ヤマホタルブクロ(山蛍袋)の隠れた戦略 … 自然観察・WanderVogel2015/07/17

ヤマホタルブクロの花
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先日行った奥多摩・御岳山の野道で見つけた「ヤマホタルブクロ」の花
本種のホタルブクロとの見分け方は、萼片のわずかな形状の違いにあるが、馴れれば見分けるのはそう難しくはありません。

植林された針葉樹の下草の中に混じって一輪咲いていました。
山野ではわりと良く見かけるので、そう珍しいものではないのですが、近寄ってよ~く見るとなかなか可愛らしい面白い形状をした花です。
この変わったかたちをした花、実は隠れた戦略を合わせ持っているんです。


名前の由来は昔、子供が袋のような形の花の中にホタルを入れて遊んだ、という謂れを良く耳にしますが、事実そういう遊びがあったのかどうかは僕には解りません。
そういった謂れに、命名の面白さも加わって、僕自身も森林探訪などの際にはそういう説明をすることもありますが、実際のところはどうなんでしょうねぇ。

ホタルブクロの花が、手に持つ提灯(ちょうちん)のかたちに似ているから、ということのほうが事実に近いのかもしれないですが、それだけの説明ではあまりに即物的すぎて情緒が無いかな。
提灯は古語で火垂(ホタル)と書くので、そう言われるとその方が説得力はありますね。

ホタルブクロの花の色は、関東では薄い紫色が多くて、関西では白色の花が多く自生していると言います。もしホタルを入れるのなら、薄紫色の花の方がキレイかも知れませんね。
まあ、おとなしくホタルが中に入ってくれれば、の話しですけど…。


変わっているこの花の形状は、中に入って蜜を吸う(花粉を媒介する)マルハナバチの身体の大きさに合わせて、花の筒の直径や長さが決まっているのだそうです。
誰でも花の中に入れるというわけでは無いんですね。花粉に触れずに蜜だけ吸う「蜜どろぼう」はゴメンというわけです。
ホタルブクロの隠れた生き残り戦略を見た気がします。

う~ん、またしても自然の持つ仕掛けの巧妙さ、不可思議さを実感します。

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