ネパールヒマラヤ・Phuへの旅/記録 5 … 海外・WanderVogel2021/07/29

Phu村入口の門をくぐり核心部に入って行く
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写真:Phu村入口の門をくぐり核心部に入って行く、2018年12月

神秘的なチョルテン群を後にし、目的地Puh村を目指してさらに歩き続ける。
今日の行程は少し長い。日が傾く前には村に到着していないと、急激に気温が下がって凍てつく寒さに震えることになる。

Phu川河原に降りたところで、灌木などの柴を拾って歩くPhuの村人に出会う。このルート上では今日までまったく歩く人の姿を見かけなかったので、ガイドを通してその老人からいろいろ話しを聞く。ガイド(ラムさん)はカトマンズ周辺の人なので、ボティア族の村人と正確に意思疎通が出来るとは限らないが、それでも何となく解るのだろう。「ヤクの落とす石に注意するように!」と言われたという。
そういえば、頭上はるか上の丘の急斜面に行列を作って進むヤクの一隊が見える。ヤクの行列が移動するたびに、はるか上から小石がけっこうな勢いでパラパラ落ちてきた。

このあたりはヤクの放牧地のまっただ中の様で、通過する人のことなどあまり気にするでも無く、あちらこちらで自由に草を食んでいる。
すれ違う時に目が合うとジッとこちらを観察しているような可愛らしい目を向けるのだが、ヤクはかなり体格が良いので近くで見るとけっこう怖いのだ。

そのまま河原をしばらく歩くと、Phu川をせき止めるかのように狭い渓谷に打ち込まれた巨大な「ピナクル」が見えてきた。
持っていた地図上でも「Phu Rock Pillar」の表記があったが、このことだったか。まるで「ここから先には入るべからず」と言っているようで自然の造形であることは解っていても、霊的なもの、神秘的なものを強く感じる。

ピナクルの右脇の隙間を巻くように通過すると、目の前にキツいつづら折りの急登がドーンといきなり現れる。
はるか上に「門」らしき建造物が小さく見えるが、これからあそこまでこの急な岩壁を登るのかと考えるとさすがに精神的に萎えてくる。
ヒーヒーハーハー息切れしながらやっとこさ急坂を登りきると、そこはPhu村への入口、古式ゆかしい石積みの彩色された門が堂々と設えてあった。
門をくぐり、いよいよPhu村の領域内へと足を踏み入れる。(写真)マニ石の列を右手に見ながらさらに奥へ進む。

高い位置に造られた門をくぐった先には、草木のまったく無い岩山・土山の山肌をトラバースするように造られた道が、川に沿ってずっと先まで続いているのが見える。このあたりの光景も感動的だ。

道を進むと、極端に狭い渓谷の対岸にPhu村を外敵から守ってきたのだろうか、緻密に積み上げられた石積み城壁が見えてくる。地図上で「Rulned Fort」と記されている古い城砦跡だ。双眼鏡を使って良く見てみるとけっこう手の混んだ造りをしている。
でもいったいどうやってあんな孤立した狭くて危険な岩の上にあのような城塞を築くことができたのだろう。魔術でも使ったのだろうか?と思えるほどの不思議な光景だ。
城塞跡を左に見ながら山道をさらに奥へ進む。

谷の奥に雪を頂いた高山が見えてきた。Pokarkang(6,372m)だろうか? それとも、その奥にあるチベットレンジなのだろうか?

日が傾きかけた頃、歩き始めて8時間超、やっとPhu村に掛かる吊り橋脇に到着した。
そこからPhu Khola対岸の馬蹄形状に凹した台地に造られたPhu村と隣接する大きなゴンパ群が見える。
陽の光は山の頂上付近を照らすだけになり、急激に気温が低下していく。
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