インド・ネパールの素朴な民衆画:ミティーラ画 … Art・WanderVoge2016/03/06

ミティーラ画を虫干し
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床がきれいに張られた2階を片付けているついでに、押入れの角にずっと丸めて放置していたミティーラ画を久しぶりに出して広げて虫干しをしました。

30年以上も前にインドで買ってきたもので、一地方で描かれている民衆画です。一見すると、子供じみた拙い絵に見えますが、よ〜く見ると純粋でいて味があって、素朴で温かさを感じる絵柄で癒されます。僕はとても大好きな絵です。
だいたいが手漉きの厚い紙に描かれていますが、中にはきちんと布で裏打ちされているものもあります。

現地で買ってきてからずいぶんと長い年月が経っていますが、その間ぜんぜん陽に当てていないので、色はきれいに残っています。
何枚かは部屋に貼っていて、陽に当たっているのでそれらはやはりちょっと日焼けして色が落ちてしまってますが、長さ3mを越える長い絵の2枚は色もきれいなままで、虫喰い穴もなく良好な状態で残っていました。安心しました。
せっかくですからこれからは、あれこれ取り替えながら壁に貼ったりして楽しむことにします。


ミティーラ画というのは、インドのミティーラと呼ばれる地域(ビハール州:インド北東部に位置し、ネパールと国境を接する)とネパールのジャナクプールという地域のごくごく狭い地域内で描かれ伝えられてきた素朴な民衆画のことを言います。

題材は主にヒンディーの宗教モティーフが描かれることが多く、画面は余白が無いほどに空間を埋め尽くして、ヒンドゥ教の神様の姿の周りに、これでもかという具合に花や星、月、太陽、幾何学模様などがびっしりと描き込まれています。
色もカラフルで、素朴な絵柄とデフォルメされたタッチが印象的です。

ミティーラ地方の家々では、主に女性がこういった絵を伝統的に代々(母から娘へと)伝えられてきた、と言われています。
宗教的なお祭りの時や結婚式、作物の豊作をお祈りする時などに描かれてきたと言います。
本来はその家の漆喰壁や床面に描かれてきたものだそうですが、近年になって和紙のような手漉きの紙や布やキャンバスの上などに描かれるようになったようです。
(一説では、地方の女性たちの収入源と自立支援促進のため、インド政府が紙やキャンバスの上に描くことを奨励した、という話しもあります。)

いずれにせよ、こういったかたちで、自分も手に入れることが出来、家で広げて眺めていられるのはとても幸せなことです。

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