木材供給と森林再生・木造建築1 … 建築設計・WanderVogel2014/03/05

植林地
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「木材供給と森林再生、木造建築」に関するいろいろなこと。

木造住宅1軒分の平均木材量は昭和40年代までは25~30m3ぐらいでした。
現在では住宅規模も小さくなってきていることもあり、また内外装に新建材が多く使われるようになったということもあって、実際の使用木材量は17m3程度にまで減っています。

神奈川県で言えば、今年度(平成26年度)の目標木材生産量は、30,000m3/年と計画されていますが、県の実際の年間生産量はここ数年は19,000m3~22,000m3程度で推移していますので、数値だけで言えば達成するのはなかなか厳しいと言えます。

目標生産量の年間30,000m3/年の根拠は、サスティナブル(森林を適正に環境を守るために必要な切り出し量がその目標数値の根拠になっている)から算定した量ですので、まあ、考え方としてはなんかちょっとおかしい気もしますが…、まあとにかくそういう年間計画を立てているということです。
その内訳はスギが約4割、ヒノキが3割、その他広葉樹が4割という割合です。

神奈川県の年間の木材生産規模は47都道府県の中でも、44位とかなり下位に位置しています。なんと東京都は43位で神奈川県より上にいます。東京より下とはちょっとショックですねぇ。
TOPはもちろん北海道(ちなみに年間生産量も桁違いで、約3,000,000m3/年)で、2位は九州/宮崎県、そして最下位は沖縄県というランキングです。

また、山から木材を切り出して、製材所まで下ろしてくる「コスト」については、一番コスト高なのが神奈川県で、一番安いのは秋田県です。神奈川県の場合は秋田県の7~8倍のコストが掛かっているといいます。
これではなかなか上位に食い込むことは出来ませんよね。切り出せば出すほどコストアップになるのでは国内の競争でも負けてしまっています。

とは言え、上で言うサスティナブルの観点から、神奈川の山や森の自然を守っていく(再生していく)ためにやはり木材総量の一定量をきちんと切り出して、利用していかなければいけないこともまた事実です。

年間目標値の30,000m3/年が順調に切り出された仮定して、製材して全てを住宅用建築材で使うとしても作り出せる量はせいぜい1/3の10,000m3程度です。
木材エコポイントなどを利用して1軒あたりの住宅の木材使用量を上げたとしても、せいぜい270戸分の量でしかありません。

神奈川県では年間 約30,000戸/年の(新築)木造住宅が建てられているので、それで考えると年間住宅着工数の1%にも満たない。ということになり、数字だけを見れば、「県産材」が社会に与える影響力は限りなく小さい。ってことか、、なんだか気が抜けちゃいますねぇ。

・・つづく・・・

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