものだが、それが一瞬で吹き飛ぶほどの衝撃が日本中に走ったことは確かだろう。日本人なら誰しも「地震」に関しては敏感になっているのだから・・・。

新しいカテゴリーマンションの魅力2008/05/24

最近、都内や首都圏近郊県内でオートバイガレージ付きの賃貸マンションが建てられているのを耳にすることが多くなった。自分がオートバイに乗るのでことさらその手のニュースに敏感になっているのかもしれないが、これは全てのオートバイ乗りの熱望するところでもあるのであろう、入居率が抜群に良いと聞く。
ここ数年オートバイ(特に大排気量の外国製高級バイク)の盗難が多く報告されている。背景には中国をはじめアジアの国々が豊かになり余暇としてのオートバイの人気が高まったことが上げられる。盗難オートバイの多くが(特に高級バイクほど)アジアなど国外に運ばれ中古車として売買されているからだ。中古売買のネット販売が主流になっている状況は日本もアジア諸国も同じだ。乗用車と違い、特に屋外に保管されるケースの多いオートバイの盗難は比較的簡単だ。どんなに何重にロックをかけてあったとしても専門の窃盗グループにとっては何の抑止力にもならない。防犯センサー付きのロックもイモビライザーもSECOMなどの追跡装置も役に立った話しは聞いたことが無い。また、乗用車盗難と違い警察も本腰を入れて捜査・摘発に取り組んでいない(盗品を隠しやすいということもあるのだろう)ことも犯罪を助長させている。
そのような状況の中、オートバイガレージ付きのマンションはとても魅力だ。財産の安心安全が確保され、なおかつ好きな時間に気兼ねなく出し入れ出来る環境は何ものにも代えがたい魅力だ。マンションの中にはリビングの中にオートバイを引き入れることが出来るタイプもある。バイク好きにとっては自分のバイクをいつもいつも眺めていたいという気持ちがあるからこれも魅力だろう。
新築だけでなく、中古の建物(住宅に限らず)をリノベーションして、新しくオートバイガレージ付きの賃貸マンションとすることもこの先多くなるのではないかと思っている。駅から遠い、環境もあまり良くない、エレベーターも設置されていないような中古ビルもそのようなコアなターゲットに絞り込んでリノーベーションすれば生き残るチャンスも広がるだろう。

新潟・南魚沼もいよいよフライフィシングの季節に2008/05/29

今年のイワナ
ここ10日ぐらいの間で南魚沼地域の支流源流域もフライフィッシング(FF)の季節に入った。FFの中でもドライフライの釣りが楽しめるにはいくつかの条件がある。まずは魚の感心が水面上に向いていることが大切だ。これには水中生物の羽化が目安になる。水がぬるむとメイフライをはじめカディスやストーンフライ、カカンボなどが水面上や岸のよどみでいっせいに羽化をはじめる。そうすると渓魚もそれを追って水面近くを気にしだすのである。
春先の雪代の増水が収まることも大事な条件のひとつだ。特に源流域は川幅も狭く、両側は切り立った崖であることも多く、ゴルジュ帯を形成しているなんてこともあるから、増水時には遡行が困難になるばかりか大変危険だ。まだ雪のたっぷりある時期の渓流の方が安全なくらいである。
春先のイワナはドライフライに対しての出方も夏以降のそれと違い、大変スローモーであることが多い。頭上水面上の餌(ドライフライ)にたいして下からゆっくり上がってきて本当にゆっくりと口を開いてくわえこむ。夏のまるでひったくるような出方とは全然違うのである。水量のある中、出来るだけ長くフライを浮かせてかなりの遅アワセでフッキングさせないと釣れない。小滝の連続する源流域の泡立つ流れのほんの小さなポイントに、ピンポイントでキャストするテクニックが要求されるシビアな釣りだ。くちびるの皮一枚でフッキングした魚達はみな一応に「シマッタ!」という顔をする。
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