耐火集成材を使用した商業施設・サウスウッド … 建築の旅・WanderVogel2013/12/06

サウスウッド
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横浜市港北ニュータウンのセンター南 駅前に10月31日にOPENした商業施設サウスウッド
写真で見るとなんてことない、どこにでもありそうな商業施設に見えますが、この建物を見に行きたいと思ったのはそのうたい文句に惹かれたからです。

「間伐材を多用した大型ショッピングモール・サウスウッド」
「買い物をしながら、まるで里山を散策している気分に!」
「国産カラマツの間伐材、約2000本で巨大な“木の癒やし空間”を実現」
「グリーン・ネイバーフッド という新しい施設コンセプト」
「耐火集成材を用い、駅前から木構造の様子を見ることの出来る建物として、地域におけるシンボル性を高めている」

などという、何とも魅力的な文言が並びます。
ちなみに「グリーン・ネイバーフッド 」とは環境や地域特性に配慮した新しい地域コミュニティーの形成 を指すのだそうだ。
中でも注目は、竹中工務店が開発した燃え止まり型の耐火集成材「燃エンウッド」を木構造部分の構造材に採用した、ということ。

見に行った感想としては、(一生懸命に設計し建設した人たちには申し訳ないが… )一言で言えば「ガッカリ」でした。
この建物に耐火集成材を使う理由がよく解らん!(耐火集成材自体には罪はないのだけど)
結局は多額の補助金を付けるために、使わなくてもよい「耐火集成材」を無理して作った?(使わざるを得なかった)ということだろうか。

地下1階、地上4階建ての建物の大部分はRC構造で、2階から上のファサード部分に関してのみ「耐火集成材」の柱と梁が使われている。
写真に撮って解るようにガラスのカーテンウォールですっぽりと囲われてしまったファサード部分は日中は周りの景色が映り込み、内部の構造などまったくその気配すらうかがい知ることは出来ない。

では内部はさぞや、と期待して中を歩いてみても目に入るのは硬質なガラスと金属とPBだけで、どこにでもありそうなテナントがそれまで通りの店づくりをしていて、「木の癒し」など微塵も感じられず、ましてや「里山を散策」なんてどこに眼を向ければそういう文言が口をついてくるのかさっぱり理解出来ませんでしたよ。

「まちに開く」というのもコンセプトのひとつなのだというが、いったいそのコンセプトはこの施設のどこを見ればそうなっているのか、、私にはさっぱり解らなかった。
2014年にはクリニックモールや地域のサービス施設が入居するということだが、、、評価はその時まで持ち越しなのか?

ある建築雑誌の特別編集版の中で、あるライターがこの施設を褒め称えた記事を書いているが、木材利用を押し進めたい農水省の提灯記事のようなものを書いているようなら、建築のライターなど辞めたほうがよいのではないのかな。
ちょっと辛辣すぎる意見だとは思うが…

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