越後妻有トリエンナーレ・星峠の棚田 … 自然観察・WanderVogel2015/08/03

星峠の棚田
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今年も越後妻有トリエンナーレ「大地の芸術祭」に行ってきました。
3年に1回のペースで開催される、越後妻有トリエンナーレは2000年の初開催から数えて今年で6回目になります。

今回は土の田村先生、スギちゃん、姪のミィ、私の4人での一泊二日の見学ツアーです。
2日間とも炎天下の猛暑の中、行く先々で身体がとろけそうになりながらの見学になりました。

松之山温泉・松代の近くに「星峠」という素敵な名前の峠があります。
写真は峠の上から見た棚田の様子です。
眩し過ぎる陽を浴びて、棚田の稲も輝いています。

炎天下の中、元気がよいのは一番若い「姪」だけでしたよ。

越後妻有トリエンナーレ・星峠のキキョウの花 … 自然観察・WanderVogel2015/08/04

星峠のキキョウ
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炎天下の越後妻有トリエンナーレ「大地の芸術祭」パート2 といっても、自然の芸術・キキョウの花

昨日UPした「星峠」の日陰の斜面でキキョウ(桔梗)が数輪咲いていました。
キキョウと聞くと明るい紫色をイメージしますが、ここで見たキキョウはものすごく濃いブルーのキキョウでした。
秋の七草のひとつですが、真夏の炎天下の日の陰で、ひときわ元気良く咲いていました。

ダムマニア垂涎の一品? … 土木構造物・芸術祭・WanderVogel2015/08/05

鋼製セル式堰堤
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炎天下の越後妻有トリエンナーレ「大地の芸術祭」スナップ・津南町、辰ノ口、トヤ沢

芸術作品というわけではないが、半端な作品?よりはずっと存在感と訴えかけてくるものがある巨大な複合型堰堤。
砂防堰堤やダムには様々な種類、工法、歴史があり、それぞれ独特の景観を見せてくれていますが、この工法はそのなかでも特異なもののひとつでしょう。

世に「ダムマニア」という特異な趣味の人たちが存在していますが、これなどはダムマニア垂涎の景観を見せているのではないでしょうか?
まさに「ダム萌え」「堰堤萌え」という感じです。

紅く錆びた耐候性鉄板(鋼矢板セグメント)で囲まれた円筒形のものは、「鋼製セル式堰堤」と呼ばれる砂防堰堤です。ここでは直径30m弱の円筒形のものを4函(カン)並べた格好になっています。
そのとなりの芝が張られた部分も堰堤構造物で、こちらは「INSEM ダブルウォール堰堤」という工法で造られています。
そして、もう一方には従来のコンクリート重力形の堰堤が組み合わされていて、全体として複合的に構築された土木構造物として見ることが出来ます。

平成23年3月に起こった長野県北部地震で、トヤ沢一体と前を走る国道353号線を呑み込んだ土石流の復旧作業の一貫として造られた砂防ダムだということでした。

暑い中、鋼製の作業階段を延々と登って堰堤上まで行くと、ダムの内側を見ることができます。
今の状態でもけっこう土砂が溜まっているように見えるので、そこで説明をしていた職員に聞いてみると、地震による土砂崩れで発生した16万㎥を留める容量は(設計上では)確保されています。ということですが、どうなんでしょうか?

水利ダムや発電用ダムとはニュアンスが違う「砂防ダム」に関しても、自然環境の問題、景観の問題などで、その必要性を含めて様々な意見が出ていることは解っていますが,日本にある「沢」はその地形的環境や土質などから自然災害が起き易いことも事実です。
砂防を目的とした土木構造物の建設は木製堰堤、野石組み堰堤を含めれば、江戸時代から存在していたものだと思います。
「日本の山」「日本の川」の持つ宿命なのかもしれませんねぇ。

ちなみに、明治期・大正期に造られた石組み堰堤や初期RC堰堤などのなかには、登録有形文化財認定を受けているものも数多くあります。

純粋なトリエンナーレの作品としては、当時発生した土石流の範囲を黄色いポール・列柱で囲い・表現したものがありました。

それにしても、堰堤上までの階段は暑かったぁ!

越後アンギンの展示・十日町市博物館 … 自然観察・WanderVogel2015/08/06

越後アンギン
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越後妻有トリエンナーレ「大地の芸術祭」スナップ3・十日町市博物館

2日目の午後は、土の田村先生の要望もあって十日町市博物館に向かいました。ここには有名な「国宝 火焔型土器」が展示してあります。
十日町市内で発掘された「火焔型土器」はこの博物館の展示物の目玉であり、秀逸な一品なのですが、僕がこの博物館の展示で一番目を引いたのは「カラムシ織り」でした。

十日町から小千谷、六日町、塩沢にかけて織られてきた有名な「越後上布(エチゴジウフ)」「越後縮(エチゴチヂミ)」「小千谷縮(オヂヤチヂミ)」の原型ともいうべき織物「越後アンギン」の製作展示がとても面白かった。
昨年、鶴岡に行った時に「到道博物館」で見た、シナノキの樹皮を剥いで糸状にして織った織物「しなおり」という織物のことを思い出しました。

アンギンの原料は、越後上布などの高級品に使われる「青苧(あおそ:カラムシから取った繊維)」の余った端材、「アカソ」「ミヤマイラクサ」「ヤブマオ」などイラクサ科の植物です。いわゆる「麻」織物・編物・組物です。狭義の麻はクワ科の大麻ですが、広義の麻は上記の植物たちで織られた織物を言います。
今回の越後妻有トリエンナーレの移動で走り回った道路脇で、普通に見られる植物がその原料になります。また、これらの植物は、丹沢でも奥多摩でも日本全国どこでも普通に見られる草本です。

この「カラムシ織り」は、縄文時代から日本各地で延々と続けられてきていて、つい最近(昭和初期)まで地方では普通に織られ使用されていたことを思うと、3,000年以上続いたであろうその織物の歴史・伝統が廃れてしまったのがつい数十年前だったんだなぁ、と妙な感慨に襲われます。

とても興味深く、面白い展示内容でした!

しなおり織物:http://hd2s-ngo.asablo.jp/blog/2014/08/12/

静かに自然に帰る土壁・胞衣 みしゃぐち … 自然観察・WanderVogel2015/08/07

胞衣 - みしゃぐち
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越後妻有トリエンナーレ「大地の芸術祭」スナップ4・願入集落/みしゃぐち

「胞衣 - みしゃぐち」、突き固めた土壁が時間の変化で徐々に自然に帰っていくような、そんな静かで美しい光景を見ることができました。
作者が意図した姿なのかどうかは、僕には解りませんが、、「美しいなぁ」と感じた。

当初掛けられていた屋根が雪で?壊れ、朽ち果ててしまい、突き固められた土壁だけが風雨に晒され立っています。
中央の円形の中庭部分も当初は割栗石大の丸石が敷き詰められていたと記憶していますが、10年の歳月は人の手の記憶を徐々に自然が覆い隠すかのように、自然に帰っていきます。

雨や風、雪で削られ、強い陽射しに焼かれ、表面もぽろぽろと風化してきていますが、よく見るとそこに植物が取り付き、自分の居場所を作り始めています。

平らな部分には、草本や樹木がしっかりと根を張っています。垂直な土壁部分には、シダ類や地衣類が取り付いていました。

OLYMPUS・TG-850 Tough(ちょっと旧型) … 道具・WanderVogel2015/08/08

TG-850
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横浜みなとみらいにあるモンベルに買い物に行った帰り、電気屋さんに立ち寄ったところ、思わずカメラを買ってしまった,という(どうでもいい)話し。

検査の現場撮影用カメラが古くなった(ピントがかなり甘くなってきた)ので、そろそろ新しいのを買わないとなぁ、と思っていた矢先に、店頭で「現品限りのお買い得品」という魅力的なフレーズで、オリンパス タフ TG-850が大変お安く売られていました。

新型のTG-860が出たので,旧型になってしまったこのカメラは、販売店としても早く処分したかったのでしょう。
で、お店の思惑通りに、僕がパクッと「エサ」に喰らい付いてしまったというわけです。

新型との違いはGPS機能やWi-Fi通信機能が付いていないことくらいで、他のスペックは同じなので僕にとってはこちらで満足です。
よけいな機能がついていない分、こちらの方が軽いというのもありがたい。可動式液晶モニターが装備されているので、狭いところでの撮影時には役立ちます。

おまけに、名前の通りに「タフ」な作りなんです。そのまま水洗いも出来ちゃうんです。
耐振動、耐衝撃、防塵設計、耐低温(-10℃)、防水機能(10m)付き、というように、なかなか頼もしい!

でも何といっても、このカメラの一番の売りは超広角レンズです。
35mmフィルム換算で、21mmです。これは室内を撮るのにも、山や渓流を撮るのにも大変ありがたい。

さっそく明日、使ってみたいと思います。

盛夏(8月)の西丹沢渓流源流部フライフィッシング4 … FF・WanderVogel2015/08/09

バラシマ沢のヤマメ
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涼を求めて西丹沢の渓流に入ってきました。6時時点での現地気温は23℃と下界よりはいくらか涼しい。
沢の源流部付近まで遡っても陽射しは下界と変わらず、標高が高いわけでもないので,暑いことには変わりはない。
それでも、小滝が連続する沢を遡行すると沢風はひんやりとしていて、沢全体を両岸からの木々の葉が覆い、強い陽射しを遮ってくれる。

魚影は濃く、定位する姿からも大型サイズもチラホラ見られる。沢のコンディションは抜群に良いのだが,釣り手がヘタなのか なかなかフッキングしない。
フライサイズにもシビアで、少しでも違和感があると(フォルムやサイズ、流し方が違うなど)エサを追ってきても直前でクルッと反転してしまう。
こちらも手を尽くしてダマそうと試みるが、数ヶ月間学習を積んで生き残ってきた個体はおいそれとは喰いついてきてくれない。

やっと釣り上げた一匹はヒレの大きい、パーマークも美しいスレンダーなヤマメでした。手を変え品を変え試した末に、食い付いたフライは16番の茶のパラシュートフライでした。
結果は、2勝4敗3引き分けといったところか。

沢沿いには様々な花が咲いていた。
タマアジサイの開花する直後を撮ることが出来た。大きく膨らんだ玉のような蕾みがパチンと弾けて中から花が飛び出してきた瞬間,といった感じです。
沢水で湿った岩肌には、イワタバコが可愛らしい濃い紫色の花を咲かせていた。
サルナシ、マタタビ、アブラチャンなどの果実も大きくなってきたなぁ。

林道脇にはカラムシやヤブマオ、アカソが群生している。
良く観察してみると、イラクサ科を食草とするフクラスズメのカラフルな終齢幼虫が盛んにカラムシの葉を食べていた。

コースタイム:(合計=約10時間)駐車場からポイントまでの林道歩き:行き2時間15分/帰り2時間半、釣り:約4時間半、昼食/他 約30分
浅瀬集落(6:10着、6:30発) ~(途中の林道は相変わらず大崩れ)~ バラシマ沢・準備を整えて開始(9:00) ~(バラシマ沢釣行)~橋上で納竿(14:00)~(林道を写真など撮りながらのんびり戻る)~浅瀬集落(16:30)

前回の釣行:http://hd2s-ngo.asablo.jp/blog/2015/04/26/

西丹沢・丹沢湖畔に咲いていたクサギの花 … 自然観察・WanderVogel2015/08/10

クサギの花
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気をつけていると、町中でもけっこう見る機会があるクサギの花。
実は僕がいつも使っている京急線の金沢八景駅の上り線ホーム真向かいにも大きなクサギの木があって、この時期は手を伸ばせば届きそうな距離で花を付けています。

写真は、昨日行ったフライフィッシングの道すがら、丹沢湖西端・世附川のバックウォーター付近で見かけたクサギの大木。
道路上からはちょうど目の高さに花を見ることができたので、良く観察することが出来ました。

クサギ、漢字で書くと「臭木」と書きます。本人(本木)に取ってみれば、失礼な呼ばれ方で、これでは最初からあまり良い印象をもたれませんよね。
確かに,幹を傷つけたり葉っぱをこすると(人によっては)イヤな匂いに感じます。

林などでギャップが出来た時に真っ先に取り付くいわゆる「先駆種」のひとつなので,道路脇とか水辺とか陽当たりの良い場所に生えていることが多い。

子供たちを対象とした自然観察などでは、クサギを見つけるとまずはこの葉の匂いをみんなに嗅がせます。大人はクサい匂いと表現しますが、子供たちはピーナッツバターの匂いがする,という子が多い。感覚の差なんでしょうか?
調べてみると、若葉は山菜になり、加熱すると臭気が消えるので、天ぷらにすると美味しい。とあります。

実が出来ると、かなりカラフルな感じになり、周りからは完全に浮いて見えます。

クサギの実:http://hd2s-ngo.asablo.jp/blog/2014/10/19/

西丹沢・カラムシの葉を食べるフクラスズメの幼虫 … 自然観察・WanderVogel2015/08/13

カラムシの葉を食べるフクラスズメの幼虫
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お盆休み前半は、バタバタと片付ける仕事が重なって忙しく、blog更新も数日間滞ってしまった。
それにしても今年の夏は異常な暑さで、正直言って身体がついていかない。

写真は先日行った西丹沢の渓流釣りで見つけたきれいな蛾の幼虫。

世附川林道の山側の斜面には、カラムシ(葉が互生)やヤブマオ(葉が対生)、アカソ(葉が対生)などのイラクサ科の植物が群生していて、葉の裏などを観察しながら歩いていると、イラクサ科を食草とするフクラスズメのカラフルな終齢幼虫が盛んにカラムシの葉を食べているのに出くわした。

写真の下側が頭で、身体をのけぞらせてカラムシの葉の先端を食べていた。越後上布や越後縮などの織物の繊維にもなる丈夫な茎や葉脈部分を残し、柔らかな葉の部分だけを選んで食べています。

毒々しい配色をした身体をしていますが、毒は無い。成虫になると茶系の地味な色合いになるフクラスズメですが、幼虫の時はこんなにハデハデなんですねえ。

葉を持ち上げて写真を撮ろうとすると、警戒して身体を小刻みに振動させていた。この幼虫独特の防御態勢なのだそうだ。

西丹沢・マタタビの実と虫えい … 自然観察・WanderVogel2015/08/14

マタタビの実と虫えい
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先日行った西丹沢でのスナップ写真・第3弾
世附川林道を歩いているだけでもけっこう面白い発見があるものです。

写真は関東の山中で割りとよく見かけるマタタビの実(写真中央の砲弾形の実)ですが、下の方の2つの実は何やら変形したおかしな形をしています。
これは「マタタビミフクレフシ」というタマバエの一種が作った虫こぶ(虫えい)です。

マタタビの木(ツル性の木)をよく見てみると、半分ちかい実が虫こぶ化しています。
ものの本には、「虫こぶは滋養強壮の漢方薬になり、この虫こぶを焼酎に漬けて天蓼酒を作る。」とあるので、漢方好きにはけっこう貴重なものなのかもしれませんね。

それにしても、マタタビミフクレフシという名は、あまりにストレートな命名で笑ってしまう。
もっとも、虫こぶを作る虫の名、虫えいの名前の付け方にはルールがあるようで、植物名+虫えいの出来る場所+虫えいの形+フシ、という並びが一般的なのだそうです。
なるほど納得です。

奥多摩のマタタビ:http://hd2s-ngo.asablo.jp/blog/2015/06/29/

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