新築住宅の引渡し後の未完了工事について … 建築監理・第三者監理2018/01/17

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・第三者監理ドットコム・
新築住宅の場合、すべての施工・修繕工事が完了した後に引渡しを行なうことが大前提なのだが、工期の遅れなどでどうしても未施工部分や未完了箇所を抱えたまま引渡しを受けることがままある。

数日前にもある施主から連絡があったのだが、昨年の11月初めに引渡しを受けた(受けざるを得なかった?)新築住宅なのだが、上記のように未完成部分を多く抱えての引渡しだった。

引渡し後に未施工部分を施工しようとすると、工事中の施工と違い、すでにそこで暮らし始めているためちょっとした工事でさえも必ず施主の立合いが必要となってくる。
まずもってその調整が煩雑になり、施主にとって大きな負担になるのだが、それでも予定通りにきちんと是正工事が行なわれるのであれば問題はないのだが、そううまくいかないことも施工会社(あるいは現場監督)によっては起こりうるのだ。

今回の相談も、是正工事の日程の調整がやっと終わり、工事の当日、時間通りに職人がやって来るところまでは良かったのだが、間抜けなことに工事で使う道具を忘れてきたり、監督が材料を納入するのを忘れていたりと2度・3度そういう行き違い?があり、ぜんぜん工事が進まないというのである。

工事中もそうだったが、いい加減な現場監督、責任感の気薄な施工会社の場合、こういうことがいつまでも続く、、という典型のような事案だといえる。

施主にとっては、いつまでも気の休まることの無い日々がこの先も続くことになる。
さて、どこまで調整出来るのか、、

遅くなってしまったが、年賀状 … 長尾企画工房 一級建築士事務所2018/01/08

2018年賀状
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遅くなってしまったが、今年の年賀状をUP

まあ、毎年変わりばえせずに写真だけ前年に行ったところのものに差し替えている。
昨年行ったnepalとborneoの写真だ。

検査で見つかった不良・筋交い金物の未施工 … 建築監理・第三者監理2018/01/07

構造不良
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第三者監理ドットコム・
写真に写っている筋交い部材に必ず取り付いていなければいけない「筋交い金物」が上下共に取り付いていなかった、という怖いお話し。



この木造住宅は、構造用合板を多用する最近の木造住宅の構造(「面」で剛性を構成する)ではなく、言ってみれば一昔前?の柱/梁/筋交いの構造で作られている。
まあ、そのこと自体はおかしなことではないのだが、断熱材などを施工するのが若干面倒にはなってくるので違う意味での注意が必要となっている。



こういった「柱/梁/筋交い」で構成されている在来軸組木構造では、筋交い金物で筋交い端部を柱側にしっかりと固定する必要がある。

筋交いの取付け方や向きによっては片側からそうした金物が見えにくいことも確かにあるので、裏に手を入れるなどして金物を確認してみる必要があるのだが、この現場ではいくつかあるこうした筋交いのうち、合計2カ所で取付けられていない(取付け忘れ)のが確認された。

(最近の筋交い金物は、逆に狭いところでも取付けられるように工夫されているので、金物を先に取付けて筋交い部材を取付けてしまうと片側からは見えなくなってしまう金物もあるので、検査ではその点によ〜く注意して観察しないといけない。)



通常は筋交いが施工されていて、そこに金物が取付けられていない(忘れられている)ことなどは想像もしないのか、直前に行なわれた瑕疵担保保険の検査では見過ごされてしまっていた。
(これ自体けっしてあってはならないことなのだが…瑕疵担保検査の構造検査で不具合がスルーしてしまうというケースは実際にはけっこうあるのだ。)



私の行なう第三者監理・検査では、筋交い金物は取付けビスの本数やビスの効き具合まで全数しっかり目視検査するので、不具合を見逃すことは無い。


写真のような吹抜け状態の場所でも、ハシゴを掛けて全数検査を行ない発見につながった。


こういうミスは、注意不足の一言では片付けられない重大な結果を招くことになる。こういう施工をしている工務店・大工では、それ以外の構造金物の取付け自体が全て信用出来なくなってしまうからだ。


実際のところ、この現場では筋交いの向きが反対だった箇所も1カ所見つかり、施工結果もそうだが自社検査では何を見ていたか? と、あきれてしまう。

第三者検査で発見していなければ、翌日には断熱材が施工され内側にプラスターボードが張られてしまうと、この構造不良はもう発見することは出来ない。

実際にそのような不良木造新築住宅が世の中にたくさん出回っているのだと断言出来る。

昨年末に発覚した建築基準法違反について … 建築監理・第三者監理2018/01/05

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第三者監理ドットコム・
昨年起こった「準耐火仕様」違反発覚とその後の是正に至る顛末についてあらためて少し話しをしよう。

都市部の狭い敷地内に建てられる住宅では、一般的な規模の木造住宅であってもより高い防火性能・耐火性能が法的にも求められることが多くなっている。
特に、木造3階建てともなると「準耐火建築物」以上というのが常識化している。
今回起こった「準耐火仕様の住宅」に対する不良工事の指摘は、まさにそのものズバリのケースだった。

木造住宅の防耐火仕様には大きく分けて、「防火構造仕様」「省令準耐火仕様」「準耐火建築物」「耐火建築物」という4つのカテゴリーがある。
それぞれにその位置付けや防耐火施工要領などが細かく建築法規(告示・認定)等で定められている。

一口に木造の「準耐火仕様」といっても、実際にはその造り方には多くの選択肢がある。
設計者(あるいは設計会社)はその多くの仕様基準のうちの何を選択して「準耐火建築物」を造り上げるのか、を施工者側に正確に示すために「準耐火仕様リスト」という図面・仕様書を作成するのが一般的だ。

その「準耐火仕様リスト」を元に、施工者(現場監督や現場の大工さん)は間違いの無い準耐火住宅を造っていくことになる。
そして、検査をする側(監理者など)も同様のものを入手し、検査員はそれを元に確認作業をしていく、というのが施工検査の基本的な流れになる。

熟練した、経験豊かな現場監督・大工であればそのへんのコツをきちんと押えて造っていくのだが、知識や経験が不足し馴れていない現場監督や大工では単純な間違いや工事の手戻りなどが起きやすい、というのがこの耐火仕様・準耐火仕様なのだと言える。


昨年末にある現場で起こった準耐火仕様の施工違反は、知識不足による施工不良ということだけでなく、実はもっと深い問題があった。
施工会社自体が準防火の「認定書」の内容を完全に読み間違えていたのだ。
そのため、根本的な問題としての「建築基準法違反」の住宅となってしまった。違反箇所は数十カ所におよんだ。

この重大な施工不良に設計者・施工会社自身が今までまったく気が付かなかったことを考えると、過去にも同様の建築基準法違反の住宅を作り続けてきた、という疑問が浮かんでくる。

この建築基準法違反は、単に現場監督や大工の知識不足・経験不足ということだけでなく、設計者の作成する「準耐火仕様リスト」の不備、施工会社・工事監理者の準耐火認定の施工方法の認識間違い、それに加えて大工さんに対しての「指導・監督」の不徹底さ、というのが総合的に重なったことがその原因だ。

結局、半年以上の時間を掛けて、ひとつひとつ是正施工を第三者監理の検査で確認をしながらやっとのことで正常な施工に戻したのだたが、その間の工事の遅れが結果的に施主負担となってしまったのが悔やまれるが、建築基準法違反で性能の劣った住宅を受取ることを防いだことは幸いであった。
施主からは竣工引渡し後に、第三者監理によってきちんと検査・是正され不良住宅にならずに済んだ、と感謝の言葉をいただいた。


* 詳しい違反の内容や施工会社名、設計事務所名などの公開はひかえさせてもらうが、年間たくさんの同種の住宅を都内で建てている会社だ。
上でも書いたように、今までその会社が手がけた「木造3階建て準耐火仕様の住宅」の中には少なからず同様の「準耐火仕様違反」の住宅が多数あるのだと考えられる。
また、これが発覚すれば大きな社会問題になると容易に想像出来る。

はてさてどうしたものか。

1月4日・仕事始め … 長尾企画工房 一級建築士事務所2018/01/04

平潟湾沿いのセンダンの実
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今日(1/4)からうちも仕事始めです。

心機一転、今年は頑張りますよ! ってね。

木造住宅の準耐火仕様違反と工事監理 … 建築監理・第三者監理2017/10/29

準耐火仕様の検査
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このblogでは新築住宅検査の話題は出来るだけしないようにして来たが、最近すごく気になったことがあったのでさわりだけ書いてみる。
(ちょっと生臭い話なので、興味なければ読み飛ばしてください。)


写真はある準耐火仕様の3階建て住宅の天井裏に隠蔽されることになる換気ダクトの写真。換気ダクトの材質は一般的な樹脂製のスパイラルダクトで、火には大変弱いものだ。

準耐火仕様ではダクト類が不燃物で作られていない場合はグラスウールやロックウールなどで囲うか、同等の防耐火性能のある被覆材で囲わなければいけないことになっている。
検査時にそういう突っ込みを入れると「まだ施工前の状態なんですよ」と切り返してくるだろうが、これまでの工事のやり方というのを見ていると、たんに木造住宅の準耐火仕様に対する知識が欠けていて、この先の施工などまったく考えていなかった、というのが本当のところだろう。

実際にこの状態でかまわず天井下地を組み始めていたので、検査時に指摘して天井の下地材をすぐに解体・撤去してもらった。
もともとこの時の検査の主題は、写真下の方に写っている壁の横下地材の是正検査だった。その前の検査でこの横部材が施工されていなかった(準耐火仕様違反)ことが、是正工事指示の発端だった。
この工事現場では、問題個所がひとつ解決すると、また次の問題点が発見される、ということの繰り返しだった。
つまり、造っている大工さんには準耐火仕様に関する知識がまったく無く、管理する現場監督も仕様や手順がよく解っていなかったということだ。

これまでの数回の第三者検査においても、強化プラスターボードの下地材の施工には不具合が多く見つかり、外壁や間仕切り壁のファイアーストップ材は施工忘れが頻発していた。加えて、小屋裏の準耐火仕様の施工に関しても規定通りの施工が全然なされていなかった、などなど様々なことを考え合わせてみると、問題の根本は大工・現場監督の知識不足と注意不足、ということなのだが、大金を支払う施主にとってはたまったもんではない。


この工事を担当しているのは、関東圏内ではわりと知られている設計施工の会社(提携している設計事務所が設計する「デザイナーズ住宅」というのがウリの会社なので、高額であっても一般的な規格住宅より人気があったりする)で、私のところでも過去十件近くその会社が施工する住宅の第三者監理・検査をしてきた経緯がある。
第三者監理・検査は全て施主からの直接オーダーで、施主の代理人として施主の立場で検査に立会ってきている。

これまでの複数物件の検査を通じて一貫して感じるのは、設計者や施工担当者の違いによる技術的・施工的なレベル差がかなり大きくて、施工の出来についてもその時々でかなり品質にバラツキがある、という点だ。
この「施工レベルの違い」と言うのは、上手・ヘタという意味ももちろんあるが、実際に「違法建築」に当たるかどうか、というくらい違法性の高い非常に危ないケース、ということだ。


そうした施工の出来如何にかかわらず、検査をする側としては違法なことを見過ごすことは出来ないので、施工上の不具合についてはその都度しつこく指摘し、全てきちんと是正するまで確認をするようにしている。
そうしないとそのまま「違反建築」になってしまうし、そもそも耐久性・耐震性・耐火性に大きな問題を抱えることにもなる。
その結果は、施主の利益が大きく損なわれてしまうことにつながってくる。

本来ならそういった違反や不良工事の検査・是正指示は(第一義的には)工事監理者が行なうべきなのだが、この会社の場合、施工会社から委託された「設計事務所」がその任に就くことはなく、施工会社が直接それを行なうので、施工者が施工者を検査する(自分で自分をチェックする)という大甘の格好になり、これでは「検査」の意味をなしていない。
施工会社が立てる「中立性を保って検査をする(建前の)第三者検査機関」というのも、信頼性においては五十歩百歩だ。
なにしろ依頼者がその施工会社なわけだから、表向き中立とうたってはいてもその検査機関の検査が厳格なものには成りきれないものだ。


また、いくら「経験豊富なデザイナーが設計した個性的な住宅」とわざわざ銘打った住宅であっても、設計者が図面を描きっ放しで、施工には一切関知しない・監理出来ない(施工会社との契約上そうなっているのだろう)のであれば、まったく中途半端な仕事だと言わざるを得ない。
おまけに、細かい図面やディテール、施工上の注意点などの指示が無いのであれば、肝心なところは施工者任せで、そこに違法性があろうと造り易いように造ってしまう、と言うことになる。

で、当然そういうやり方をしている会社は、この現場でもその他の現場においても同様の欠陥・トラブルが多発している。
ほとんどは、仕上げ材が施工されてしまうと隠れて見えなくなるところなので、施主は竣工後に何か重大な欠陥が表面にあらわれて来るまでそのことに気が付かないということになる。


運良く違反箇所を施工中に発見し是正に着手したとしても、その結果施工期間が大幅に延長となり、引渡しが半年も一年も伸びてしまう、といったケースも多く発生している。
施主にとっては仮住まい費用や引越しの費用、精神的な負担が膨らんでいくことになるのだが、そういった金銭的な面の保証・違約金に関してもスムーズに話し合いがつかず、双方で弁護士を入れてやり取りをせざるを得ないケースも実際に出てきている。まあ、一般的な弁護士は建築に関しての知識は施主以下なので、トンチンカンなやり取りになることが多いだが、、、
そしてそれは施主にとってまったく利益のない、不毛のやり取りが繰り返されることになる。


これでは、職業倫理なんてあったもんじゃない。

(こういう話題は、書き始めると文字数が多くなってしまうし、だんだん腹立ってくるので、実はあまり書きたくないんだよな。)

設計者・現場監督の責任と職業倫理 … 第三者監理・建築設計/監理2017/09/28

建築定期講習
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建築士事務所に属する建築士の資格を持っている者に義務づけられている3年毎の定期講習。
ほぼ丸一日を要して行なわれる。

現在、どんなに高名な建築家でも新しく免許を受けた建築士たちと一緒に、この講習会を受けなければならないという決まりになっている。
建築士に対してそういう縛りを付けるのであれば、同じ「士」の免許・資格である医師や弁護士も同様に実施すべきだと思うのだが、関係団体の力が強いのだろう、不条理だが現状でもまだそういう状況にはなってはいない。
弁護士だって医者だって、倫理も常識のかけらもない者も中にはいると思うのだが、、、

この建築士定期講習の組立ては、大きく2本の柱で構成されている、と言って良いと思う。
1つ目は、この3年間で起きた建築関係の事故や社会情勢に関する事例紹介、そしてそれに起因して新しく追加されたあるいは変更された法律や法令の解説。
2つ目は、建築士あるいは建築士事務所としての法令の遵守・コンプライアンスに関する職業倫理の周知徹底。
もともと2つ目のことが原因(俗にいう姉歯事件)で始まったこの制度なので、定期講習では毎回この内容に多くの時間を割いている。


僕も、デザイン・設計作業の他に、第三者監理ということに力を入れて取り組んでいるので、この職業倫理については現場で言いたいことが山ほどある。

建築士が行なう業務は、国家資格を持って設計や工事監理を行なう以上、業務独占を賦与されていることになる。
業務として行なう設計や工事監理等において私法(民法や商法など)上の契約責任や不法行為責任とは別に、建築士法などの法令に規定する内容を遵守するという公法上の責任を負っている。
あえて専門的な責任うんぬんは別にしても、特に住宅の建築などでは、ごくごく一般的な(建築や施工の知識のまったく無い)人が建て主・契約者となるわけなので、建築士は設計や工事監理業務に当たり、専門的な技術的判断のもと、専門家としての高度な注意義務(民法で言うところの善管注意義務)を負っているはずなのだ。


でも、実際にはどうだろうか?
今抱えている第三者監理の現場でもそうなのだが、建築士の資格を関係者はみな持っていて、当然この建築士定期講習を同じように受けているにもかかわらず、法令違反(建築基準法違反)や手抜き工事が頻発し、施主に対する説明不足も重なり大変な混乱を引き起こすことが多々ある。

設計書上の仕様解説の不備、思慮が浅く不誠実な現場監督の投入に加え、施工を知らない施工者が作業を行ったことで起こった結果がそう言う事態を引き起こすのだが、最近こうしたどうしょうないゴタゴタが多い気がする。

その物件の場合、数ヶ月前から設計・施工側と施主側の双方が代理人(弁護士)を立ててやり取りをせざるを得ない状況に落ち入っている。
ただ、普通の弁護士は建築のことについて施主以上に素人なので、工事の混乱を納める有効な手立てを立てることは残念ながら出来ない。

弁護士には違約金や損害賠償金の交渉、引渡し延期に伴って発生する費用の負担などの金銭的な交渉、契約上の違約交渉などに専念してもらい、私の方は実際の建物の技術的な解決策の提示、第三者監理の検査で見つかった不良箇所の是正指示と確認など、工事の実質的な監理・監視業務を行なうことに専念するのが良いのだろう。

問題は、それをどううまくやらせるのかが、大きな問題なのだが、、、まぁ、それが手腕の見せ所ということだ。

住宅建設・施工品質の崩壊(建築専門誌より) … 建築監理・第三者監理2017/06/21

日経HB7月号
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定期購読している建築専門誌、日経ホームビルダー7月号の特集「迫り来る 施工品質の崩壊」

なんとも恐ろしいタイトルが付けられているが、住宅現場の実態を肌で触れている者としては、実体験として解る気がする。
記事の大半はトラブルの実例やハウスメーカー施工各社の品質管理に関する取組みなどの内容なのだが、根本的な話しをすれば、職人と現場監督のスキル不足ということに集約しそうだ。

職人にせよ現場監督にせよ一朝一夕で優秀な人材を生み出せる、作り出せるわけではなく、それには長い時間とコストがかかる。また、100人教育しても全員が人材確保につながるというわけではない。そのうちの何割かは脱落して行くし、何割かは一定のスキルにまで達しない者が出てくる。
そこで、多くのハウスメーカーでは、そういった職人レベルのスキル不足は容認して、スキルアップだけでなく「仕事のやり方」で解決しようと、やっきになっている。
そのひとつが、施工の単純化、標準化、マニュアル化だと言える。
あらかたの作業を職人や現場監督の介在する前の段階で、工場生産してしまおうということだ、簡単に言えば「職人のスキルアップ」ではなく、「素人でも建てられるようにする」ということなのだろう。
しかし、「建物」特に住宅の建設では、不測の事態や現場で判断しなければ納まらない事柄というのが、頻繁に起きてくるものだ。
分厚い施工マニュアルをいくら作ろうが、それに記載されていない状況が現場ではたくさん発生する。

今まで、施主からの第三者監理で検査・監理をして来て感じるのだが、工場加工・生産された部材の間違いや食い違いというのはそれほど多くはない。
是正指摘に結びつくような不良施工のほとんどは、現場施工で造られたものに集約されている。つまり、基礎工事、断熱工事、防水工事など、現場作業で組み上げていく工事ということになる。
その施工不良の原因のほとんどは「段取りの悪さ」だと感じる。
いくら素人同然の「職人さん」でも造れるとはいっても、段取りについては施工マニュアルには書かれていない。マニュアルや施工仕様書に書かれているものは完成形の姿だけなので、ぱっと見、それ風に出来ているような感じもしたりするが、良く見ると施工の順序がぜんぜん違っていて、完全に不良施工になっているケースというのも多く見てきた。

是正指摘をしても、根本的な施工の意味を理解していないので、何が間違っていて、何をどう直せば良いのかが解らない。といった状況も頻繁に起きている。
これは職人にも現場監督にも言える。
監督がいちいち指示を出さないと現場が正常に納まらない、というのも著しく危機感を感じるが、監督自身が間違いに気付かないというのもお粗末なものだ。

特集されている「迫り来る 施工品質の崩壊」の根本原因は、(住宅本体の)物質的な話しではなく、人的なスキルの崩壊、ということなのかもしれない。

日本の住宅の全てがそうではないが、ある一定の割合で今でも不良住宅は建てられ続けているのが実態だ。

不愉快な工務店・建て主の本音 とは … 建築監理・第三者監理2017/05/19

建築専門誌の記事
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建築雑誌(専門誌)に日経ホームビルダーという月刊誌があります。
この書籍、一般の書店には並んではいませんが、毎号けっこうタイムリーな話題を届けてくれます。

今月号は写真のように、「建て主の本音」という特集になっています。
紙面内に「建設途中に不愉快な経験はありますか?」という問いに対し、ハウスメーカーに依頼した人で約65%、工務店に依頼した人で70%弱の割合で「ある」という回答が示されています。
どういう形式で質問を投げかけたのか、によって答え方は違ってはくると思いますが、私の正直な第一印象は「意外に多いな」というものでした。

トラブルの原因はそれこそ種々あってその程度も様々なのですが、一番多いトラブルの根本的な原因はというと、お互いのコミュニケーション不足によるボタンの掛け違いが最終的に大きな不信感を生み出す結果となっている。ということのようですが、そりゃそうだ。

私が関わる第三者監理でも、その対応自体というよりは受け答えの仕方・伝え方のマズさから、施主と工務店との間に抜き差しならない深い溝を作ってしまった、ということがありました。

第三者監理/検査では、施工不良箇所を見つけると、単純にそこだけの是正指示を出すのではなく、なぜ改善の必要があるのか、何が問題なのかを明確にし、施工会社が納得したところで是正工事に入るわけだが、不良で一番多いのはやはり単純な技術的ミスが多い。なのでなおさら、なぜダメなのかをきちんと正して行かないと同じような施工間違いが今後いくつも起こる可能性が出てくる。

ただ、その際の施工側の言い分や説明、受け答えがあまりに言い訳じみていて、いい加減なものだと「建物全体の施工に対する不信感」につながり、ひいては「施工会社自体への不信感」へと気持ちが動いてしまうものなのです。

で、そのうちに、言った言わないの堂々巡りとなり、本来良好であるべき「施主と施工者」の関係性が一気に崩壊してしまうことになってしまう。

施工者の中には、個々の施工ミスは認めるものの、「非」を認めたがらない担当者、会社もあるので、その場合は少々厄介なことになります。
場合によって施主側、施工者側がお互いに弁護士を立てての話し合いに発展することになります。
そうなると解決(実際には解決はしないのですが)まで時間が掛かってしまい、結果的には施主にとって(建物自体にとっても)あまり良い結果を生まないのですよ。

出来るだけそうならないように、うまくもっていきたいのですが、残念ながら弁護士同士の話し合いにまで発展するケースが今年に入ってからも2件発生し、私も対応に苦慮しているところです。

木造住宅・準耐火検査のための現場資料 … 建築監理・第三者監理2017/05/11

準耐火建築物の検査資料
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木造住宅の準耐火建築の仕様には、(国交省)告示に書かれている条文規定の他にも、各建材メーカーがそれぞれ国交相から取得している「認定」制度というのがあります。

しかし、その告示にせよ認定にせよ、準耐火建築を成立させるための「根本的な防・耐火基準」というものをきちんと理解した上で使わないとまったく意味が無いのは言うまでもありません。

一口に木造の「準耐火仕様」といっても、実際にはその造り方には多くの選択肢があります。
設計者はその多くの仕様基準のうちの何を選択して「準耐火建築物」を造り上げるのか、を施工者側に正確に示すために「準耐火仕様リスト」という図面を作成します。
その「準耐火仕様リスト」を元に、施工者(現場監督や現場の大工さん)は住宅を造っていきます。
また、「準耐火仕様」は「構造」と同じように確認申請時に確認機関に提出するものですので、工事の途中で勝手に変更したり、アレンジをしたりしてはいけない性質のものです。

もちろん「準耐火仕様リスト」は、検査をする側(第三者監理者)も同様のものを入手し、検査員はそれを元にして検査・確認をしていく、というのが基本的な流れとなります。


告示基準や認定書に記載されている「仕様・工法」というものは、基本的には施工者側が都合良くアレンジなどをしてはいけないものです。
「準耐火建築物」としての大きなくくりを押えつつ、告示や認定の基準通りに造っていかないと、準耐火仕様は破綻してしまいます。
熟練した、経験豊かな現場監督・大工さんであればそのへんのコツをきちんと押えて造るのでしょうが、馴れていない大工さんでは単純な間違いや工事の手戻りなどが起きやすい、というのがこの「防・耐火仕様」と言えます。

重要なのは、防火・耐火のキモである強化PBや断熱材の施工そのものにあるのではなく、それらを取付けるための「下地の作り方」が一番大切な要素となります。
その施工手順や重要性をきちんと理解をしていないと、結果的にチグハグはものが出来上がってしまいます。

もうひとつやっかいなのは、その各メーカーの出す「認定書」というものは、その中に「準耐火施工手順」の全てが書かれているわけではないということです。
工事監理者も現場監督もまた実際に手を動かす大工さんたちも、その指定された「認定書」の施工手順を間違いなく理解して施工を進めていかなければいけません。
認定書に書かれていないことや、不明瞭な点は直接メーカーとやり取りをして、最終的には申請検査機関の「主事」に確認を取るなどして正確さを担保していくことが重要です。


昨日書いた住宅の施工違反については、第一義的には現場監督と大工さんの準耐火仕様に対する知識不足・経験不足から発生した「広範囲に渡る不具合、施工不良」ということですが、実はもっと深い問題点として、施工会社自体が「認定書」の内容を読み間違えていた、ということが言えるのではないか。
そのため、結果的に(たぶん、過去にも多くの)建築基準法違反の住宅を作り出す結果になっている、と私は推測しています。

昨日も書いたように、木造住宅の防・耐火仕様には、「防火構造仕様」「省令準耐火仕様」「準耐火建築物」「耐火建築物」というカテゴリーがあります。
そのうちの「準耐火建築物」に関しても、イ-1、イ-2、ロ-1、ロ-2 というように4つの仕様・タイプに分かれていますので、それぞれその中身をきちんと頭の中で分けて理解しておかないと勘違いしやすいものです。


基礎の配筋検査や木造の構造検査は行なわれますが、この防耐火施工検査というのは私たちのような「第三者監理・検査」が入らなければ検査無しでスルーしてしまうものです。
そして、工事が進んで行きPBなどが張られ、その上からクロスが貼られてしまうと重大な違反があったとしても、まったく解らないということになります。

今回、検査で見つかったような「重大な施工違反」も、そのままあと1週間もするとまったく気付かれずに、また是正をすることも出来ずに、結果的に建築基準法違反の不良住宅になってしまうところでした。

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