山の自然素材を使って作るアート(イワタバコ) … Nature Art・Workshop2021/08/12

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「タネ・種子」に注目して作った標本風のサンプル作品:イワタバコ・岩煙草
「森林インストラクターと山を歩き、山で収集したもので作品を作ってみよう」という“森のワークショップ”の一環で作成した、WS用の個人的な「習作」

イワタバコ:岩煙草、Conandron ramondioides Siebold et Zucc.、イワタバコ科イワタバコ属
別名:イワジシャ(岩千舎、岩萵苣)、イワナ(岩菜)、ヤマジシャ(山萵苣)とも呼ばれる。(ジシャ、チシャとはレタスのこと)
和名の由来は、岩場に生え、葉がタバコの葉に似ているので名付けられた。若葉は食用とされる。
日本の本州、四国、九州、沖縄および、台湾などの山地に一般に分布し、日当たりの悪い湿った岩や崖に生える多年草。いつも水がにじみ出ているような日陰の岩壁に群生しているのが見られる。
細長い朔果は長さ約1cmの広披針形で2つに割れる。(ほとんど粉のような)紡錘形の種子が多数入っている。

神奈川県内では鎌倉長谷寺や東慶寺、円覚寺などのイワタバコ(ケイワタバコ)の群生がよく知られているが、神武寺はじめとした三浦丘陵一帯と丹沢および箱根などに広く分布している。ざっくり言うと鎌倉や三浦丘陵一帯にはケイワタバコが多く見られ、丹沢の沢沿いなどではイワタバコが見られる。
ただ、丹沢や箱根でもイワタバコとケイワタバコの両方が自生していて、場所によって棲み分けされていると言われている。山地の沢だけでなく、秦野市菩提のわさび園の沢や石垣などでも普通に見かけられる、丹沢では割りとポピュラーな花というイメージだ。
丹沢は基本的に丹沢層群の地層を構成する凝灰岩(緑色凝灰岩)が多く、岩質が水分を含みやすいこともあってイワタバコの生息にはもってこいの環境なのだろう。

採取にあたっては、自然保護を最重点に考え、種子が放出された後の枯れたものを個体を痛めず慎重に採取するか、個人のわさび棚などに生えているものを一声掛けて採らせてもらう。写真のイワタバコの枯れた朔果のサンプルは「ケ」の付かない「イワタバコ」。
2つに割れた朔果はそれ単体で見てもけっこう芸術的なフォルムをしていて、なかなかに「萌える」ものである。
ただ、そうそうたくさんのサンプルを採取することが出来ないのが難点だ。


イワタバコとケイワタバコの区別について:同定は結構やっかいだが、このへんを詳しく解説している他人のブログ記事を参考にすると、「ケイワタバコの葉は主脈が葉身(ようしん)の中央を通らず片側に寄っており、左右対称でないことが大きな特徴。主脈は曲線を描く。(毛がどうこうは一切無視して)この点をもってケイワタバコであろうと当たりを付けると良い。葉の表面は強めに縮緬(ちりめん)状になる。」とあった。

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