山の自然素材を使って作るアート(アメリカフウロ) … Nature Art・Workshop2021/07/28

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「タネ・種子」に注目して作った標本風のサンプル作品:アメリカフウロ・亜米利加風露(ドライフラワー)
「森林インストラクターと山を歩き、山で収集したもので作品を作ってみよう」という“森のワークショップ”の一環で作成した、WS用の個人的な「習作」

アメリカフウロ:野山で収集せずとも、そのへんで蔓延っているのをよく見かける「雑草」あつかいされるかわいそうな植物。
仲間のゲンノショウコは薬草として利用されることもある日本原産の植物なのだが、こちらは明治以降に流入してきた帰化植物で、悪気は無いのだが一段下に見られてしまうのが悲しいところ。

アメリカフウロは種子散布の方法が非常に巧みなので、以下少し解説してみよう。感心させられること請け合いだ。
花が終わると急速に子房(黒い玉のような部分:袋状の果体で中に種子が1つ入っている)が成長し始める。やがて果実が成熟し子房全体が黒く変色してくると、がく片も鮮やかな紅色に色付いてくる。
さらに成熟し乾燥した果実は、長いヒゲのような部分(長く伸びた花床)が歪んで反っくり返ろうとする。長いヒゲは本体に残った子房の軸(雌しべの花柱)と完全にくっ付いているわけでは無く、大半は表面の細い溝の中に嵌まっているだけなので、これが外れて勢い良く反っくり返ることになる。
その結果、袋状の果体の中に入っていた種子が袋から放り出され、遠くへ飛ばされるというメカニズムなのだ。
投石器(カタパルト)のような仕組みに例えられるが、この巧みな種子散布が非常にメカニカルで、機械好きの男心をわしづかみにするのだ。

自ら種子を投げ飛ばす「自動散布」とも言えるこのような複雑な機構を手にした割りには飛ばせる距離は、まぁそこそこなのだが。

葉っぱの形状も特徴的で、葉の細かい切れ込み具合が変わっていて、葉っぱだけでも十分に鑑賞に堪えると思っている。
今後、何か作品を作ってみたい。

アメリカフウロ(亜米利加風露、Geranium carolinianum)
フウロソウ科フウロソウ属の雑草。
一年草の北アメリカ原産の帰化植物で、道端の植込みでもよく見かける。
葉は大きく3~5裂し、それぞれの裂片はさらに細かく分かれている。
花期は5~6月。花は薄い紫で小さく、茎の先端に散房状につく。果実は約2cmの角果で、5つの分果に弾ける。
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