古い山装備でもちゃんと現役で使えるのだ SVEA123R … 山歩き・WanderVogel2021/09/04

SVEA123R ストーブ
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写真:SVEA123R ガソリンストーブと40年前の年代物のプレヒート用着火材「META」

山用品に関しては、絶対に新しいものの方が良い。というのが真理だと思うのだが、このSVEA123はとても信頼性が高く、今でもちゃんと使えている。
購入した時期ははっきりと覚えてはいないが、1970年代の後半か1980年代に入ってすぐかぐらいだと思う。燃料はガソリンなのだが、煤の出にくいホワイトガソリンというのを使用する。

SVEA123の歴史は長く、古いタイプのものは燃料噴射口の掃除用のニードルピンが別体になっていたが、改良型では内蔵され格段に使い勝手が上がった。
着火にはプレヒート用着火材を中央ノズル下のタンクのくぼみに載せて火を付けてヘッドを温める方式なのだが、META1本の1/4程度の大きさでプレヒートは十分なのでこの点もかなり優秀と言える。

難点は火の調節があまり出来ないという点だ。弱火にすると煤が発生するので、全開か消すかに限られてしまう。この点はガスストーブには負けてしまう点だな。
ただ、半分雪に埋もれた状態でも、ちゃんとお湯を湧かせられると言う絶対の信頼性は他に変えがたいものがある。
とは言え、山用品は新しいものの方が良い。というのはやはり真理なのだ。現在の山用ストーブの使い勝手の良さから比べると、SVEA123はやはり霞んでしまう。


大学のクラブ(ワンゲル)活動では、主に灯油(ケロシン)を燃料としたストーブを使用していた。スベアと同じスエーデン製で、ラジウスと言うメーカーのものだった。移動時には分解してブリキの箱に収納して運ぶようになっていて、中に一緒に修理道具や何本かの掃除用ニードルピン、ウエス、着火材(META)などを仕舞っていた。
火力が低い割りにブリキの箱自体がけっこうかさ張るので、山合宿では持ち運びに苦労した経験がある。そのころのワンゲル部員が背負っていたザックはみな帆布製のキスリングであったためパッキングに難儀をした。うまい具合に配置しないとブリキの箱の角が背中に当たって痛い思いをすることになる。

ラジウス自体には燃料タンクに加圧のためのプレッシャーポンプが付いて、ノズル上のくぼみに火を付けたmetaを置くか、灯油を溜めて火を付け直接ヘッド部を温め、適当な頃合いを見計らって少し圧を掛ければケロシンが気化し燃焼したのだが、問題はこのポンプ軸の先に付いているパッキンだった。当時のものは質が悪く、すぐに乾燥して収縮しひび割れてしまい、うまい具合に圧がかからないことが多々あった。そのたびに分解してパッキンをツバで濡らし柔らかくして使用するというなんとも原始的な方法をとっていたのを思い出す。
おまけにノズルの穴がよく詰まるので、ニードルピンは必帯装備であった。(ニードルピンはよく曲がったりしたので、必ず予備を何本か持っていなければならなかった。)

それに比べ、このSVEA123はノズル部が溶接されていて分解出来ない構造で、プレッシャーポンプも付いていないため、ゴム製や樹脂製の部品がひとつも使われていないオールブラス製であるので、ほとんど(というか、まったく)メンテナンスしなくても不具合が発生しないという優れものだ。


海外での山行では、合宿でのラジウスで経験を積んだノウハウが十二分に活かされることになった。
1980年に初めて一人でヒマラヤを歩いた時、インドで買ったインド製ラジウスを持って2週間カリガンダキ沿いの古い交易路(チベットとインドを結ぶ交易路で、使役動物はヤクが主流だった。)を歩いた。麓の町ポカラでケロシンを買い、食料を調達し、テント(ダンロップ製の2人用のエスパーステントを持っていた)を背負っての山歩きだったが、今思い返してみると若いから体力があったのだろうなぁ、とこの歳になってしみじみと思う。
今、とてもじゃないが自分の個人装備でさえ自分で背負うのが厳しくて、ネパールではかならずポーターを一人雇うくらいなのだから、、、
やはり、歳には勝てないな。

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