建築設計者も以外に誤解していること:ガラス厚と遮音性の関係2008/01/26

一般ユーザーだけでなく建築・設計関係者も以外に誤解していることのひとつにガラス厚と遮音性の関係がある。

複層(二重)サッシは一般的に断熱性に優れ単板ガラスのサッシと比べると「全ての点」で勝っているような錯覚がある。僕も漠然と複層ガラスを使ったサッシは断熱性に優れているだけでなく、「遮音性能」もそれなりに高いと思い込んでいた。

しかし実験スペックではガラスサッシの遮音性能はガラスの厚みでほとんど決まってしまいガラスが複層かどうかはあまり重要ではない。(NIKKEI ARCHITECTURE 2008-1-14号) 

遮音性能は面密度が大きいほど上がるという「質量則」によって決まるので同じ厚みとなるガラスでは1枚ガラスのほうが性能が良いということになる。

厚さ3mmのガラスを2枚使った複層ガラスと6mmの1枚ガラスでの遮音性能比較グラフを見ると、低音域(120Hzぐらい)から中音域(1000Hz)までは1枚ガラスの方がはるかに遮音性能が良い。
(ただし、2000Hz周辺では逆転するが…) 
これは結構誤解して認識している設計者も多いのではないだろうか?
施工者や一般ユーザーもこの誤解をしていることも当然考えられる。

道路などの騒音対策で複層(二重)サッシに取り替えるという改修事例も多いと思うが、このことを誤解していると改修したのに前と変わらないとかへたをすると前よりうるさくなったというようなことにもなりかねない。

最近では、優れた断熱性能と遮熱性能によって、窓ガラスからの熱の出入りを防ぎ、室内を快適に保つとともに、暖冷房の効率をアップし、暖冷房によって発生するCO2排出量を削減するエコガラスが注目を浴びている。
これは二重ガラスの内側に特殊な金属膜を貼り付けてあって、この金属膜が断熱性能と遮熱性能を高めるものであるが、遮音性能はやはりガラスの厚みによるので全てに優れているわけではない。

あらためて注意しなければと思う… 漠然とした思い込みは禁物であると。
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