鉄骨造の注脚部に起こった極めて深刻な不良工事2008/11/25

鉄骨柱脚アンカーボルトの不良工事
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ある鉄骨造の工事監理で私が実際に見つけた事例です。
写真は基礎に埋込まれているアンカーボルトの部分です。少し曲げて直していることが解ると思います。
じつはこのアンカーボルトはハイベースと言って4本のアンカーがスチールプレートで連結されている認定品のアンカーセットなのですが、元々の墨出しを間違えたのかほぼ全ての箇所にわたってこの「台直し」とよばれる直しの跡が見られました。

これを見つけたのは鉄骨建て方前日の夕方でした。その前に行った検査時には、当然この作業は行われていませんでしたから、検査後に作業したのでしょう。
このまま鉄骨を建て込んで、コンクリートで柱脚部を固めてしまうと後からでは絶対に解らなくなる部分です。
しかしこのままでしたら中程度の地震でも柱脚は破断し、建物は倒壊してしまう危険性が大でした。
何がいけなかったのか? 現場でこの作業をした鉄骨屋さんは解らなかったようです。きっとこれまでもこの方法で直していたことが多々あったのでしょう。
とても恐ろしいことです。

構造的に一番大切な部分のアンカーボルトを、このように(アセチレン)ガスの火であぶって曲げてしまっては、耐力はほぼゼロになってしまいます。
「阪神淡路大地震」のときも、溶接部の破壊と並んで、この柱脚の破断が大きな問題になりました。

当然建て方は中止し、基礎をやり直し正常な状態に戻してから工事を続行させました。
発見出来た事が不幸中の幸いとはいえ、このまま建て方が進んでいたかと思うと、背筋が凍り付きました。


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