ヤビツ峠で登山道の補修活動 … 自然公園指導員・WanderVogel2014/11/02

登山道の修復活動
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神奈川県自然公園指導員の活動で、県の担当者、パークレンジャーさんたちと東丹沢にあるヤビツ峠から延びる登山道の補修活動に行ってきました。

実は、今私たちが呼んでいる「ヤビツ峠」というのは、県道70号(秦野清川線)が造られた際に出来た峠です。

本当の(古来より村人や杣人が使っていた生活道路としての)ヤビツ峠は、そこから岳の台方向に少し登ったところにある鞍部になります。

登山道の補修と言っても、登山者にとって安全な路を造ることが主目的ではなくて、登山者が登山道以外の脇の土を踏み荒らさないように登山道を整備するというのが目的です。

登山道が荒れると脇に新たな路が出来てしまいます。そうするとどんどん植生が後退し土砂の流出もどんどんと広範囲になっていきます。
それを防止するため、つまりは山を守るために、登山道を整備/修復しているというわけです。
(けっして登山者のためだけに補修作業を行なっているのではないのですよ。)

砂利や丸太やその他資材、道具類を担ぎ上げて、登山道を直していくのは重労働です。山頂近くでしたらヘリで資材を上げることもしますが、低いところなどはみな手作業です。
大体がボランティアの方々の活動に頼っているので、これはなかなか大変なことだというのが解ります。


帰路、ヤビツ峠から秦野に向かう途中の有名なお豆腐屋さんで、お豆腐、生湯葉、揚げ出し豆腐などを買って帰ります。
家に帰ってから、さっそく生湯葉をワサビ醤油でいただきながら、ビールを堪能しますね。

秋は実のなる季節・・アオツヅラフジ … 自然観察・WanderVogel2014/11/03

アオツヅラフジの実
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里山には秋の実がたくさん成っています。アオツヅラフジもそのひとつ。

ツル性のアオツヅラフジは花よりも実の方が目立つので、花の咲いている時期に気づくことがあまりないちょっとかわいそうな植物です。
でも、青い色の小さなブドウのような実がたくさん付く秋になると、がぜん存在感が出てきます。

「日本では昔からブドウ類を総称してエビヅル(エビカズラ)と呼んでおり、エビ色とは果実が熟した時の実や汁の濃い赤紫色の事を指している。アオツヅラフジの果実とエビヅルの果実は似ていて、特にアオツヅラフジは薬効があることから「神のエビヅル」という意味で、古来から「カミエビ」と呼ばれていたようです。」(野の散歩HPより抜粋)と、解説されています。

この時期は山を歩くと様々な木の実、変わった種子、美味しい果実と出会えるので、山歩きの楽しみが増える季節です。

標高1,600mの稜線上はすでに晩秋から初冬の景色 … 自然観察・WanderVogel2014/11/04

不動ノ峰周辺登山道
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先日歩いた丹沢山から蛭ヶ岳への丹沢主稜線上、不動ノ峰(1,614m)あたりの景色はすでに晩秋から初冬の趣きでした。

ブナの葉はニブい銅色になってあらかたが落葉し、木々は枝だけになっています。
葉が落ちた分だけ、林床には陽がいっぱいに射し込んでいますが、ササを除いて下草も茶色く枯葉色をしています。

この標高(1,600m付近)で緑色を保っているのは、ツガやモミといった自生種の針葉樹だけです。

一見するとさびしい景色にも見えますが、枯れた枝先にはもう新芽が作られています。木々たちは着々と来春の準備を整えつつあります。

紅葉の季節が終ると、山を歩く人影もグッと減ってきます。
吹く風も一気に冷たくなるこの時期は、静かで落ち着いた山歩きが出来る季節でもあります。

山上の農園(11月)・ダイコンの間引き … 畑仕事・WanderVogel2014/11/05

ダイコンの間引き
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11月も5日になってやっと夕方に畑に出ることが出来た。

相変わらずまとまった時間が取れないので、新しい冬野菜たちの植え付けも出来なくて、ヤキモキしています。

今日もあと1時間で日が暮れて暗くなってしまうので、素早くカブとダイコンの土寄せと間引きを終らせます。
ここにきてやっと成長し出したダイコン。間引いたものを使って、今夜はとりあえずおでんを作ろう。

ダイコンはもう1回間引くとちょうど良い間隔になるな。


ここ数年は、外食や出来合いの弁当・総菜類などは出来るだけ食べないようにして、野菜は畑で作ったものか地場の物を買ってきて、家でちゃんと調理をして食べる、という生活を続けているせいか、体調も良い状態が保たれている気がする。

真夏以外はちゃんと毎日ジムに通って体づくりもしているし、定期的に山歩きもしているし、この調子を保てば次回は余裕を持ってヒマラヤ遠征が出来そうだな。

一昨年は標高4,000mを越えたあたりから少々バテ気味だったけど、次回は5,500m以上まで登ることになるので、今からしっかり体づくりしとかなきゃ。

北鎌倉 明月荘・木造建築/和小屋の知恵 … 木造建築・講演会2014/11/08

北鎌倉・明月荘
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北鎌倉の明月谷戸の最奥に位置する小さな谷に(敷地は2,600㎡もある)に明月荘(旧 石橋又義邸)は建っている。

隠れ里の自然に囲まれて、ひっそりと残されているといったほうがイメージ的にはピッタリします。

一時期は解体の危機に見舞われたこともあったというが、いろいろな経緯を経て幸いにも最後は神奈川県の所有となり、鎌倉市が管理しているということだが、近年は老朽化も目立ち、なかなか修復もままならない状況になっているようです。

数年前から「神奈川県まちづかい塾」という団体と地元の住民有志らと県とが一緒になって保存・活用を行なっている施設・敷地だといいます。

今日は、この「明月荘」とその周りの谷戸を散策しながら、北鎌倉 明月荘県民協働事業プログラムの一環で行なわれる「講演会」を聴くために出掛けてきた。

明月荘での建築講演会としては第1回目となるもので、「木造建築の魅力と未来」をテーマに、講師には著名な建築家の「内田 祥哉(よしちか)」先生を迎えての講演会です。
講演は「和小屋の知恵と現代の和小屋」と題して行なわれました。


明月荘の畳の間を二間開放して会場(14畳+広縁+廊下)としたのですが、結構な人数(50人くらい)が入ったので、すし詰め状態での講演会となりました。

日本の伝統的木造建築は、ほどいて・たたんで・運んで、別に場所に建て直したり、地震などで倒れても起こし屋さんに起こしてもらえば元通りになるように出来ていました。
今回は、建物の屋根を支える伝統的工法・和小屋を切り口にその秘密をひも解く、という内容で、興味深い話しを聞くことが出来て、なかなか有意義な時間を過ごせました。


谷戸の奥には深い竹林(孟宗竹)が広がり、鬱蒼とした雰囲気がまた良かった。

谷間の斜面に古くて大きなヤマザクラの木が2本立っていました。
春になると美しい光景が広がるんだろうなぁ。

アトリエ テラの光る泥だんごワークショップ … 土の魅力2014/11/09

光る泥だんごWS
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山王の壁画LABOで行なわれたアトリエ テラの田村先生指導の「光る泥だんご」のワークショップに参加してきました。

田村先生との付き合いはもう十数年にもなるが、なぜか「光る泥だんご」づくりに関してはちゃんとやったことがなかったので、良い機会だと思い参加させてもらった。

WS(ワークショップ)は今日を含めて2回あり、今日は心材になる荒木田土で球体を作る作業です。
荒木田土とは(ネット検索すると詳しく書かれているが、簡単に言うと)元東京・荒川沿岸の荒木田原に産した「壁土用」の土のことを指します。粘着性があり,壁土材料の他にも土俵の盛り土などに適した土である。とあります。
粘り気のある粘土質の土です。

これに少量の砂(川砂を目の細かいふるいにかけたもの)と少量の水だけを加えて、手でしっかり練り込んで下地材料とします。

土壁として作る場合は、写真右上の板にのっているような少し粗い目と細か目の混じった砂とスサ(藁を細かくしたもの)を混ぜて塗り混んでいきます。

次回は仕上げの土を塗り表面を磨いていくわけですが、今日「荒木田土」で作った球体を、次回までに真球に近い形にまで仕上げていくのが宿題です。
夏だと3日ほどで乾燥するということですが、今の時期ですと完全に乾燥するまでには1週間ほど掛かるかもしれません。

球体が乾燥したら、ガラス瓶の広口を使って真球になるまで球体表面を柔らかく削り落としていく作業になります。

田村先生から仕上げ土(天然土)を見せていただいたが、こんなにきれいな色の天然土があるのか!と、驚くほど鮮やかな色土でした。

これからは僕も山歩きをした時などに、動植物だけでなく周りにある「土」にも興味を持って、変わった美しい色の土を探してみよう。

北鎌倉 明月荘・茶室の佇まい … 木造建築・講演会2014/11/10

明月荘茶室
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一昨日行った、北鎌倉の明月荘の主屋に隣接して建てられている茶室。

主屋(旧 石橋又義邸)が終戦後間もない昭和21年8月に建てられていることとから、この茶室もだいたいその頃に建てられたのかと想像しますが、まともな物資のない時代によくこれだけのものを造れたと感心します。

もっとも、材料を見ると新しいもののようですから、手を入れながら維持してきたことは見てとれます。
鎌倉市が管理していた時に市民が利用する施設として、主屋とともに使われていたことを思うと、丁寧に修繕を重ねながら使い続けてきたのでしょう。

主屋の外壁は下見板張りだですが、この茶室は土壁で造られています。
土壁は修繕が出来にくいのか見た目でもだいぶ痛んでいて、大きく剥離している個所もあります。

並んで建っていると主屋の日常空間に対して、隣接する非日常空間としての「茶室」の建物という対比の構図が良く解ります。

内部は天井の網代組みや杉板竿縁、天窓のしつらえなど、繊細な造形が目を惹きます。床(とこ)周りの造作も美しい。

何より、広い庭に向かって開け放される大きな開口部が良い。三畳台目の狭い茶室空間に大きな広さを感じさせます。

茶室に座った目線で、明月谷戸の自然の景色が目に入るように考えられて作られたのでしょう。

閉鎖的な茶室の有り様も強い精神性を感じさせるのでしょうが、こういう開放的な茶室空間というのもあっけらかんとして僕は好きです。

横浜自然観察の森で小学校の観察会引率 … インストラクター・WanderVogel2014/11/12

トキリマメ
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先日、横浜市の小学校(4年生)の自然観察会でインストラクターを努めてきました。

横浜自然観察の森で行なわれる小学生の自然観察会の引率も、もう何回目になるだろうか、僕もずいぶんと馴れてきて、どこにどういった木々・植物が生えているかもだいたい把握してきています。

ただ、この時期は紅葉する木も終わり近くになり、みんな枯れたくすんだ色になってしまっています。

実や種のなる木もたくさんあるのですが、ほとんどが野鳥やタイワンリスに食べられてしまい、これと言って見どころの少ない季節になってきました。


80名近い生徒・先生方を6パーティーに分けて、それぞれに森林インストラクターが付き添って案内や解説をしていきます。

インストラクターはそれぞれ独自のテーマを設定して、その場の雰囲気や見つけたものを使って自然の面白さや大切さを季節感などを一緒に味わっていく、という流れになります。
ですから、けっこうその場その場での対応力が試される、ということになりますので、我々も真剣です。

本番に先駆けて下見はしていますが、この季節は1週間違うと目に入る景色もぜんぜん違ってきます。
見せようと思っていた花や実がひとつも残っていない、なんてこともあって、アテが外れてガッカリということも多いのです。


写真は園路に1本だけ残っていたトキリマメの弾けた実です。
トキリマメは豆の形の時からハデな鮮やかな紅色のサヤを持っていますが、熟してくるとサヤが裂けて中から黒い2粒の柔らかそうな実が飛び出してきます。

実はこの実は柔らかそうに見えて、カチカチに固い種子で出来ています。色ツヤで鳥の眼をダマして食べてもらおうというトキリマメの作戦です。

紅い目立つサヤは黒い実を目立たせる重要な目印になっています。(写真中央)

黒い実をうまく食べさせることに成功した紅いサヤはその役目を終えると茶色く枯れて、さらに残った種を目立たせます。(写真右側)

野鳥に食べられた(呑み込まれた)実は、野鳥のお腹に納まって遠くに運ばれ、ほぼこのままの姿でフンと一緒に排出されます。
トキリマメとしては、してやったりの図です。


トキリマメに限らず、植物は進化の過程で、さまざまな子孫拡大の方法を生み出しています。
植物の中には特定の鳥や昆虫と相互契約を結んで、その鳥・昆虫しか食べられないような工夫をしたりもします。

植物たちは数百年から数千年の長い時間をかけて試行錯誤を繰り返し、あるいは自然界の厳しい洗礼を受けて淘汰されつつ、涙ぐましい努力の果てに今の方法にたどり着いた、と言うわけです。

そういったこと、「自然の有り様」を知ることは、子供たちにとっても 興味・大切な知恵になることなんだと思います。

植物たち、動物たちはただ漫然とそこにいるのではなく、そういった長い努力のベースの上にあって、すべてが必然なのかもしれないのですよ!

なんてね、、
ちょっと難しそうだけどそういうこともちゃんと教えたりしながら、子供たちと楽しい時間を過ごすことが出来ました。

山上の農園(11月)・冬野菜の種まき … 畑仕事・WanderVogel2014/11/13

畑仕事・冬野菜の種蒔き
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今日やっと4時間半ほど時間を作って、畑仕事が出来ました。ふ~っ、とりあえずホッとしました。

玉ねぎやワケギ、スナップエンドウ、絹サヤ、そら豆といった冬野菜たちの種まき・植え付けを終らせて、大きくなりかけているダイコンを少し間引いて持って帰ります。

今日は脇目も振らず、黙々とひとり 農作業に励みました。
耕運機をフル稼働させて作業したとはいえ、戻って来ると腰と肩が痛くて、、、
やはり、農作業というのは普段使う筋肉とはまた違う筋肉を使うものなのだなぁ。


昨年の教訓を思い出しながら、絹サヤの畝は広めに取ってゆったり植えていきます。
手前の畑には(ダイコンのとなりに)玉ねぎとワケギを植え、下の段の畑にはマメ類を植えます。マメ類は連続して同じところに植えないように(連作防止)今年は下の段に植えることにします。

今日蒔いた種は、発芽して順調に育ち始めるまでは、頻繁に畑の様子を見に行って水やりを欠かさないようにしないといけないな。(これも前回学んだ教訓です)

ある程度育ち始めれば放任してても問題はないですが、やはり何ごとも最初が肝心ということでしょうか。


それよりも、これから気を付けないといけないのは、野生動物です。
すでに一部のカブの葉っぱは、一目でそれと解るようにガブリと齧り取られていました。

ここにはアライグマやハクビシン、ノウサギ、タイワンリスなどの小動物が夜な夜な出没します。去年の冬もダイコン、カブ、ニンジンなどがけっこう被害にあっています。
ニンジンなんか悲しいことに土から上の葉っぱを全部齧られて全滅でした・・・ですから今年はニンジン 植えてません。


畑のふかふかの土や雨上がりの畑の上では、アライグマや野ウサギの足跡やフンを見つけることが出来ます。

箱ワナを仕掛ければ、すぐにでも掛かりそうな気がします。
ですが、、箱ワナに入ってしまった野生動物はいったいどうしたらいいんだ?

まさか殺して食べるというわけにもいかないが、、、 んっ? でもまあ、考えようによってはそれも立派な「ジビエ」なわけだよなぁ。
ということは、もしかしたらその選択肢も「アリ」なのかもしれない??

ちなみに害獣駆除のためのワナ猟は市町村の窓口に申請して許可が出れば、その場合に限って わな猟/網猟といった「狩猟免許」はいらないのだそうです。


でも、ワナを仕かけるということになると、毎日見回らないといけない(掛かっていれば、すぐに対処しないといけない決まりになっている)ので、それはそれで結構大変なことです。

この季節、野うさぎなんか「ウサギ鍋」にすると美味しそうだな。
(いやいや、冗談です)

湿地の植物・クラマゴケという名のシダ … 自然観察・WanderVogel2014/11/14

湿地のクラマゴケ
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先日、小学校の自然観察会で引率して歩いた「横浜自然観察の森」に隣接して「金沢自然公園」という谷戸がある。ここには金沢動物園も付随している。

この周辺は他に「金沢市民の森」「瀬上市民の森」「氷取沢市民の森」「峯市民の森」「能見堂緑地」などの山々や緑地を統合して「横浜つながりの森」という名の横浜市最大の緑地帯があります。

これらの緑地帯を山の尾根で結んだ「六国峠ハイキングコース」はそのまま 鎌倉へと続く「天園ハイキングコース」へと入り、建長寺裏手から北鎌倉の明月院まで延々と1本の尾根道でつながっていて、まさしく「横浜つながりの森」になっています。

谷戸では尾根沿いの道で出会う草花とは少し違う、湿気た谷間らしい面白い(昔はあちこちで見られたであろう)植物を見ることができます。

写真の植物は「クラマゴケ」という名前の付いている植物で、湿気た谷間では昔はごく普通に見ることができました。
和名のクラマゴケは漢字で表記すると鞍馬苔と書きます。(京都の鞍馬寺で発見されたのでそう名付けられました。)

苔(こけ)という名が付いていますが、イワヒバ科イワヒバ属のシダ植物で、常緑の多年草です。


イワヒバ属は日本では17種が確認されていますが、「イワヒバ」と聞くと建築を勉強した人ならすぐに「芝棟」のことをイメージすると思います。

藁葺き屋根の一番上(棟)の上に生やす植物として、イチハツ(一初:アヤメ科)と並んでイワヒバが良く使われていました。

実際には、芝棟に使われるイワヒバというのはこのクラマゴケではなく、本物(?)のイワヒバですけどね。(興味のある方は「芝棟」「イワヒバ」「イチハツ」などの単語で検索してみてください。)


茅葺き屋根や芝棟というと、いかにも「日本独特の田舎の農村風景」という感じもしますが、欧州でも(特にフランス・ノルマンディー地方など)多く見られる建築工法なんですよ。
もっとも、ノルマンディー地方の茅葺き農家で使う芝棟はイチハツ(アイリス)だけですけどね。

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