樹林帯の中で存在感を放つオオウバユリの蕾み … 自然観察・WanderVogel2017/07/21

オオウバユリ
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昨日の新潟出張の道すがら、旧塩沢町から旧中里村へ抜ける国道353号線の近くの、スギ・ヒノキ林脇で見かけたオオウバユリ(大姥百合)の大きな蕾み。

オオという名が付いていることを一目で納得させられるほど大きな葉(根生葉)が特徴で、普通のウバユリより二回り以上は大きい。
こうした陽の当たる湿った林内が好きらしく、この周辺には数えられないくらいあちこちで群生を作っている。
道路の際に生えているものは、草刈り機で切り倒されたり踏み倒されてしまっているが、地下には大きな芋(鱗茎:ユリ根)が残っているので、すぐに復活する。

今の姿は大きなひとつの蕾みにようにも見えるが、夏にかけてこれからグングンと背の高さを増していきます。
蕾みが開き始めると、中から10~20個の花の蕾みが現れてきます。
花の形状はいわゆる「ユリ型」の花なのですが、ひとつの茎に10以上の花がいっぺんに咲いている姿というのはけっこう壮観で、車で走っていても良く目につきます。


ウバユリは一生に一度だけ花を付けて、その一生を終えると言われています。そう考えると、花ひとつが作る実の中に大量(500~600個)の種子が入っているというのもうなずけます。
最後の瞬間、大量の種子を風に託して一生を終えるということなのでしょう。
ちなみに、この種子から育ちまた花を咲かせるようになるまでには、早くても6年~7年掛かると言われています。その間、地下茎(鱗茎:ユリ根)に一生懸命栄養を貯え続けているということなのですね。

実は、ウバユリは子孫を残す手立てをもう一つちゃんと用意しているんです。
地中の地下茎(鱗茎:ユリ根)の脇に、もうひとつふたつ小さなユリ根「娘鱗茎(栄養繁殖体・ラメット)」を準備しています。
種子を放出し終った後、親芋は枯れて一生を終えるのですが、この娘鱗茎(クローン)をあらかじめ用意しておけば、種子から育つよりもずっと短い時間でまた花を咲かせる個体を作り出すことが出来るというわけです。
自分の立っている環境に変化が起きない限り、この方法の方がはるかに効率は良さそうです。

しかしその環境に、生存が危ぶまれるような劇的な変化が起こってしまった場合、というのを想定して、「種子散布の手段」は進化の過程の中でも捨て去ること無く、ちゃんと残してあるというわけなんですね。種子散布だとクローンであるが故の障害も回避することも出来ますからね。
う〜ん、自然のしくみの奥深さを感じますねぇ。


普通のウバユリは、毎年出る柔らかい新葉を春先の山菜として天ぷらなどにすると(少し粘り気があって)美味しいのですが、ここまで大きな葉っぱだとちょっと食べる気にはなりませんね。ウバユリは鱗茎(ユリ根)ももちろん食べるのですが、このオオウバユリ、地元の一般家庭で積極的に食べられているのだろうか?

地元の人に是非聞いてみたいところです。

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