南アルプス・標高2,000m付近の針葉樹林帯を歩く … 自然観察・WanderVogel2015/05/05

標高2,000mの樹林帯を歩く
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南アルプスの針葉樹林帯を歩く。

写真で見えるのは、グレー色のシラビソの木、少し赤茶色がかって木肌が荒れてるように見えるのはトウヒだろうか、明るいオレンジ色をしているのはダケカンバだな。
針葉樹に混じって、イヌブナやオオカメノキなどの落葉広葉樹も、本数こそ少ないがところどころで見ることが出来る。
地面は一部 コケ類に覆われていて、陽の当たる斜面では針葉樹の幼樹が育っているのも確認出来る。

針葉樹に関してそれほど詳しいわけではないが、落ちていた枝や葉を見てみると、オオシラビソも混生してるように思える。netなどで調べてみても、オオシラビソの植生の南端は南アルプスから富士山にかけて、という記述もあるから、そうなのかもしれないな。

シラビソもオオシラビソも8月になると写真でよく見る青紫色の独特の球果を付けるので、次回はぜひその姿を見てみたいものです。

netには、神奈川県の丹沢・塔ノ岳にも数本あったということらしいが、その後 絶滅してしまったと書かれていた。
シラビソは大木になるのだが、寿命は意外と短くて、わずか100年程度で枯死してしまうらしい。


木肌が滑らかなオレンジ色をしていて、樹林帯の中でもひときわ目立つ存在なのがダケカンバだ。
漢字では「岳樺」と書くように、樺の木(カバノキ科)の仲間の落葉広葉樹だ。
標高2,000m付近あたりから、樹林帯の中でやたらと目に付くようになる。樹高も10mを超えるものが多く見られる。
森林限界を超えたあたりからは、強風が原因なのか枝も大きく曲がりくねり、稜線上では背丈もぐっと低くなり、地を這うような感じで生えている。

マツ科のトウヒ(日本固有種)は木自体の存在感よりは、足元にたくさん落ちている枯れた球果の方が良く目につく。
トウヒの細長い独特の形をした球果は、ツガやマメツガの球果と並んで、ほんとうにたくさん登山道に落ちている。
もちろん、中の種子(翼果)はあらかた飛んでしまっているので、抜け殻だけなのだが。

それらの球果に混じって、ひとつだけハリモミの球果(松ぼっくりを大きくした感じ)が落ちていた。
ハリモミはモミという名が付いてはいるが、マツ科トウヒ属の木なのでトウヒとは兄弟ということになるか。

僕には樹形や樹皮、葉の付き方などからは、ハリモミの判別はとても出来ないが、球果は独特なのでこれが落ちていれば何となく想像することが出来る。

また、富士山のふもとの山中湖村には、「山中のハリモミ純林」と呼ばれる国の天然記念物にも指定されている、日本最大規模の3万本の純林があるそうだ。

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