太平洋岸の海岸沿いではポピュラーなラセイタソウ … 自然観察・WanderVogel2015/08/21

御前崎海岸のラセイタソウ
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御前崎海岸(御前崎遠州灘県立自然公園)でのスナップ写真・ラセイタソウ(羅背板草)

いままで何回かこのblogに登場しているイラクサ科の植物です。

イラクサ科カラムシ属の草本ですが、ラセイタソウは山間部ではなく海岸付近でよく見られます。写真は先日、御前崎海岸で撮ったものですが、三浦半島や伊豆半島でも普通に見られますね。
今は海岸線からずっと内陸に離れてしまってはいますが、もともと本牧岬として海に面していた三渓園内の岩肌にも今も自生しています。


ラセイタソウ、漢字で書くと「羅背板草」と書きます。
ラセイタ(羅背板)とは、ポルトガル語のラシャ(羅紗)に似た布で, ラシャよりも薄手の粗い毛織物のことを言います。ラセイタソウの葉っぱのザラザラとした手触りが、その毛織物の感触に似ていたのでしょう。
漢字自体には特に意味はなく、外国語(ポルトガル語)の音を漢字に当てただけの当て字なのでしょう。

写真のように葉の片側だけが裂けるのもラセイタソウの特徴のひとつなのだそうです。
葉の上から飛び出している花序は雌花です。
雄花の花序はその下に付いているのですが、この写真には写っていません。

イラクサ科を食草にするフクラスズメの幼虫のことを8/13のblogに書きましたが、同じようにイラクサ科を食草とする幼虫には、アカタテハというタテハチョウ科の蝶がいます。
同じイラクサ科でも、カラムシやヤブマオと違って、ラセイタソウの葉は厚くてかなりゴワゴワしていて食感が悪そうです。僕がその幼虫なら「この葉っぱだけは勘弁!」と言いたいところですが、調べてみると、けっこう食べられているんですね。

イラクサ科を食べるしかないこれらの幼虫は、多少ゴワゴワしていても周りにこれしかなければ、(無理を?してでも)食べるのかな。
自然界とは厳しいものですな。幼虫に好き嫌いは通用しないのね。

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