屋内プール向けに耐湿性を強化したロックウール板は屋内プールに使えるのか?2008/02/08

1月に起きた豊田スタジアムの屋内プールの天井板落下事故。幸い入館者がいない時間帯であったため大きな事件にはならなかったが、この事故は重大な問題提起をしている。外壁や軒天、住宅浴室天井などによく使用されるケイ酸カルシウム(ケイカル)板とロックウール板だがメーカーによると、どちらも一般に耐水性や耐湿性はあるが、濡れた状態が続くと劣化する恐れがあるとのことだが、それって簡単に言うと水に弱いということなのでは?
また、今になってメーカー側では屋内プールでも、もし換気が不十分であったり、結露でケイカル板が濡れたままの状態が続くならば、強度が低下する恐れがある、という。さらに、プールの水は消毒用の塩素を含むだけに、アルカリ性であるケイカル板にかかりすぎるのは好ましくない、とも説明している。
その上、今回事故にあった豊田市のプールに使われたのは「屋内プール向けに耐湿性を強化した製品」だった。だが、同社の製品カタログには、屋内プール向けロックウール板の使用上の注意として、結露や高温多湿の環境には弱いことが付記してあるという。屋内プール向けに強化した製品が結露や高温多湿の環境には弱いとはどういうことだ?それはかなり狭い使用環境でのみメーカーは責任を感じるが少しでも使用環境が悪ければそれは全て施工者と設計者が責任を負うということか?
これからますます設計者や施工者が責任を押し付けられてくる時代になってくる。特に建築設計事務所は個人レベルの規模が多く、施工者やデベロッパー業者のように経済的なバックボーンが大きいわけでない。製品の責任を設計者に全て押し付けられては1回で潰れてしまう。
ちゃんと検証しながら間違いの少ないものを作るには当然、施工費と設計費の大幅な増額は必至だ。

明日は新潟・十日町市で現場確認と打ち合せ2008/02/12

十日町市は隣接する松之山や津南などを含め「妻有(ツマリ)郷」と呼ばれる地域である。日本でも有数の豪雪地帯であり、最近では地震注意地帯でもある。夏は涼しくて過ごしやすいかと言うと以外に暑かったりする。その分、自然の美しさには感嘆するものがあるが、建物を設計するには構造的にも設備的にも過酷な地域のひとつである。関東圏での設計の注意点とはやはり違いがあり、意匠設計の観点からみると一番の違いは積雪とその積もった雪の始末の問題だ。これはけっこう大きな問題である。敷地内に積もった雪・屋根から落ちた雪をどうするのか?に重点を置いて配置計画を行わなければ冬には使えない建物になってしまう。これは頭では解っていてもなかなか実感できない。とにかく一日に降る雪の量がすごい!そして重い!そして最近では多くの地域で冬期間の井戸水のくみ上げを規制している。地盤沈下の原因になるからだ。新しく建てられる建物では井水を使っての消雪も難しくなってきている。
設備設計の観点からいえば空調室外機の置き場所によってはデフロスト(霜取り)運転時の能力低下が顕著だということだ。能力の大きくないエアコン室外機などは完全に屋外に設置してはいけない?のだろう。雪国ではクーリングタワー・チラーなどの室外機は頑丈な耐雪囲いで積雪から守るのだがそれでもメンテナンスが必要ないわけではない。逆に積雪時には雪から掘り出して室外に出さなければならないなんてことになる。まったく「雪」というものは外から見ているうちはロマンティックでいいが、当事者になるとやっかいなしろものである。豪雪地帯では特にそうだ。
南魚沼地域や妻有地域は今週も天気予報では積雪マークが並んでいる。現場確認から車に戻ってきた時に車を掘り出さなければならないなんてことにならなければよいが・・・。

新潟・十日町市への峠越え2008/02/14

R353
新潟・十日町市(旧中里村)の1年点検を兼ねた建物チェックに行ってきた。建物定期報告も一緒にしてきたかったがあいにくの降雪で建物の外観がチェックできずにそれは後日行うことにしたが、いつものことながらそこに行きつくまでが大変だった。
十日町市(旧中里村)へは関越自動車道を湯沢インターで降り17号を石打まで走り、そこから353号線に入り十二峠を越えるのだが、そこは有数の豪雪地帯であり、朝晩の道路面は凍結している。雪のない季節は本当に自然が美しい峠なのだが、冬は恐ろしい道に変化する。何年通っても雪道の運転は慣れるものではない。ましてやFF車ではちょっと強くブレーキを踏むと簡単に後輪が滑り出し恐ろしいことこのうえない。無事に東京まで戻ってくると仕事はさておきなんだかそれだけで達成感がある。雪国の人は本当にえらい!これが毎日のことなんだから・・・

さて、今晩の夕食は2008/02/17

de cecco
今晩の夕食は、コンキリエ リガーテ (De Cecco Conchiglie rigate No.50)、貝殻の形をしたパスタ料理だ。
トマトソースで作る。材料はパスタの他にDon Pomodoroのトマト&ポルチーニ・ソースをベースにベーコン、しめじ、オクラ、クレソン。
材料の原産地をみてみるとおもしろい。パスタとソースはイタリア産、オクラはフィリピン産、ローレルはトルコ産だ。クレソンは山の清流で作られているようなイメージがあるが沖縄・知念産である。シメジは長野県から、にんにくは青森からとそれこそ北から南からという感じだ。ベーコンの製造者は横浜市になっているが元々の豚はどこからきたのかはわからない。

「コンキリエ(Conchiglie)」とはイタリア語で貝の形をした食べ物という意味である。リガは「筋」という意味で、表面に筋が入っているものを特に「リガーテ(rigate)」と呼び、筋目にソースがよくのり、さまざまなタイプのソースによく合う。「ペン先」という意味を持つイタリアでも代表的なショートパスタ、ペンネ・リガーテ(Penne rigate)と同様にモチッとした食感と濃厚なトマトソースが絡み合って、とても美味しいパスタ料理となる。この手のショートパスタは時間をおいてもそれほど伸びた感じがしなくて、アルコールを飲みながら食べるにはスパゲッティよりも適していると思う。ワインかと思われるがビールにもとても良く合う料理である。
さあ、楽しい料理の時間だ!

コンキリエ リガーテ (Conchiglie rigate) の出来映えは?2008/02/18

Conchiglie rigate.jpg
今晩の夕食。コンキリエ リガーテとバゲット、クレソンサラダ、ビールの夕食。なんだかイタリアの修道僧のようなシンプルな食事になってしまった。
パスタの茹で時間は13分なので、お湯が沸いたら15分後には写真のような状態になっているというとっても短時間で出来上がる料理だ。下ごしらえもいらないし、オクラも時間に合わせてパスタと一緒に茹でればOKなので作り方も見栄え同様にとってもシンプルだ。
スーパーで「山ウド」が売られていたので今度はそれを入れてみよう。春先は魅力的な山菜が出始めるので料理が楽しくなる。雪が解け始めれば新潟の山に山菜を採りにいこうと思う。こごめ(草ソテツの若芽)やワラビや山ウド、ふきのとうなどだ。そして、渓流釣りのシーズンになればイワナの大きい型を何匹かキープして持って帰るのもいい。
今夜の夕食はとっても美味しかった。満足、満足! さあ、明日からまた仕事に励もう!

Google Earth の魅力2008/02/22

Topkapi Sarayi
世界中の地理空間情報(衛星航空写真、地図、地形や 3D モデルなどを組み合わせて表示)を見ることが出来る「Google Earth」(http://earth.google.com/intl/ja/)にはビックリさせられる。
都市の拡大表示(走っている車さえ認識できるほどの精密さ)はもちろんだが、山岳地図も見事だ。しかも3Dで表示でき実際に自分の目で上空から俯瞰しているような錯覚さえおぼえる。
よくこんな秘境の地まで!と感心する。これを見ていると地球のなりたちさえ目で理解できるほどだ。たとえばヒマラヤやパミール高原、チベット高原、タクラマカンなどの秘境は小さな谷のひとつひとつまでナビゲートしてくれる。バザールの路地まで鮮明に表示してくれるなんて一体どうなっているのだ?と本当にビックリだ。
もはや地上には「秘境」はないようである。こんな便利なものが僕がこの地を旅した30年前にあったらどんなに役に立ったかとくやしい。ただの等高線の入った地図では直感的に分からない「距離感」がGoogle Earthでは臨場感と共に見せてくれる。中東の都市を上から見ていると、古い宮殿内の建物配置や庭の様子まで手に取るように見てとれて、それだけでも大変勉強になるし「行ってみた〜い!」衝動に駆られる。
しかもそれを無料でいつでも見ることが出来るのだ。コンピュータ自体の処理能力がここ数年で格段に高まったことから表示スピードもストレスにはならない。機能もたくさんあって、ただ見るだけでなく何時間でも楽しめてしまう。
あー、また寝不足になってしまう・・・

皇族陵墓の調査で日本史の空白は埋まる?2008/02/24

五社神(ごさし)古墳
奈良市山陵(みささぎ)町の神功(じんぐう)皇后陵=「五社神(ごさし)古墳」で今月22日、日本考古学協会など16学会の立ち入り調査が行われた。神功皇后陵は、全長約270メートルの巨大な前方後円墳で、墳丘は前方部が3段、後円部は4段に分かれている。これまで研究目的の調査ができなかった宮内庁管理の「天皇や皇族などの陵墓」で、日本考古学学会側は約30年前から調査を要望してきたそうである。この調査を契機に、いままで「謎」だった日本史の重要な空白部分が解明されることを期待したい。この日は古墳時代のものとされる同皇后陵の形状などをじかに観察しその結果、築造当時のものとみられる埴輪(はにわ)の列も確認されたようだ。奈良県立橿原考古学研究所の話では、「五社神古墳は巨大な前方後円墳の集中する佐紀古墳群の中で最も古く、築造時期は4世紀中ごろといわれてきた。しかし、今回の調査で出土した埴輪や土器を見ると、5世紀初めの可能性も出てきた」とのこと。
私たちは自分の国でありながらその成り立ちの頃(4世紀〜6世紀)の歴史についてはほとんど解っていない。私たちの祖先がどこからきたのか?どう歩んできたのか?は重要な事柄である。天皇・皇族陵墓(古墳)に研究者などが自由に立ち入って調査することができない理由としては、学術的な調査結果によっては天皇家が万世一系であるという説を根本的に覆し得るからという見解もある。古墳や陵墓の発掘だけでその全容がすっかり解明されるとはかぎらないが、今までいく世代にも渡って厳重に封印されてきた陵墓であるのでその調査の意義は大きい。(もっとも中世には天皇家の力は衰えていたから、陵墓は荒れ放題で現在治定されている天皇陵のうち、奈良時代までの天皇陵については、歴史学的・考古学的に同意できるものは推古天皇陵、天智天皇陵、天武・持統天皇陵など数か所程度とされる。)
いままでこの時代の歴史は濃い霧の向こうであったことから多くの研究者や作家が想像力を働かせてこの空白に挑んできた。これからそれらがすこしでも解明され「考古学的事実の積み重ね」によって、歴史の霧が晴れていくことを期待したいし大変楽しみだ。
(写真はWikipediaより)

雪面のフットスタンプ(足跡)2008/02/29

野うさぎの足跡
雪面上に残るフットスタンプ(足跡)。何の足跡なのかは不明だが、新潟の山には野うさぎやカモシカ、テン、ヤマネ、キツネ、ハクビシンなどの野生の動物がたくさんいる。もちろん猿もいる。この時期には雪の下でももう新芽が芽吹いているだろう。彼らはそれを食べながら春を待っている。ふかふかの雪面にはいろいろなフットスタンプが残されるのだ。

早春の大源太川中流域2008/02/29

早春の大源太川
新潟県南魚沼郡湯沢町上流を流れる大源太川。大源太川は岩原周辺で魚野川と合流する。三俣・苗場の清津川上流域や魚野川上流の有名な沢など湯沢町には渓流釣りに適した場所が多い。
今日の大源太川(岩原スキー場下)はこのところのまとまった積雪で写真のような状況である。写真中央の山の向こう側がこの川の源流だ。源流域の谷には相当の雪があるだろう。「渓魚は雪が育てる」というが積雪が多い年は豊漁が期待できる。昨年秋に稚魚放流したイワナやヤマメ達は雪の下で大きくなっているのだ。4月1日には新潟のこの辺りの川は一斉に解禁となるが、中流域や海に近い川は良い釣りなるのだが源流域は積雪のため5月を過ぎないとだめだ。それでも冬山登山の経験が少しでもあればアイゼンとピッケルの装備で源流域までたどり着ける。雪のない季節とまったく違う景色を楽しみながらの山歩きはそれはそれで楽しいものだ。渓流用のウエーディングシューズにアイゼンの組み合わせは登山靴ほど頑丈でないためちょっと勝手が違うが、キックステップが必要なほどの雪山ではないので心配はない。雪の源流域でのドライフライフィッシングは魚(100%イワナなのだが)の目がまだ水面に向いていない分だけどうやって水面上に興味を持たせるかが釣りの最大のポイントとなる。渓流の水は身を切るほど冷たく、痺れるほどの低水温なので確かに魚の活性は低い。さて、どうする?どう攻める? そんなことを考えながら4月1日の解禁を待つのである。
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