ネパール和紙:Lokta paper … 自然素材・WanderVogel2016/03/01

ネパール和紙
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ネパールに行くと、一昔前の日本のような風景と出会える、という話しはよく聴きます。
実際に行ってみるとまさしくそんな感じで、懐かしい気持ちになります。

ネパールでは古くから日本と同じように木の皮から取れる繊維を漉いて作る「和紙」が作られているのをご存知でしょうか?
日本の和紙の原料は楮(コウゾ)、三叉(ミツマタ)、雁皮(ガンピ)が有名ですが、ネパール和紙の原料となるのは、ミツマタやガンピなどジンチョウゲ科と同じ種類の「ロクタ」という植物です。(ちなみに、コウゾはクワ科ですのでちょっと違いますね)
ロクタはヒマラヤの標高1,800m〜3,000mの高地で栽培されています。

最近ではこのロクタ紙を日本でもナチュラル系の紙屋さんで目にする機会があります。
壁や天井に張ったり、扉に張ったりと室内空間を包み込むことで、吸湿性にすぐれたやさしい空間を造り出すことが出来ます。

柔らかい床材:杉の無垢縁甲板張り … 自然素材・WanderVogel2016/03/02

杉の縁甲板張り
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今、自宅兼事務所の改装に取りかかっています。

築50年くらいの古屋なので、あちこちにガタがきていて、家全体もかなり傾いています。根本的に建て直すことは出来ないのですが、何はともあれ床のレベルだけは水平に直しておかないといけないね、と友人の大工さんに無理言ってレベル調整をしてもらっている。
床が少しでも傾いていると、人というのはそういう部分はけっこう敏感なものですので、僕もここに住んでいてなんだか気持ちの悪い感覚をずっと感じていたんですよ。

とりあえず2階から手を付け始めます。
敷いてある古い畳(60mm厚)を撤去した後に、根太で水平を取ってやってその間に断熱材を敷き、その上から仕上げ材の厚さ30mmの杉の縁甲板を張り進めて行きます。

杉板は材質が柔らかく温かみがあって、床板には僕は最適だと思うのですが、欠点は表面が傷つきやすいことです。
杉は想像以上に表面が柔らかいので、ちょっとした物を落としただけでも簡単に凹んだり傷になったりします。ですから、杉材とはそういうものだと納得できる人しか床板材としては使えないのかもしれません。
床の傷を気にする人はもっと硬い材を選ぶか、表面が強化コーティングされた合板フローリングを選んだ方が無難です。
また、無垢材は時間の経過とともに多少暴れますので、合わせ目に隙が出来たり、材全体が微妙に反ってきたりすることがあります。

日に焼けるのも早いので、陽の当たってる箇所とそうでない箇所では色変わりが目立ってきます。
そもそも杉材は白木と赤目がはっきりとしていますので、材によって色や年輪(板目)などのバリエーションというかバラツキが大きい材木です。
板を張る時には何枚かの杉板を並べて、木目や色合いを見比べながら自然に見えるように選んで張って行くのですが、それでもどうしても色味のバラツキが出てしまいます。

好きな人にとっては、その色違いの具合や柔らかさなどが杉の縁甲板(本実の無垢フローリング)の一番大きな特徴であり、魅力なのだと感じるのですが、ムラや色変わりが無く、いつまでもきれいなままで変わらないものを求める人にとってはたぶん気になってしょうがないかもしれません。

自然素材とは元来そういうものですから、使う側がそれに合わせてメンテナンスしていく、というのが自然素材との正しい付き合い方と言えます。

この杉板、もちろん無塗装品ですので、一部屋すべてを張り終わったら表面に蜜蝋を塗っていきます。

柿渋和紙:柿渋のムラが特徴の和紙 … 自然素材・WanderVogel2016/03/03

柿渋紙
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ナチュラル系の紙屋さんでは、伝統的な白い和紙や先日書いたロクタ紙などの他に写真のような柿渋紙なども置いてあるので、用途に合わせて購入することが出来ます。
和紙はいろいろと組み合わせることで、面白い使い方・表現が出来ます。

壁や天井、扉、家具などに張ると生成りの和紙とはまたひと味違う独特の空間を造り出すことが出来ます。ただ、柿渋紙はちょっと個性が強すぎるので、使い方というか張る面積に注意が必要かもしれないですね。
先日行った石神井の「土の先生」のところでは、紙に土を塗ったり、布を土で染めたり(埴染め、と先生は命名されている)と自然素材の中でも「土」にこだわった使い方をされていますが、自然素材は土(土壁)や紙(和紙)だけでなく、いろいろな素材がありますので、探して使ってみるととても勉強になり楽しいものです。

写真は和紙の表面に柿澁を塗った柿渋紙で、これも古くから民具や衣料、食器などいろいろなものに使われてきた材料です。
柿渋は塗料としても有名で、防腐・防虫効果から住宅の木材部分に塗るなど、漆(うるし)などと同じように、柿渋も昔から多く利用されてきました。

ただし、昔ながらの作り方のものは独特の強烈な臭いがすると言いますので、今の住環境で使うにはちょっと勇気が必要かもしれません。
今は、臭いの少ない「無臭柿渋液」も販売されていますので、そちらであれば抵抗なく使えるでしょう。

杉の無垢縁甲板張りと蜜蝋ワックス … 自然素材・WanderVogel2016/03/05

スギの無垢フローリングと蜜蝋ワックス
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とりあえず2階の和室の床の杉縁甲板張りは完了です。

カラ拭きのあと、蜜蝋ワックスをかけます。説明書にもあるようにベタつきが残らないように、薄く薄くかけていきます。
一見すると塗られていないようにも見えますが、触ってみるとかすかに手のひらに油分が残ります。
まだ、ワックスの量が多かったのでしょうか?このまま一日置いて明日また確かめてみます。

今日は一日予定が入っていてバタバタと忙しかったが、その予定すら完全に消化に出来ずに終ってしまいました。
明日は、どうしても1階の片付けを終らせてしまわないと、月曜からの解体工事に着手できない状況です。明日は朝から頑張ります。

インド・ネパールの素朴な民衆画:ミティーラ画 … Art・WanderVoge2016/03/06

ミティーラ画を虫干し
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床がきれいに張られた2階を片付けているついでに、押入れの角にずっと丸めて放置していたミティーラ画を久しぶりに出して広げて虫干しをしました。

30年以上も前にインドで買ってきたもので、一地方で描かれている民衆画です。一見すると、子供じみた拙い絵に見えますが、よ〜く見ると純粋でいて味があって、素朴で温かさを感じる絵柄で癒されます。僕はとても大好きな絵です。
だいたいが手漉きの厚い紙に描かれていますが、中にはきちんと布で裏打ちされているものもあります。

現地で買ってきてからずいぶんと長い年月が経っていますが、その間ぜんぜん陽に当てていないので、色はきれいに残っています。
何枚かは部屋に貼っていて、陽に当たっているのでそれらはやはりちょっと日焼けして色が落ちてしまってますが、長さ3mを越える長い絵の2枚は色もきれいなままで、虫喰い穴もなく良好な状態で残っていました。安心しました。
せっかくですからこれからは、あれこれ取り替えながら壁に貼ったりして楽しむことにします。


ミティーラ画というのは、インドのミティーラと呼ばれる地域(ビハール州:インド北東部に位置し、ネパールと国境を接する)とネパールのジャナクプールという地域のごくごく狭い地域内で描かれ伝えられてきた素朴な民衆画のことを言います。

題材は主にヒンディーの宗教モティーフが描かれることが多く、画面は余白が無いほどに空間を埋め尽くして、ヒンドゥ教の神様の姿の周りに、これでもかという具合に花や星、月、太陽、幾何学模様などがびっしりと描き込まれています。
色もカラフルで、素朴な絵柄とデフォルメされたタッチが印象的です。

ミティーラ地方の家々では、主に女性がこういった絵を伝統的に代々(母から娘へと)伝えられてきた、と言われています。
宗教的なお祭りの時や結婚式、作物の豊作をお祈りする時などに描かれてきたと言います。
本来はその家の漆喰壁や床面に描かれてきたものだそうですが、近年になって和紙のような手漉きの紙や布やキャンバスの上などに描かれるようになったようです。
(一説では、地方の女性たちの収入源と自立支援促進のため、インド政府が紙やキャンバスの上に描くことを奨励した、という話しもあります。)

いずれにせよ、こういったかたちで、自分も手に入れることが出来、家で広げて眺めていられるのはとても幸せなことです。

丹沢・やどりき水源林のミツマタの花 … 自然観察・WanderVogel2016/03/07

やどりき水源林のミツマタの花
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2月末からバタバタしていて、なかなか山の方に足が向かないのですが、森林インストラクターの先輩からやどりき水源林で満開をむかえつつあるミツマタの写真を送っていただいたので、勝手に使わせてもらって、一枚UPしてみます。

2月28日時点での写真ですので、今週末にはある程度 満開をむかえるのではないかなぁ。

来週日曜日に丹沢・やどりき水源林内で行なわれる「やどりきの森へ行こう」というイベントで、一般の参加者と一緒に森林内を歩き、自然観察をして廻りますので、その時には確実に満開のミツマタの群姿を見せてあげられるのではないかと思います。
そのほかにも、ヤマルリソウやオニシバリ、カンアオイなどのちょっと変わった花を見ることが出来ると聴いてます。
僕も楽しみです。

が、その前に、僕も自分の目で現地の下見に行って来ないと…

古屋の床下土間リニューアル工事 … 床下/土間・建築工事2016/03/09

土間の下地
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引き続き改装作業をやってます。工事が完了するまでは、なんだかバタバタしていて落ち着きません。
何と言っても築50年くらいの古屋ですからそう一筋縄ではいきません。

床下は土のままでロウソク石(無筋コンクリート)と自然石の基礎(らしきもの)の上に木の束を載せただけのものです。地震が来たら土台ごとそっくりズレてしまいそうな家です。
畳の床が全体的に下がって来たのと畳が湿気で腐食していたのがきっかけでこの状態にまでしたのですが、これはやり出すと切りがない状況だと悟りました。

友人の大工さんと相談しつつ(というよりも、ほぼ全面的にお任せの状態です)、とりあえず出来る範囲で補強を施しながら新しい床を作り上げよう、ということで進めています。
レーザーでレベルを当たると、2階ほどではないにしても歪みはあります。そうは言っても家全体はとても直せないので、この部屋は床レベルの水平だけはきちんと取るようにします。


古い畳を撤去し、床板を剥がし、根太と大引を外すと写真のような状態になりました。
束の下に埋まっている自然石の束石を撤去し、「タコ」で突き固めていくのですが、なにせ地盤が悪いのでやり過ぎると家全体が振動して今にも家が壊れそうな感じです。
ちなみに、タコ(蛸)とは土木用語?で、整地・土固めするための打込み作業用の重たい鎚(つち)のことで、丸太に長い取手が2本、4本付いたような形状をしています。

さあ、ここも2階の和室同様に床がきれいになれば、快適な部屋になるぞ。もちろん、壁は自分で仕上げますよ(たぶん)。

丹沢・やどりき水源林のミツマタの花2 … 自然観察・WanderVogel2016/03/12

やどりき水源林のミツマタの花
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今日は朝からやどりき水源林に行ってきました。
ここ数日の冷え込みで、丹沢の低山でも積雪があって、雪の中で咲くミツマタの花を見ることになりました。

冷え込む前の暖かさでミツマタの花も徐々に開き始めていたところにこの寒さですから、開き始めた花や冬芽もこの寒さには調子が狂ってしまいますね。
ただ、来週の天気予報では週中からは暖かさが戻ってくるということですので、次の日曜日には間違いなく満開を迎えることでしょう。

それにしても今日は寒かったぁ〜。
風がなかったことはありがたかったのですが、気温は昼過ぎになっても6度どまりで、数日前の20度越えの気温がウソのようでした。

丹沢・やどりき水源林のフサザクラの開花 … 自然観察・WanderVogel2016/03/13

フサザクラの芽吹き
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丹沢・やどりき水源林周辺の山も一昨日の積雪で山頂から山裾まですっかり雪景色になり、モノトーンの世界に戻ってしまった。

開花が心配されたミツマタの花も、昨日の写真のようにほとんどが満開に近づいていました。
ラッキーなことに、ミツマタの林の下で子供のカモシカが下草を食んでいる姿を見ることができました。

ダンコウバイの黄色い花、フサザクラの紅色の花(写真)がモノトーンな景色に色を与えています。いよいよ芽吹きの季節到来です。

フサザクラはさくらと名前が付いていますが、フサザクラ科の独立した1属3種の落葉高木で普通のサクラとは違う種類のものです。
花もサクラと違い、花びらも萼(ガク)も無い変わった花で、芽吹いた先からモシャモシャと出てきているのは雄しべです。下の方に雌しべが入っていて、葉っぱもこの芽の中に入っています。面白いですね。

フサザクラは冬芽の時も可愛くて、大きい冬芽とはっきりした芽鱗がベッコウ(タイマイ)の甲羅みたいにテカテカしています。

ウスタビガもフサザクラが好きなんでしょうか、枝から特徴ある薄緑色の繭がぶら下がっているのをよく見かけます。この木にもひとつ、他の木にもひとつぶら下がっていました。
不思議なのは、強風が吹いてもウスタビガの繭の結束力は相当強いのか、枝から振り落とされることがない。というのがすごいところです。

やどりき・渓畔林で見たオオバヤシャブシの芽吹き … 自然観察・WanderVogel2016/03/14

オオバヤシャブシの芽吹き
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丹沢・やどりき水源林周辺には渓畔林が広がっていて、そこにはヤシャブシ、オオバヤシャブシ、ケヤマハンノキなどのカバノキ科ハンノキ属の樹木も多く生えています。

それらは同じ科・属なので、雌花も雄花も一見するとみな同じような形状をしていますが、それぞれ良く観察してくと違いがあるもんです。
果穂が付いているとその大きさや数などからおおよその見当がつきますが、この時期はなかなか見分けるのが難しいかな。
でも、ちょっとしたコツを掴むと見分け方も簡単で、なるほど!と納得します。

写真はオオバヤシャブシの冬芽で、先端から葉芽、次に雌花(雌花序)がピンと立ち、そして雄花(雄花序)が垂れ下がる、という順番になっているのが特徴です。
ヤシャブシは先端が雄花(雄花序)、その下に葉芽または雌花(雌花序)が付く、という順番です。

でも、植物も自然のものですから、先端や脇の芽が取れてしまっていたり、雌花(雌花序)が付かない枝があったりと、いくつかの枝を良く観察しないとうっかりミスをしてしまいます。植物の同定はあわててはいけない、ということをキモに命じて観察することが大切なんですねぇ。

ケヤマハンノキは雄花(雄花序)が紅いので割りと見分けやすいし、雄花(雄花序)に柄があるので、そこがチェックのポイントです。
冬芽観察は地味な観察ですがハマるとなかなか面白いもので、特にいっせいに芽吹いてくるこの時期は冬芽も刻々と姿を変えるので、そこがまた楽しいですね。

また、この時期の渓畔林は、苔類やシダ類の観察も楽しい。まさしく、「苔萌え」「羊歯萌え」の世界です。 あっ、キノコを愛でる「菌類萌え」というのもありますね。
では、明日はその一端を、、、

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