三渓園・紙で作る和の吊るし飾り … ボランティア・邸園/文化財保全2013/12/01

三渓園ボランティア
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三渓園内に移築されている旧矢箆原家住宅の座敷を使って「紙で作る和のつるし飾り」というイベントが行なわれ、ボランティアとして参加してきました。

作ってもらうものは特別なんてことのないものなのですが、趣きのある藁葺き民家内で行なったということもあってとても大盛況でした。
子供さんからカップル、外人さんまで一生懸命に色紙を型通りに切り、糸につなぎ鈴をつけて、と 吊るし飾りづくりに没頭していました。

ちょうど紅葉が見頃になっていることもあって、三渓園の正面入口にある駐車場は朝から満杯で、南口にあたる産業道路側にある市営の駐車場もほぼ満杯というほど大勢の方が訪れています。イロハモミジやヤマモミジ、ドウダンツツジ、ハゼノキなどの目の覚めるような鮮やかな紅葉に混じって、イチョウやエノキ、ハリギリなどの黄葉が美しく、古建築をいっそう引き立てています。
その他には、ミツバツツジやシロモジ、イタヤカエデ、サクラ(ソメイヨシノ)なども紅色や黄色の美しく色づいた葉を見せています。

古建築公開では12/15まで「横笛庵」「林洞庵」のふたつの茶室建築を公開しています。
また、同時に財団設立60周年記念として今村紫紅展 -横浜にいろ- も12/8まで開催しています。
聴秋閣の上の山道のカエデ類の色づきはこれからが本番で、来週末にかけて美しい紅葉を見せてくれます。
前回blog:http://hd2s-ngo.asablo.jp/blog/2013/10/18/

紅葉の中の横笛庵 … 三渓園・邸園/文化財保全2013/12/02

横笛庵とモミジ
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「秋の古建築公開」で内部公開されている「横笛庵」
特に重要文化財などの指定を受けていると言うわけではありませんが、草庵風の茶亭で素朴ながらなかなか風趣のある建物です。
建物内に「横笛の像」が安置されていたことから横笛庵と称されています。

この時期、美しいモミジなどの紅葉の中、鄙びた田舎屋の風情を見せています。
造られた当初は棟上が芝棟になっていて、イチハツなどが植えられていたといいいますが今ではすっかり影を消しています。

イチハツ(一初)はアヤメ科アヤメ属の多年草で、室町時代に中国より渡ってきた帰化植物です。アヤメ類の中では一番始めに咲くことから一初という名がつきました。
昔から農家の茅葺き屋根の棟上には、イチハツやアヤメ、ユリ、イワヒバなど乾燥に強い植物を植える風習がありました。これを芝棟といいます。

「芝棟」は茅葺き屋根の棟仕舞の一種です。
茅葺き屋根というのは軒から上に(棟)に向かってカヤを葺きあげていきますが、屋根の一番上(棟)に芝土をのせてその重さで屋根を押さえ棟からの雨漏りを防ぎます。
また、芝土だけでは不十分なので、乾燥に強く根張りのよい植物を植えて補強します。

鮮やかに紅葉したハゼノキの幼木 … 自然観察・WanderVogel2013/12/03

紅葉するハゼノキ
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イロハモミジと同じように(それ以上に)鮮やかに紅葉するものにハゼノキがあります。
三渓園でも他の紅葉/黄葉する木々の中でもひときわ目立つのがハゼノキです。

美しく紅葉するためには、温度・光・湿度の3つの要素が条件になります。
一般に気温が8℃を下回ると紅葉が始まりだすといい、日中晴れて気温が上がって、夜一気に冷え込むとよく色づくと言われています。また、空気が乾燥し過ぎると葉が枯れてしまうので適度な湿度も必要になります。
山岳地帯と町中の里山では標高や寒暖差など紅葉するための気候条件が多少違いますが、葉っぱが紅葉/黄葉するメカニズムは同じです。

春から秋までの樹木の葉には、クロロフィル(葉緑素)という緑色の色素とカロチノイドという黄色の色素が含まれていますが、クロロフィルの量の方が多いのでその時期には緑色に見えています。秋が深まるとクロロフィルが先に分解され、カロチノイドが残るので黄色の色素が目に入ってくるようになります。これが黄葉です。

一方、秋になると冬の準備(葉を落とす)のため、葉柄と枝の境に離層という遮断層が出来ます。すると光合成で得られた栄養分(糖分)が移動出来ずに葉に蓄積されてアントシアンという赤色の色素に変化することがあります。これが紅葉です。
アントシアンの生成には日光が深く関係していて、日が当たる葉ほど鮮やかに紅葉し、日陰の葉は黄色く黄葉するということになります。

ブナなどのように、アントシアンの替わりにメラミン系の分質が出来る木々の場合は黄色から褐色(褐葉)に変化することになります。ブナの場合は褐色というよりはきれいな橙色の葉になることが多く、落ち葉となって地表に落ちてもなお美しいものです。

木々によって、紅葉するか黄葉するかはあらかじめだいたいは決まっていますが、気候風土や標高などの生育状況やその年の天候、樹齢などによって様々な色に変化することがあります。
紅葉は落ち葉になっても美しいものです。
前回blog:http://hd2s-ngo.asablo.jp/blog/2013/11/22/

三渓園・シロモジの黄葉 … 自然観察・WanderVogel2013/12/04

シロモジの黄葉
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三渓園内の黄葉したシロモジの葉っぱ。
春草盧(茶室)の隣に設えられた待合いの脇に植えられていますが、これが意図して植えられたものなのかどこからか紛れ込んできたものなのかは定かではないそうです。

シロモジの名前の由来は、樹皮に黒い斑点がある(同じクスノキ科クロモジ属の)クロモジに対して、幹が白っぽいことから付いた名前です。

シロモジの葉はクロモジと違い三裂(まれに五裂したり、避けない場合もある)するので、どちらかと言えば(同じクスノキ科クロモジ属の中でも)ダンコウバイの葉に似ています。花は同じクスノキ科のアブラチャンやダンコウバイとよく似ていて、春になると葉が出るより先に、黄色い可愛らしい花を枝先に付けます。
ですから、葉が出ないと私にはなかなか判別が難しい。

シロモジの木は特に何かに適している材というわけでもないようですが、材自体が強靭なことから杖の材料などに使われるようです。クロモジの方はお茶の世界となじみが深い木で、材自身から良い香りがすることから茶道で使う高級楊枝の代名詞にもなるほどです。

ちまたでは、楊枝はクロモジ、杖はシロモジ、カンジキはアブラチャン(が適している)と言われるそうです。

耐火集成材を使用した商業施設・サウスウッド … 建築の旅・WanderVogel2013/12/06

サウスウッド
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横浜市港北ニュータウンのセンター南 駅前に10月31日にOPENした商業施設サウスウッド
写真で見るとなんてことない、どこにでもありそうな商業施設に見えますが、この建物を見に行きたいと思ったのはそのうたい文句に惹かれたからです。

「間伐材を多用した大型ショッピングモール・サウスウッド」
「買い物をしながら、まるで里山を散策している気分に!」
「国産カラマツの間伐材、約2000本で巨大な“木の癒やし空間”を実現」
「グリーン・ネイバーフッド という新しい施設コンセプト」
「耐火集成材を用い、駅前から木構造の様子を見ることの出来る建物として、地域におけるシンボル性を高めている」

などという、何とも魅力的な文言が並びます。
ちなみに「グリーン・ネイバーフッド 」とは環境や地域特性に配慮した新しい地域コミュニティーの形成 を指すのだそうだ。
中でも注目は、竹中工務店が開発した燃え止まり型の耐火集成材「燃エンウッド」を木構造部分の構造材に採用した、ということ。

見に行った感想としては、(一生懸命に設計し建設した人たちには申し訳ないが… )一言で言えば「ガッカリ」でした。
この建物に耐火集成材を使う理由がよく解らん!(耐火集成材自体には罪はないのだけど)
結局は多額の補助金を付けるために、使わなくてもよい「耐火集成材」を無理して作った?(使わざるを得なかった)ということだろうか。

地下1階、地上4階建ての建物の大部分はRC構造で、2階から上のファサード部分に関してのみ「耐火集成材」の柱と梁が使われている。
写真に撮って解るようにガラスのカーテンウォールですっぽりと囲われてしまったファサード部分は日中は周りの景色が映り込み、内部の構造などまったくその気配すらうかがい知ることは出来ない。

では内部はさぞや、と期待して中を歩いてみても目に入るのは硬質なガラスと金属とPBだけで、どこにでもありそうなテナントがそれまで通りの店づくりをしていて、「木の癒し」など微塵も感じられず、ましてや「里山を散策」なんてどこに眼を向ければそういう文言が口をついてくるのかさっぱり理解出来ませんでしたよ。

「まちに開く」というのもコンセプトのひとつなのだというが、いったいそのコンセプトはこの施設のどこを見ればそうなっているのか、、私にはさっぱり解らなかった。
2014年にはクリニックモールや地域のサービス施設が入居するということだが、、、評価はその時まで持ち越しなのか?

ある建築雑誌の特別編集版の中で、あるライターがこの施設を褒め称えた記事を書いているが、木材利用を押し進めたい農水省の提灯記事のようなものを書いているようなら、建築のライターなど辞めたほうがよいのではないのかな。
ちょっと辛辣すぎる意見だとは思うが…

小石川植物園/紅・黄・緑の色の競演 … BOTANICAL GARDEN・WanderVogel2013/12/07

イロハモミジ、イヌブナ、シラカシ
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最後の紅葉と冬芽を見に小石川植物園に行ってきました。
有名なイロハモミジの並木道の紅葉はすでにピークを過ぎていて、枯れた冬の景色になってしまっていましたが、池近くの南向きの斜面ではまだきれいな紅葉が見られます。

黄色い黄葉が美しいカツラの木はすでに葉を落としてしまっていましたが、1本のイロハモミジとイヌブナの木が隣り合って美しく紅葉/黄葉しているのを見ることが出来ました。
その隣には照葉常緑樹独特の艶のあるみずみずしい緑の葉を付けたシラカシが立ち、紅・黄・緑の色の三原色を澄んだ青空の中に見せていました。
地面にも黄色や紅色の葉が降り積もり、この季節ならではの美しい空間が広がっています。

花も紅葉もあらかた終わってしまったこの季節は植物園を訪れる人も少なく、落ち着いて園内を散策することが出来ます。
山の尾根道を歩くのも楽しいですが、こういった「都市の中の自然」もなかなかに良いものです。園内には普段の山歩きでは目にしない種類の樹木なども多く植えられていて、それを四季を通じて見ることが出来るのが植物園(BOTANICAL GARDEN)の大きな魅力です。
ちなみに、小石川植物園の正式名称は「東京大学 大学院理学系研究科 付属植物園」というなんとも長い名前です。

また、秋は木々の枝先にたくさんの実を付けていますので、いろいろな種類の野鳥が集まってきます。この日も葉を落とした木々の間を縫って野鳥が飛び交っていました。

といっても、昨日は紅葉を見に行くのが目的ではなかったので、眼はもっぱら枝先に付けている「実」や枯れた「種子」、色付き始めた「冬芽」を追って園内をうろついていました。

園内は広くて、おまけに写真を撮ったり図鑑を広げて見たり、元に戻ったりを繰り返してしまうので、昨日は2時間半見て回っても全体の1/4も回れなかったです。
今まで何度も来ていますが、未だに足を踏み入れていないエリアもあるくらいです。
う〜ん、植物園はほんとに奥深いなぁ。

オオカナメモチの冬芽 … BOTANICAL GARDEN・WanderVogel2013/12/09

オオカナメモチの冬芽
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小石川植物園での冬芽観察。
オオカナメモチはもともと南の方(東南アジア、中国南部、台湾など)の樹木だそうで、本州では植物園や公園でしか見られない。

カナメモチよりもずっと大型で、葉の長さは10~20cmくらいあり、葉は落ちる前には赤く紅葉するといわれますが、ここのオオカナメモチの葉は紅い冬芽の色が鮮やかに映るほどみずみずしい緑色をしていました。
紅い冬芽の上の突き出ている枯れ枝のようなものの先には赤い実がたくさん付いていましたが、すでに鳥に食べられていてすっかりきれいに無くなっていました。

カナメモチの方は関東圏でも住宅の生け垣などに一般的に植えられる照葉樹の低木で、この時期 葉っぱが真っ赤に色づいているのをよく目にしますね。

冬芽観察・冬芽ハンドブック … 自然観察・WanderVogel2013/12/12

冬芽ハンドブック
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「西丹沢登山詳細図」という新刊本?を買いに行ったのだが、お目当ての詳細図は残念ながら触手を動かされるような内容ではなかった…、別の言い方をすれば、それだけ僕も西丹沢に通い続けているということなのかもしれんが・・・

…追記… 12/23
と上のように書いたら、「西丹沢登山詳細図」はたいしたことない内容なのか?という感想が数件寄せられましたが、決して登山詳細図そのものの内容が読むに値しないということを言いたかったわけではなく、見たかった世附川上流部の山域が地図から外れていて残念!という思いもあって、、、の一言でした。
詳細図の内容はよく調べられていて、見応えは十分にあります。作られた方には感謝です。
…追記 終わり…

冬の時期は(熊も冬眠しているはずなので、)地図とコンパスを使って少し山中を迷いながら? 歩くのもまた一興です。ルートを完全にロストして遭難しては元も子もないが、その手前くらいはけっこう楽しい。
山の木々もすっかり葉を落とし見晴しも良くなって、尾根筋や谷筋がハッキリ目視出来ます。
空気が澄みきっている冬の西丹沢は、富士山や箱根・伊豆方面の山並みはもちろんのこと、南アルプスや中央アルプス、南八ヶ岳の山々まできれいに望めるので特におすすめです。
ただし、西丹沢はこれから猟期にはいるので、遭難や熊なんかよりも鉄砲のほうが恐ろしかったりして、、、

「冬芽ハンドブック」はこの時期の山歩きや散策にすごく役立ちます。
冬芽観察はマニアックすぎる? いやいやそんなことはない、やってみるとこれがなかなか楽しい!

「山賊ダイアリー」は待望?の第4巻発売ですよ。(といっても、マンガですけど)

秦野市のロ號水道源泉・素掘りの隧道 … 邸園/文化財保全・HM2013/12/14

秦野市・ロ號源泉
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写真は秦野市で見つけた素掘りの水道隧道・ロ號源泉(地上部)

曽屋区の水道源泉として明治21年12月に竣工した素堀りの隧道。形状は幅三尺(0.9m)、高さ六尺(1.8m)、延長二十二間(40m)、その後、明治32年9月に延長八十間(145m)に伸び、さらに昭和3年3月には百五間(181m)という長さになったそうです。
道を挟んで向かい側には曽屋神社があって境内には、イ號源泉、ハ號源泉が残っています。

素堀りの隧道が出来る前までは曽屋神社境内に湧出する清泉を用水路に流し、生活用水としていたようですが人口の増加により、用水路の水は下流に行くに従って水質の悪化がひどくなり、雨が降った時などは飲むこともできなかったといいます。
明治12年8月には、この用水路を介してコレラが流行し、村の人口の3パーセントに当たる81人が発病し、25人もの犠牲者を出してしまったことが、当時画期的なシステムであった「水道」建設のきっかけになったのだそうです。

この水道事業は明治23年(1890年)3月15日に竣工し、水道事業としては横浜・函館に次いで全国3番目の早さだったそうです。
また、簡易陶管水道(愛知県常滑製の内径三寸(9cm)の陶管を使った簡易水道で延長5kmにもおよぶ大規模なものです)・自営水道(曽屋村の人々がすべてお金を出し合って布設)としては日本初の水道として給水を開始したと言いますから、かなり先駆者的な水道事業だったのでしょう。

残念なことに、1923(大正12)年の関東大震災(秦野市も被害は甚大であったようです)で 水道施設(曽屋配水場)や配水管は破損してしまい、それまでの陶管はすべて鉄管に置き換えられてしまったようです。

こういうものを発見出来るから、知らない地域の町歩きは楽しい。

岳人1月号・ハイグレードな冬の八ヶ岳って? … 登山・WanderVogel2013/12/15

岳人1月号
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岳人12月号の特集もなかなか良かったが、1月号は「ハイグレード 八ヶ岳・冬」と冬の「前穂高岳北尾根」
複数人のパーティーで12本アイゼンとザイルを使った雪と岩のミックスの登攀を前提としているため、なかなか単独での登山向きの特集ではないが、パラッとめくっただけでも面白そうな写真が満載です。

今日は買って来ただけでジックリと読んでいる時間は無いので、、、感想はまた、後で書き足します。

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