1月4日・仕事始め … 長尾企画工房 一級建築士事務所2018/01/04

平潟湾沿いのセンダンの実
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今日(1/4)からうちも仕事始めです。

心機一転、今年は頑張りますよ! ってね。

木造駅舎・東急池上線 戸越銀座駅 … 建築・街歩き2017/02/07

戸越銀座駅
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昨年暮れ12月にリニューアルした東急池上線の戸越銀座駅のホーム。

よくTVなどでも取り上げられることの多い「戸越銀座商店街」、その最寄り駅にあたるのがこの「戸越公園駅」ですよ。

1927(昭和2)年の開業以来 90年ぶりのリニューアルだということと、木造で新しく造られたホーム屋根というのが東京では珍しい、ということで建築関連のニュースでもけっこう取り上げられていました。
東京の多摩地区で産出された「多摩産」材にこだわって、その木板を格子状に折曲げるように組み合わせてデザインされた屋根が特徴で、ついでに壁もベンチも木製というわけです。
東京都の「森林・林業再生基盤づくり交付金」事業の補助金を受けて実施されたもので、これも都内の鉄道施設としては初の事例なのだそうです。

新しくデザインされた木製の駅舎というくくりで言えば特筆して「珍しい」というものではないのだろうだが、首都圏では余りお目にかかれないので、これからこういった温かみのある素材を使った公共デザインが多くなるとギスギスした世の中も少しは「やわらぎ」を感じられるのではないか、と思ったりする。

でも、こういった試みは出来上がってみれば何てことなく見えるのだが、実際にかたちになるまでは大変なやり取りがあったのだろうなぁ、などと変な勘繰りをしてしまいます。特に交付金などの補助金がらみだと、余計な面倒が多そうで、、、などと要らぬことにまで気を回してしまいます。

それはさておき、今日のような快晴の陽の中で見ると、なんだかホーム全体が輝いて見えたなぁ。

一昨年の地震の被害・ナグタリ村のゴンパ … Nepal Trekking・WanderVogel2016/12/09

ナグタリ村の倒壊したゴンパ
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一昨年のネパール地震で大きな被害のあったランタン一帯(Langtang Valley)ですが、川(Bhote Koshi River)を挟んだ西側の山麓一帯でもやはりかなりの被害が出ていたようでした。
そこはthamag(タマン族)の人々が暮らす、独特の文化の残っている地域(Tamang Heritage Area)で、事前の情報では地震の被害が比較的小さかったエリア、と聴いていたのですが、実際に歩いてみるとそうでもありませんでした。

エリア内のいろいろな村を巡りながら歩いていると、目に付く家屋で被害の無かったものは皆無で、ほぼ全ての民家の屋根が倒壊・崩落していました。
地震から1年半以上が経った現在でも、応急修理がなされているものはそのうちの約半数程度、というのが印象です。
しかも、伝統的な屋根(スレート石屋根や板葺き屋根)での修復はまったく見られず、波形トタン板による応急修理がほとんどです。

この地域の民家の建て方には2つのパターンがあって、木造(柱梁工法)で造られているものと、石積みの壁に木造の床や屋根を載せたものがあります。
また、細かい彫刻を施した飾り窓や柱頭飾りなども、この村の独特の建築文化を象徴しています。

木造の場合は、屋根も「くれ板葺き」で造られ、葺いてある木の板が飛ばないように、上に石が載せられています。日本の昔の民家に良く似ています。
石積みの壁の上に木造の梁・垂木で屋根下地を組んだ民家の場合は、薄く裂かれたスレート石で屋根が葺かれているものが多く見られます。これも石の産地を持つ地方の日本の民家でも見られる手法です。
いずれにしても、みな地元で容易に手に入る素材で造られています。

村のあちこちには応急修理さえままならず、打ち捨てられている家屋も多く見られ、大切な村のゴンパ(チベット仏教の僧院)でさえ未だに手が付けられずに仏像が野ざらしの状態にあったりしています。

この辺りの村は、古くはチベット・中国との交易で栄えた地域だったと言います(Bhote Koshi川沿いの道を遡ると、チベットはすぐそこです)が、新しく観光産業(トレッキング)にも力を入れ始めた矢先のあの大地震です。目玉である静かな村の装いや伝統的な村の佇まい、建築文化、といったものが失われてしまったというのは何としても残念なことです。

とは言え、こうした村々では、まずは倒壊した宿泊施設(ロッジや山小屋レベルのものではありますが)の修復や新築をする姿も多く見られました。

独特の佇まいを見せていた村のイメージは少し失われてしまいましたが、ナグタリ(Nagthali)村から見る壮大なヒマラヤの山々の姿は昔も今も変わりません。

北鎌倉・明月荘が全焼・焼失してしまいました … 建築・文化財保全/HM2015/03/24

北鎌倉・明月荘
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昨日は朝から建築士会関係者や横浜ヘリテージマネージャー(邸園(歴史的建造物)保全活用推進員)の関係者たちから、続々とメールが飛び込んできました。
北鎌倉の明月谷戸に建つ明月荘が22日の午前3時ころに出火し、主屋と隣接するお茶室の全てを焼失してしまったというなんとも衝撃的な知らせでした。

昨日は朝のうちにデスクワークをして、その後山上の畑に出ていましたので朝のニュースを見る時間が無くて、明月荘全焼の知らせを仲間内のメールではじめて知ったというわけです。
夕方戻ってきて、ニュースやネットなどで詳しく確認してみて、何となく全体像が解ってきました。

この「明月荘」を会場にして、内田 祥哉(よしちか)先生を迎えての講演会が催されたので、私も昨年11月に訪れたばかりでした。
写真はその講演会の時の参加者同士が明月荘の庭でくつろぐ様子を写したものですが、焼けてしまった今では、この姿を再び見る機会は永遠に失われてしまったことになります。
(この写真の右手側にお茶室が建てられているのですが、火はそちらへも延焼し、施設のすべてが焼け落ちたそうです。)


出火の原因は解っていませんが、午前3時に出火したこと、直前に警報装置が作動していることなどを考えると放火の可能性が大きいでしょう。
実際に、神奈川県(全国でもそうでしょうが)の木造文化財の放火による焼失はけっこうな棟数にのぼります。
有名なところでは、藤沢市に建っていた昭和初期の洋館「旧モーガン邸」、戸塚区に建っていた「旧住友家俣野別邸」、つい最近では、私の住んでいる金沢八景近くの富岡というところに建っていた「旧川合玉堂別邸」が一昨年の暮れにやはり放火により全焼・焼失しています。

同じいたずらでも破壊や落書きでしたら(これも許されることではありませんが…)修復も効きますが、焼失してしまったものは絶対に二度と元には戻りません。

火災というのは、木造建築の最大の弱点であり、究極の破壊方法だと言えるでしょう。
家屋だけでなく付随する調度品から備品まで、全てが一瞬で灰になってしまうのです。
その意味からも、「放火」という行為は木造の文化財破壊の中でももっとも許されざる破壊行為と言えるのです。

ですから重要文化財級の木造建築を維持管理・利活用している方々は特に「火」には神経を使っています。いざという時が来ないよう日頃からいろいろ注意を払い、方策をとっているわけです。

また、明月荘の保存管理については、神奈川県(都市整備課)と一緒になって専門的な補修/利活用を手助けしている「神奈川まちづかい塾」のメンバーらが中心となり、さまざま修復プログラムを模索していました。
やっと昨年、修復作業に向けたプログラムを作った矢先の出来事だったので、メンバーの落胆ぶりは想像以上だと思います。
怒りを感じるというよりは、みんな何とも言いようのない失望感と脱力感に包まれていることと思います。
重要な文化財の焼失という言いようのない無念さに加えて、それを保存修復し利活用を推進してきた方々の焦燥感を思うと何とも言いようもありません。


保存・修復・利活用と一口に言っても、県の修復/維持管理の予算組みの中ではとてもやりきれるものではなく、森林ボランティアなどと同様に市井の人たちの協力や努力、知恵に期待するところが大きいのが実情です。

「神奈川まちづかい塾」をはじめ、様々な団体の方々が以前から建物の清掃や広大な庭や山林の整備を行なってきました。そして、木造建築文化財の専門的なことがらだけでなく、昔の鎌倉谷戸の生活・文化などについての情報発信にも尽力してきました。

今年は年初からこの神奈川まちづかい塾主催による、修復ボランティアを広く募集して、この建物のことを周知させることも含めた「修復ワークショップ」を始めたばかりでした。

とりあえず傷みの目立つ明月荘玄関周りを修復しようと、今年の1月・2月で一部土壁や基礎の解体と新たな軸組補修を行なっていました。
そしてこの4月から5月にかけては、土壁の下地組み(竹小舞)ワークショップと土塗り(荒塗り)ワークショップが始まる予定で、ワークショップのボランティア募集もすでにかけていました。

でも、22日の早朝でそれらのこと全てが水泡に帰してしまいました。
現段階では放火によるものとの結論が出たわけではありませんが、いずれにせよ、まったくもって残念・無念でなりません。

明月荘・木造建築/和小屋の知恵:http://hd2s-ngo.asablo.jp/blog/2014/11/08/
横浜山手の洋風住宅の修復見学会:http://hd2s-ngo.asablo.jp/blog/2014/03/29/

まじめに建築や環境の話し・茅葺き屋根民家を例に … 建築と環境・WanderVogel2014/11/26

茅葺き屋根民家
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少し真面目に、建築材料からみる環境問題の話し。

一般にいわれる茅葺き屋根の「茅(かや)」とはなんでしょうか?

茅または萱(かや)というのは、屋根を葺くのに用いる草本の総称で、特定の「この草」と決まっているわけではありません。
と言うよりも、その地方で取れる(入手し易い)屋根葺き材料の草をそう呼んでいるということです。

多くは、ススキ(薄、芒)、チガヤ、カリヤス、シマガヤ、スゲ(菅)、葦(ヨシ)などイネ科の植物で、広義では麦わら、稲わら等も含まれます。

日本全国でみると、ススキ(イネ科ススキ属)が使われることが多いのですが、全国各地方でさまざまな形質をもったその地方特有の「茅」が使われています。
また、同じススキひとつ取ってみても、育った環境で茅葺き屋根の葺き方がガラッと変わるくらい地方差があります。

そうしたその地方特有の茅材を使って葺いた屋根は、その地方の気象条件や風土、文化、歴史を反映した独自の茅葺き技法として発達してきました。
その結果、それぞれの地方に独特の形式と風格とを合わせもち、その土地ならではの土着性を持った茅葺き民家が伝承されることになったわけです。


昔は関東地方・東京にも多くの茅の生産地がありました。
たとえば「茅場町」などはそのままの名前が付いていますし、「吉原(今の台東区千束四丁目あたり)」はもとは葦(アシ)の多く生える広大な湿地帯でした。
(アシは悪しに通じると言うことで、ヨシと呼ばれるようになったことは良く知られていますね。)

神奈川県でも昭和の初めまで各村々にそれぞれの萱場を持っていました。
丹沢の鍋割山の頂上一帯の旧茅場などは今でもその名残を見せています。鍋割山の頂上の広い草地は昔の地元の村の入会地(共有地)・茅場の名残で、今はここに登ってくる登山者に抜群の眺望を与えてくれています。


西日本では、京都の茅葺き材の提供地である琵琶湖湖畔のヨシ原が有名ですし、大阪では大阪府南部の岩湧山(いわわきさん)一帯に今でも茅場・萱場が残っています。

大都市の周辺には、その都市に住む多くの人たちの住宅や建物の屋根に使用する膨大なカヤを調達する生産場所が身近にたくさん用意されていた、ということです。


関東地方の各所にあった「茅場」は、今ではすっかりその姿を消してしまいました。
今では関東での茅の調達は、ススキは冨士の演習場一帯、ヨシは渡良瀬川遊水池周辺を中心に行なっているということです。

もっとも、渡良瀬遊水池自体は、足尾鉱毒事件の鉱毒対策で1903年に計画され出来たものですから、曰く付きと言えるかもしれませんね。
ラムサール条約で指定され鳥獣保護区にもなっていて、いかにも「自然がいっぱい」という感覚を持ちますが、今でも土中には(100年間に渡って蓄積された)銅などの重金属が多く含まれていると言います。
(当然、そこに生息する植物や棲家としている動物や魚たちにも何らかの障害・影響を与え続けてきた思われます…)


ヨシは水辺に生え、欧米ではウオーターリード(water reed)、またはたんにリード(reed)と呼ばれています。 ヨシは、屋根葺き材料としてススキよりも腐りにくいので珍重されますが、ススキより若干値段が高くなります。

東日本有数の葦(ヨシ)の一大産地であった宮城県石巻市北上町の北上川河口に広がる葦原は、先の東日本大震災で半分以上(一説ではそれ以上の被害?)が水没(地盤沈下と海水の流入による)してしまい、葦にとって大変な被害が出ました。

北上川の場合、自然被害で生産量が落ち込んだと言うことよりも、その後の(今でも続いている)福島第一原発の放射能漏れで、空(空中)と海(河口)からのダブル汚染で葦自体に蓄積されているかもしれない含有放射性物質の懸念の方が重大な心配事だろうと思います。

今でも、東北地方から茨城県の一部にかけては、除染対象になっている落ち葉や表土以外の、山で採れるキノコや山菜、渓流魚(イワナやヤマメだけでなくワカサギやサワガニなども)、獣たち(イノシシやシカ、ツキノワグマなど)も実際に計測してみると、(環境省が基準を大幅に緩和したにもかかわらず)今年も出荷出来るようなレベルに達していない高レベルの放射性物質が確認されています。
当然、当該地域ではそれらは出荷停止ですし、一部では採取することさえも禁止されています。

これは単純に考えてみると、そこに一緒に生えている草木や樹木だって同じ状況にあるのでは? という、至極当然な疑問に突き当たります。


震災で原子炉がメルトダウンした際には、東京の工事現場で使うコンクリートに入れる砂利や砂でさえ東北産(プラントに野積みしてあったものだけでなく)というだけで受け入れ拒否あるいは除染の対象になっていたのに、いつの間にか危険レベルを示す「基準」そのものが大幅に引き上げられ、その夜まで「危険・除染の必要あり」だったものが、次の朝には同じものが(基準値が変更になったという紙の上の話しだけで)「安全・全然問題なし」に変わってしまうとのはどう考えてもおかしなことです。

東北産の茅は本当に大丈夫なのか? 東北の木材は大丈夫なのか?

林業機械化現場の見学・研修会2 … 森林インストラクター・WanderVogel2014/04/10

伐採集材作業
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昨日の相模原市津久井の山林で行なわれた林業機械化現場研修・・・つづき

丸太の山出し金額(神奈川県)は杉の場合で¥10,000/m3~¥12,000/m3程度、ヒノキの場合でも¥22,000/m3~¥23,000/m3と決して高くない。
(これに県からの補助金が、m3あたり¥11,000.上乗せされる。)

まれに、丹沢ヒノキの最高級品で¥300,000/m3という値の付いた材があったようだが、これは昨年の新橋に新装した新歌舞伎座の床板に使われたもので、樹齢も品質も見た目の美しさも別格なものですので、そういう高価格がついたそうです。

切り出して材木を売る他にも、神奈川県の場合(どの県でもそうなのだろうが)山主と県が通常20年契約で森林整備を行う契約を結んでいて、実際にはその整備事業(間伐や下草刈りなどの作業)を民間の林業会社が県から請け負う、という流れになっているそうです。

ここの山林の場合は、森林整備とは別に林業会社が山主から(杉の場合で¥1,000/m3以下)で購入する契約を結んで、山から切り出しを行っているということでした。

実のところ、多くの山林で同じことが言えるのだそうですが、山主の方にも大きな問題があって、その昔木材価格が高騰した時に付いた(バブルの)高値の経験がいまだに忘れられず、安い金額で材木を売ることにものすごい抵抗があるようで、売り渋っているうちに結局売れないまま、切り出した材を運び出すことも出来ず、森林整備で伐採された優良な材でも山に打ち捨てることになると聞きました。
実にもったいないことです。

ここでのスギ丸太の切り出し作業では、2t車(約3m3分 積むことが出来る) 1台で約¥33,000(スギ材=¥11,000/m3×3m3)+¥33,000(補助金=¥11,000/m3×3m3)=¥66,000 程度しかならない。ヒノキの場合はスギの倍の価格(約10万円程度/台)になります。
ですので、ヒノキだと少しは利益が出るが、スギの場合だとほとんど利益が出ないのだといいます。
ちなみに、丸太の場合、末口(丸太の細い方の直径)30cmの丸太で長さ1mで0.1㎥という計算になりますから、2t車には3mものの丸太で10本積める計算になる。

日本の場合、農業同様に林業に関しても補助金による厚い保護政策がないと実際には立ち行かないということになります。
そうはいっても、国土の根幹である日本の山を山林を荒廃させるわけにはいきませんから、多額の(私は多額とは思わないが…)税金を投入してでもこれを守っていかなければならないことに変わりはないと思っていますが。

林業機械化現場の見学・研修会1 … 森林インストラクター・WanderVogel2014/04/09

林業機械化研修
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今日は相模原市津久井の山林で行なわれた林業機械化現場研修で、スギ材の切り出し/集材作業を見てきました。

ここの杉材はだいたい60年~70年生のものだそうで、これまでに3回の間伐作業が行われ今年の切り出し作業となった。

これまでにも書いたが、神奈川県の昨年度のスギ材ヒノキ材その他の材木の切り出し目標は30,000m3と設定されている。
ただし、実際の切り出し量は16,000m3程度でしかなく、しかもこの切り出し量は実際の伐採量の1~2割程度でしかないといいます。切り出せない大きな理由の一つには売値が安くて元が取れないことがあげられるが、この要因は伐採した木材の集材の困難さがコストに跳ね返ってくることにも原因はあります。

切り出した木材は写真にあるスイングヤーダ(黄色い方の機械)という機械でワイヤーを使って、山の斜面から引きずり下ろしてくるわけですが、このスイングヤーダ(写真の機械は0.25タイプ)の作業距離(引きずって集められる距離)がせいぜい70m~120m程度しかないということなので、それ以上の距離を作業しようとすると作業道や林道を取り付ける必要があります。

もう少し大型の機械を入れれば作業効率も作業範囲も上がるのでしょうが、それをするには取付け道路・林道の幅や作業スペース、斜面の状況など、条件によりなかなかそうはうまくいかない場所が多いのだそうです。

今日の運び出し作業は斜面の上と下で計5人でおこなっていましたが、こういった山での切り出し作業では、2〜3m3/日/人 を切り出すのが精一杯ということでした。

作業している方との話しの中で、スイングヤーダでの作業は、斜面を引き下ろすより引き上げる方が楽だと言っていました。
ただどちらにせよ、(間伐して残した方の)立木の間を引きずって集めることになるので、立木に傷が付きやすく、(数年後に伐採しようとしている)木を痛めてしまう原因になり易いのがこの機械による集材の大きな欠点なのだそうです。それだけ慎重で繊細な作業を求められるということですから、やはり作業効率の面からは条件は良くはないですね。


木の伐採時期は、樹木が水を吸い上げだす2月にはだいたい終わりになりますが、今年は2月に降った大雪の影響で除雪が間にあわず、伐採作業が4月までズレ込んでいるということでした。

実際に山での木材伐採作業というのは、晩秋から翌年に掛けて(10月から1月くらいまで)の寒い時期に行われます。

以前のblog: http://hd2s-ngo.asablo.jp/blog/2014/03/05/
・・・つづく・・・

面倒な3年ごとの建築士定期講習制度 … 建築設計・建築士事務所2014/04/06

建築士講習
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平成20年11月から施行されている、3年ごとの建築士免許更新の定期講習。

世間に名高い(?)姉歯事件(構造計算書偽造事件)後に、改正された建築士法の規定により、建築士事務所に所属している建築士(管理建築士も含めて)は3年ごとに決められた講習(そのあとに試験というか修了考査がある)を受けなくてはいけないようになった。
(同じ国家資格である「医師」や「弁護士」にはこういう制度がないのも考えてみればおかしなもんだ。)

これには、事前に予約を取ってあらかじめ決められた日に決められた場所に集まり、平日の丸1日の時間(ほぼ6時間半)を使って、安くはない受講手数料(¥12,960)を支払い、受けなければならない。
表向きの講習の主旨は新しく改正された法規などを周知させると言うことなのだろうが、もともとの制度の成り立ちから言えば、建築士に求められる社会的な「倫理観」を徹底させるということなのだろう。

真面目に取り組んでいる設計者にとっては迷惑な話しだが、一方で建築設計や建設の世界でもこのところ急激に増加している設計や施工上の「訴訟トラブル」を時代の流れと考えるならば、「倫理観」の周知徹底も大切だが、訴訟や裁判といった普段馴染みのない事柄のことやネット等で無責任に広がる誹謗中傷の回避方法など現実的な事柄を講習内容に盛り込む方が時代の流れにあっているように思うが、どうなんだろうねぇ。

木材供給と森林再生・木造建築2 … 建築設計・WanderVogel2014/03/06

森林の育成
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・・つづき・・・

1955年(昭和30年)に木材の輸入制限が撤廃される前までは、(今では信じられないでしょうが)日本だって国内で使われる木材はその全てを国内産だけでまかなっていたわけです。

でも制限がなくなり輸入関税がほぼ0になってしまうと、それ以降はずっと右肩下がりで一気に木材自給率が低下していきました。

2000年(平成12年)にはついに木材自給率は18%台にまで落ち込み、最低の自給率になっていました。

最近少し上昇に転じてきて26%(2012年度)程度にまで回復してきたと言いますが、最近の住宅メーカーの住宅建築は(木材以外の)新建材の使用量の増加に押されて(1軒あたりの)木材使用量が相対的に減ってきています。その影響もあって外材の輸入量自体が減っていて、そのことが自給率の数字上の上昇に影響していると言えなくもない。
その証拠に、国産材の生産量が増えているかというと、そういうわけではないですからね。

国の立てた「森林・林業再生プラン」を読むと、2020年までに木材自給率を50%まで引き上げるという「壮大な野望」を持っているようです。
木材生産量も現在の1,800万m3から4,000万m3~5,000万m3まで増産させたいという大きな目標を掲げています。現状を考えるとまさしく荒唐無稽な計画と言えなくもないが、方向性は間違ってはいないのだろうなぁ。
再生プランの立案者はどこまで本気なのかはわからんが…。

もうひとつ別の問題は、木造建築を設計出来る建築設計士の数が極端に少ないということと、きちんと木造住宅を扱える(一から建てることの出来る)大工さんの数も少ないということですね。

・・さらに つづく・・・

木材供給と森林再生・木造建築1 … 建築設計・WanderVogel2014/03/05

植林地
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「木材供給と森林再生、木造建築」に関するいろいろなこと。

木造住宅1軒分の平均木材量は昭和40年代までは25~30m3ぐらいでした。
現在では住宅規模も小さくなってきていることもあり、また内外装に新建材が多く使われるようになったということもあって、実際の使用木材量は17m3程度にまで減っています。

神奈川県で言えば、今年度(平成26年度)の目標木材生産量は、30,000m3/年と計画されていますが、県の実際の年間生産量はここ数年は19,000m3~22,000m3程度で推移していますので、数値だけで言えば達成するのはなかなか厳しいと言えます。

目標生産量の年間30,000m3/年の根拠は、サスティナブル(森林を適正に環境を守るために必要な切り出し量がその目標数値の根拠になっている)から算定した量ですので、まあ、考え方としてはなんかちょっとおかしい気もしますが…、まあとにかくそういう年間計画を立てているということです。
その内訳はスギが約4割、ヒノキが3割、その他広葉樹が4割という割合です。

神奈川県の年間の木材生産規模は47都道府県の中でも、44位とかなり下位に位置しています。なんと東京都は43位で神奈川県より上にいます。東京より下とはちょっとショックですねぇ。
TOPはもちろん北海道(ちなみに年間生産量も桁違いで、約3,000,000m3/年)で、2位は九州/宮崎県、そして最下位は沖縄県というランキングです。

また、山から木材を切り出して、製材所まで下ろしてくる「コスト」については、一番コスト高なのが神奈川県で、一番安いのは秋田県です。神奈川県の場合は秋田県の7~8倍のコストが掛かっているといいます。
これではなかなか上位に食い込むことは出来ませんよね。切り出せば出すほどコストアップになるのでは国内の競争でも負けてしまっています。

とは言え、上で言うサスティナブルの観点から、神奈川の山や森の自然を守っていく(再生していく)ためにやはり木材総量の一定量をきちんと切り出して、利用していかなければいけないこともまた事実です。

年間目標値の30,000m3/年が順調に切り出された仮定して、製材して全てを住宅用建築材で使うとしても作り出せる量はせいぜい1/3の10,000m3程度です。
木材エコポイントなどを利用して1軒あたりの住宅の木材使用量を上げたとしても、せいぜい270戸分の量でしかありません。

神奈川県では年間 約30,000戸/年の(新築)木造住宅が建てられているので、それで考えると年間住宅着工数の1%にも満たない。ということになり、数字だけを見れば、「県産材」が社会に与える影響力は限りなく小さい。ってことか、、なんだか気が抜けちゃいますねぇ。

・・つづく・・・

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