修復現場・檜皮葺き屋根の施工 … 邸園/文化財保全・HM2012/09/30

檜皮葺き施工中
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歴史的建築物保全活用推進活動の専門講座:文化財の保存補修現場
檜皮(ひわだ)葺き屋根の修復施工状況のスナップ写真です。

建物所有者情報保護の問題もあり、どこの何という建物かは書けませんが、この建物はもともとあるお寺の客殿として慶長年間(1600年頃)に建立されたものが、巡り巡ってこの地に移築されたものということです。

大地震時に倒壊の恐れがあるということで、いったん建物を全て解体し基礎下に免震装置を組み入れながら一から再度組み建て直しています。
基本的な部材は出来るだけ古くからの部材を使用するのは当然ですが、構造材の一部などはどうしても新材と取り替える必要が出てきます。

また、土壁や屋根などは解体してしまうと古いものを使うことは出来ませんから、出来るだけ当時の姿に近いような材料を厳選し施工します。

実際の工事に関してはそれぞれ専門業者に施工を委ねることになりますが、類似調査として この建物と同時代の建立になるものや同地域にあるもの、同一工匠によるもの、同技法・仕様を持つもの、同宗派のものなどについて綿密に調査をしたあとに総合的に判断し、復元作業に入っていくというプロセスが必要となります。

この建物は修復前には瓦葺きの屋根だったそうですが、解体調査を進める中で建立時には(写真のような)檜皮葺き屋根であったことが解り、今回の保存修復では当初の姿に戻して檜皮で葺き替えられるようになったそうです。


*檜皮(ひわだ)葺き:文字通り「檜・ヒノキ」の樹皮で葺く屋根のことです。これは、こけら葺(厚さ3ミリほどのスギやサワラの板を重ねて葺く工法)や、茅葺き(ススキやアシなどで葺く工法)などの植物性屋根葺き工法の中でも最も格式の高い技法として、古くから貴族の住宅や神仏を祀る社殿や仏堂に使用されてきた屋根です。

こけら葺き:以前のBlog:http://hd2s-ngo.asablo.jp/blog/2011/04/19/

・・・定期的に つづく

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