横浜中華街・お粥の名店「安記」 … 食べ物・WanderVogel2015/02/12

安記のお粥
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たまに中華街まで出ることがあるが、昼食を食べるとなると何といっても「安記」でお粥でしょう。中華街なので当然「中華粥」です。

お粥ジャンル(そういうのがあるのかどうかは知らんが…)で言えば、謝甜記(しゃてんき)と双璧を為すのだが、僕にとっての「安記のお粥」は幼稚園児の時から家族とともによく行っていたので、もう50数年のつながりがある特別な一杯なのだ。
その頃は金沢八景ではなく、山元町に住んでいたので中華街へは歩いて行けるほど近かった。

お粥と聞くと朝食っぽいイメージがあるのだが、なかなかどうしてボリュームがあるので、昼食にもちょうど良い。

「安記」は昔からお粥専門店として営業していましたので、その他の一品料理を食べた記憶はほとんどない。まあ、お粥を食べようと決めて店に入るわけだから、メニューを見ることもない。他のものは注文しない訳だよな。

たしかに表のショーケースやメニューには、麺類やご飯ものも載っている。アラカルトももちろんあるのだろうが、そういうわけで、僕は食べたことは無い。
唯一サイドメニューでオーダーするものとしたら「モツ皿」とシューマイくらいなものか。モツ皿と言ってもハチノス(牛の二番目の胃)の煮物のことです。(写真右上)

見た目は、飾りっ気のないラーメンどんぶりにドサッと無造作に入れられた白い「お粥」で、上に載っている「油条・油條」(揚げパンのこと)が、かろうじて中華粥らしさを出している。
お粥の種類は多いのだが、味付けはみなどれもあっさりとした塩味です。僕はシンプルな海鮮お粥か鶏肉お粥が一番だと思っていますが、どれを選んでもハズレはない。

お店の場所も(僕が知っている限り)50数年変わらずで、店構えも内部の様子も変わらずまったくそのままに思えます。

目まぐるしく変化する表通り(中華街大通り)と違って、一歩路地裏に足を踏み入れると昔からまったく変わらない中華街の猥雑で活気のある世界がせまってきます。


余談・・・
若いころに、中国を3ヶ月間バックパックで旅したことがあるのだが、北京での朝食はかならずお粥だったことを思い出します。
その頃(1980年代中ごろ)の北京は中心部でも土ぼこりがすごかったですが、それでも道端で店を出しているホコリっぽいお粥屋さんに通ってよく食べたものです。

1980年代の中国では、旅行者が両替出来る「兌換券」というお金と、一般の中国人が使っている「人民元」という2種類のお金があって、ホテルや空港、タクシーなどでは「兌換券」しか使えず、逆に町中(町の商店、屋台やバックパッカーが泊まるような安宿/旅社など)では「人民元」しか通用しないというややこしい仕組みでした。

外国人旅行者が正規の手続きで「人民元」を手にするのは、ものすごく交換率が悪かった。(つまり、旅行者が人民元を手にする必要などまったくない、というのが中国当局の考えでしたから)
そんな環境ですから当然、どの町に行っても町なかには両替屋という名の闇両替商が堂々と店を出していて、もっぱらそこで両替をすることになる。両替レートは町によって大きく変わり、都市を離れるほど率は上がっていきました。
逆に、中国の人(一般の人というよりは、金持ちということですが)が兌換券を欲しがったのは、その頃 中国国内で輸入品を購入するには兌換券でしか買うことが出来なかったからです。

また、お米を使った料理(ご飯やお粥)や小麦粉を使った料理(万頭や小籠包など)には、料金(人民元)のほかに「毎票(まいぴょう)」という引換券のような配給票が同時に必要でした。毎票はコツを掴むと割と簡単に入手することが出来ました。

そういうわけで、一般の(?)外国旅行者(香港人も含む)にとっては、道端の屋台で食事をするとか、ローカル鉄道に乗るとか長距離のローカルバスに乗るとか、安宿(旅社)に泊まるとかということは、全く不便な環境にありました。
(まあ、バックパッカーの自由な旅などは、中国当局にとってはまったくの「想定外」「迷惑行為」だったのでしょうからね。)

中華粥を食べるたびに、そんな昔のことを思い出します。

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