バイク用品の更新・レインウェア … Furia・BikeTouring2021/10/24

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バイク用品の更新:レインウェア

今年春のバイク車検以降、古くなったバイク用品の更新を少しずつ進めている。
昨日のブログに書いたUSB電源やスマホホルダーもそうなのだが、それ以外にヘルメットやシートバックなどいろいろと新しいものに更新しているところだ。

写真のレインウェアもそのひとつで、今までの雨具もGOLDWIN のものを使用してきたが、今回買ったのも同じメーカーの「Gベクタープロフェッショナルレインスーツ GSM22104」というものだ。ネット通販での購入なのだが、AmazonやYahooShoppingなどのサイトを見てみるといろいろと通販先が出てきて値段もそれなりにお安いのではあるが、どうもこの歳になると何となく敬遠してしまい、GOLDWIN MOTORCYCLEのメーカーサイトから買ってしまう。
なので、定価売りなのはしょうがない。定価¥22,000+送料¥500。

スペック上は、初期耐水圧40,000mm以上、透湿性20,000g/m2・24h、ということで性能的には今まで使っていたものを上回っていて、年老いた身には心強いのだ。
カラーはベージュという写真のものを選んだのだが、色合いからすると山登りの雨具という感じで、あまりバイクウェアらしくはないのが良いと思った。ウェアのサイズに関しては、着膨れしたバイクウェアの上からでも脱ぎ着し易いように、ジャストサイズプラス2サイズくらい大きめを選ぶのが良い、という意見も一部にあるが、あえて1サイズ大きいくらいのXLを選択した。一応、現在持っているGOLDWINの旧タイプのものを採寸し、確認して購入したのだが、GOLDWIN のものはもともと大きめに出来ているようにも感じられる。

それと、今までの経験上から、いくら「大は小を兼ねる」とは言っても、だぶだぶ過ぎて大き過ぎるのも防水的には問題があると思っている。腕や脇腹に付いているバタ付き防止用の調節テープで絞り込んでも、余った生地がダブつきシワになりそこに水が溜まることになってしまうのだ。何ごとにも適度というのが重要だ。


もうひとつ、雨の日にバイクに乗っていて気になる部分があった。シートとお尻の間の水染みだ。ここはどうしても雨水が溜まりやすく、このあたりの問題をクリアしたいこともあってこの製品を選んだと言うのもある。この雨具の場合、お尻の部分に縫い目の無い一体成形で作られていて、シール部分からの浸水の心配が無いので、それも安心につながるのではと考えた。

また今回、バイクのシート側にも新たにシートカバー(座布団)を取付けた。komineの「3Dエアメッシュシートカバー」というもので、シート面とお尻の間に少しだけ空間を作る効果があり、水が溜まりにくい(水を流す)構造になっている。
これで雨の日のバイクも少しは快適になるものと期待しているのだ。

とは言っても、出来ることなら雨に日は温泉宿にでも泊って、のんびりと雨の止むのを待っているような心と体の余裕が欲しいものだ。
60歳をとうに過ぎ、もうすでに、そういうことが出来る年齢になってきているのだが、、、お金と時間の兼ね合いで、なかなかそう理想通りには行かないのがまったくもって悲しいところだ。

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富士山を正面に見ながら134号線をバイクで西走 … Furia・BikeTouring2021/10/23

20211023Furia
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秋晴れの中、バイクで山岳スポーツセンターまで往復した。
早朝、自宅から京急逗子線に沿って走り、逗子、鎌倉を通過し、134号線を海を見ながら西走する。海岸沿いの道は渋滞も無く、気持ち良く流れている。

朝から快晴であったが気温はそれほど上がらず、防寒インナーを取付けた厚いレザージャケットという重装備で走ったわりに、暑くもなく寒くもなく気持ち良い季節に入ったなぁ、と実感できた。
ちょうど青空をバックに少しだけ冠雪した富士山を真正面に見ながら走ることになり、久しぶりに晴々とした気分でバイクツーリングの醍醐味を味わうことが出来てラッキーだった。


丹沢に出掛けたのは、日頃活動している森林整備フィールドで別に依頼された除伐作業をするためなのだが、6人の猛者が集合したこともあって、作業はほぼ半日で完了。気持ち良く整備された登山道の姿に戻った。

山はまだ紅葉と呼ぶには早く、11月を過ぎなければ色付く感じでは無かった。
作業中、いかにもヤマビルがいそうなところに踏み込んでいたのだが、幸いなことにヤマビルの姿は見ることは無かった。
ただ、作業にあたったうちの一人だけはそれでも被害を受けたとことをみると、昨日降った雨と今日の快晴で最後のあがきに出たのかな、と想像出来る。
いずれにしても、丹沢方面でのヤマビルの活動もこれで最後であろう。
山もこれから良い季節に入る。


バイクの調子も絶好調で、新たに取付けたスマホホルダー(QUAD LOCK)に古いiPhoneを取付け、ヤフーカーナビを見ながらの走りは心に余裕ができた分、運転に集中出来て安全性が向上したように感じる。
車ではすでに常識となっているカーナビも、バイクでは屋外での使用である点と結構激しい振動の問題で、どうしても二の足を踏んでしまっていたのだ。
モトグッチのOHV2気筒エンジンは結構振動があって、バックミラーが役に立たないくらいの振動が絶え間なく続く。乗っている本人にとってはそれも魅力のひとつなのだが、スマホなどの精密機械にとってはこの振動は非常に厄介なものなのだという。

スマホに搭載されているカメラの精度が格段に上がっていることが逆にネックとなり、バイクのエンジンの振動でカメラの手ぶれ補正機構に障害が出ると取りざたされていたこともあって今まで利用を差し控えていたのだ。

昨年新しいiPhoneに変えた際に、古い方のiPhone5をペアリングさせて使うという方法をネットで知り、それ以来積極的に使用している。iPhone5にはそもそも手ぶれ補正機能などは付いていないし、雨さえ降らなければ十分に使える。
今春の車検時にUSB端子を付けてもらったので、充電を気にすることも無く利用出来るのでさらに安心だ。
今のところヘルメットにヘッドセットなどを取付けていないので、音声案内を聞くことは出来ないが、そのうち機会をみてそこにも手を出してみようと思っている。

自分でも情けなくなるほどの方向音痴の僕にとっては、カーナビ無しではこの先どこへも行けない気がする。。

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シルクロードを放浪する老バックパッカーの想い出19 … 海外・WanderVogel2021/10/19

1985年旅のノート抜粋01
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写真:1985年旅のスケッチブック(日記)イラン・イスファハンでの1ページ 抜粋

大学でのワンゲル部で鍛えられたからなのか、国内の山行でもバイクツーリングでも海外での放浪旅でも、しっかりと記録を付ける癖が出来ている。
スケッチを描くのは割と早い方なので、地図にして記録したり、平面/立面/断面図をサッと描いたりするのも割りと得意分野ではある。

旅の最中、チャイハナでお茶している時などちょっとした時間を見つけ、見たこと、思ったこと、食べたものやその感想などササッとノートに書き込んでいく。

町から町へと移動する時には、何に乗ったかとか、周りの人たちはどんなだったかとか、移動時間やその運賃、どこで休憩して何を食べたかなど、今見直してみると結構詳細に記録してある。
今なら何でもデジタル写真で記録しておけば良いのだろうが、1980年代や1990年代ではそうもいかないのでこうしてmemoにして残していた。

町なかの散策では、歩いたルートをこうして時間のある時にパパッと地図に書いてまとめている。
一日1枚ずつ描いているというわけでないが、ほぼ毎日記録しているのでまとめるとけっこうな枚数描いていることになる。


すでに35年以上たっているが、あらためて見直してみると、あの頃(若かりし頃)の自分が何を考えて旅をしていたのか、何に興味を持っていたのか、など、ほろ苦い想いとともに思い起こさせてくれる。この古いスケッチブックをめくると、その町の匂い、吹く風、眩しい陽の光まで周りの情景とともによみがえってくる。

写真だけでは見えてこない、心の内側を覗かせてくれるこの「旅のノート」は僕の宝物でもある。

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山の自然素材を使って作るアート(スズメノヤリ) … Nature Art・Workshop2021/10/18

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「タネ・種子」に注目して作った標本風のサンプル作品:スズメノヤリ(雀の槍)
「森林インストラクターと山を歩き、山で収集したもので作品を作ってみよう」という“森のワークショップ”の一環で作成した、WS用の個人的な「習作」

スズメノヤリ(雀の槍、Luzula capitata):イグサ科スズメノヤリ属の多年生草本。

茎は地中にあり、地表に根出葉を出してそこから10~30cmの花茎を伸ばし、茎頂に1つに集まった花序を付ける。
根生葉はイネ科植物特有の線形の細長い形をしている。
この属の植物は温帯から亜寒帯にかけて分布し、60~80種もあるとされ、日本にはそのうちの10種ほどが生育している。

果実は朔果で種子は3個。種子はエライオソームを含み、それを目当てに集まるアリたちによって散布される。
植物は子孫繁栄のために種子をさまざまな方法でできるだけ広い範囲に散らす仕組みを持っている。
自ら種子をまき散らすもの、水や風の力を利用するもの、動物の毛に絡まって移動するもの、植物たちはその進化に合わせて様々な工夫を凝らしている。

種子散布の一つの方法とスズメノヤリは、アリによって種子を拡散散布させる方法を編み出した。
種子にアリの好む誘引物質(エライオソーム)を忍ばせ、アリに種子を巣まで運ばせるのだ。アリの巣に運ばれた種子はエライオソームだけがアリの餌になり種子そのものは巣の外に捨てられる。まさに、スズメノヤリのねらい通りだ。

こうしたアリを利用した種子散布の仕組みを持っている草本は200種ほどあるという。「アリ散布植物」というのだそうだ。
身近なところでは、スミレやムラサキケマン、フクジュソウ、カタバミ、ホトケノザ、カタクリ、などがある。
どれも種子自体はアリが運べるサイズ(直径1mm程度)である必要があるので、かなり小さい。観察にはルーペが必要となる。

花茎の先端の花のかたまりが、大名行列で用いられた毛槍(けやり)に似ていることが和名の由来だ。
和名に「スズメ」という枕言葉が付けられた植物がいくつかあるが、姿かたちが小さいからそう名付けられるのであろう。

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山の自然素材を使って作るアート(ヒメウズ) … Nature Art・Workshop2021/10/17

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「タネ・種子」に注目して作った標本風のサンプル作品:ヒメウズ(姫烏頭)
「森林インストラクターと山を歩き、山で収集したもので作品を作ってみよう」という“森のワークショップ”の一環で作成した、WS用の個人的な「習作」

ヒメウズ(姫烏頭、Semiaquilegia adoxoides):キンポウゲ科ヒメウズ属(オダマキ属と表記されることもある)の多年草。
関東地方以西の日本各地に生育する。丹沢でも林道の林縁部や畑脇などで普通に見られる。
春早く(3~5月頃)に白い小さな花を咲かせるが、花は下向きに咲くため、気を付けていなければ見過ごしてしまいそうだ。
キンポウゲ科特有の形状を持つ果実(袋果)は3~5個に分かれ、結実すると上を向いて種子散布の準備に入る。果実が熟するとそれぞれの果実は左右に割れて、種子が顔を出す。

和名の「姫烏頭」は、烏頭(トリカブト)に似て小柄であることによる。
全草毒草であるが、中国では葉や根を乾燥させて漢方として解熱や利尿に用いるという。

作品づくりにあたっては、茎も細く、果実も小さいため、何本かをまとめて群生として表現してみた。
果実の中に花が混じっているのがちょっとしたアクセントになっている。

和紙を細く切って何カ所も留めているのだが、出来上がってみるとそれほど気にならない仕上りになっている。

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ミズキの木とアゲハモドキの幼虫 … 自然観察・WanderVogel2021/10/16

アゲハモドキの幼虫
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アゲハモドキはアゲハモドキガ科に属する蛾の一種で、成虫になると毒をもつジャコウアゲハにそっくりの姿になる。

アゲハモドキの幼虫はミズキの葉を食べる。体長3センチほどの幼虫は白い「毛」に覆われているが、実際は毛ではない。 毛に見えるのは幼虫が体表に分泌したロウ分で、柔らかそうに見えるが触るとベタベタした粉末が手に付く。

一方、擬態される側のジャコウアゲハ(アゲハチョウ科)は、アルカロイド毒成分を含むウマノスズクサの葉を食草としている。幼虫時にこの葉を食べることで体内に毒素をせっせと貯えるのだ。
アゲハモドキはそのジャコウアゲハに擬態することで、天敵である鳥から身を守っている。

しかし、幼虫のうちはジャコウアゲハの特徴的な姿とは似ても似つかない姿をしている。鳥に一番狙われやすい幼虫の時はまったく無防備なようにも見えるのだが、もしかすると、このロウ分が非常に不味くて鳥に敬遠されていて、捕食対象にならないのかもしれない。

昆虫の擬態手法にはではさまざまなタイプが見られるが、最も多いのは、食べられないようにするための「擬態」だ。
昆虫は鳥や小型動物の格好のエサになるため、進化の過程でそれを避けるさまざまな工夫を生み出してきたのだ。

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丹沢山中の林道脇にひっそりと咲くマヤラン … 自然観察・WanderVogel2021/10/11

マヤラン:ラン科シュンラン属
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昨日の自然観察でのスナップ。
マヤラン:ラン科シュンラン属の植物。Cymbidium macrorhizon
学名からも解るようにシンビジウムの仲間だ。漢字で書くと「摩耶蘭」

マヤランは根も葉も無い変わった植物だ。
腐葉土のような林床から明るい薄緑色の花茎を伸ばし、今まさに花びらを開こうとしていた。

マヤランも以前に書いたギンリョウソウモドキとまったく同じ仕組みで生きている。地下の菌類(キノコなど菌類の地中菌糸を消化して栄養を吸収している)から栄養を受け取り生存を維持している。菌従属栄養植物と呼ばれる不思議な生態系を持った植物の仲間なのだ。
マヤランは環境省レッドリストでは絶滅危惧Ⅱ類に分類されているが、丹沢では運が良ければ林道脇でも普通に見られる。

怪しい姿をした「ギンリョウソウモドキ」と違い、「マヤラン」の方はいかにもか弱く可憐な姿に見える。
明るい色調の花びらを持つマヤランは自動自家受粉をするので、花粉を媒介する虫に頼らなくても着実に実を結ぶことが出来る。
かたやちょっと薄気味悪い形態をしているギンリョウソウモドキは虫媒花なので、媒介する虫の助け無しには結実しない。姿かたちだけ見ていると全く逆のような気がするのだが、植物の進化というのはまったく不可思議なものだ。

いや、これは人間の一方的な思い込みなのかもしれない。
人間よりはるかに長い歴史を持ち、種類も数も多い「虫」たちにとっては、人の美意識とは全く逆の価値観と決まった植物との間で交わした生存に関する古い契約をいつまでも忘れないでいるのかもしれんな。

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シルクロードを放浪する老バックパッカーの想い出18 … 海外・WanderVogel2021/10/05

スペインコルドバのメスキータ内部
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写真:1997年9月、スペインコルドバのメスキータ内部、「円柱の森」と呼ばれる礼拝空間。

コルドバのメスキータ(Mezquita)は、スペインに現存する唯一の大モスクで、後ウマイヤ朝の至宝とも言うべき建築物だ。
8世紀後半から始まったモスクの建設は何度も増築を重ね今の姿となった。このメスキータ(スペイン語でモスクのこと)で特筆すべきものが、この「円柱の森」とその外に広がる「オレンジのパティオ(中庭)」なのだ。


「円柱の森」は、何本もの円柱によって支えられた天井高さ10mの礼拝空間で、そこには反復し無限に連続してゆくリズミカルな空間が広がっている。
この広い空間を支える無数の円柱は、世界各地から集められた時代も様式も異なる石の柱材を再利用したものなのだ。そのため、長さが足りずに寸足らずな円柱しか集めることが出来なかった。そこで、この高い天井を支えるために考え出された工夫が、この二重アーチ構造というわけだ。

奇しくもこの二重アーチ構造は、赤いレンガと白い石灰岩を交互に配するという斬新な配色デザインを取り入れたことで、世界に類のない唯一無二の特異な造形空間を生み出すことになる。独創的な構造解析手法が美しいデザインへと昇華した瞬間だ。


規則正しくオレンジの木が植えられたパティオは、この「円柱の森」の礼拝空間の外に広がる中庭空間として、メスキータ全体を囲む広大な外壁(回廊)によって囲まれている。
コルドバのメスキータの大きな特徴は、内部空間である「円柱の森」で繰り返される円柱の延長線上に沿って、規則正しくオレンジの木(古くはナツメヤシ、月桂樹などが植えられていたという)が配されていることだ。
レコンキスタ後にカトリック教会として転用されるまでは、この中庭と礼拝堂の間に壁は無く、文字通り空間的にも内部の円柱と外部の樹木のラインが一体化し、視線が礼拝室奥のキブリ壁 ・ミフラーブ(Mihrab)へと流れるように連続していたのであろう。


後ウマイヤ朝、ナスル朝、ムデハル様式の建築と庭園、南スペインには北インドやイラン、トルコなどとは異質の輝きを持ったイスラム建築の至宝が今も息づいている。
1997年9月から10月にかけての1ヶ月間、僕たちはロンダやアルハンブラのパラドールに泊り歩きながら秋色に染まるアンダルシアを旅した。

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シルクロードを放浪する老バックパッカーの想い出17 … 海外・WanderVogel2021/10/04

ラサポタラ宮殿1984
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写真:1984年9月、拉薩の町外れにそびえ建つ「ポタラ宮殿」

ポタラ宮殿の下に広がる一帯は一般のチベットの人たちの住居が建ち並び、細い坂道が入り組んでいて肝心のポタラ宮殿への入口がサッパリわからない。
何度も上っては下ってを繰り返し、途中で出会ったチベット少女に身振り手振りで入口へたどり着く道を教えてもらって、民家の軒先や庭先をかすめながらやっとのこと宮殿入口にたどり着くことが出来た。
ここまで数時間の時を無駄にしてしまったので、入口ですでにヘロヘロな状態であった。宮殿内部への入場料は、1元/人民元(約80円)だった。

ポタラ宮殿下の一画ではすでに中国政府主導の区画整理事業が着手されていて、古い住居群が取り壊され特徴の無いバラック建築に建て替えられていた。素直に考えれば、一見無秩序に見えるこのような迷路のような町並みこそが地域の文化遺産であり、民族の歴史そのものなのだと僕は考えている。中国政府はこれを「汚い非文明的は町並み」ととらえているようだが、その考えは大きな間違いだ。


宮殿内部は王様の住居というよりは巨大な寺院といった印象で、一緒に入ったチベット人数人は敬虔なチベット仏教徒なのであろう、熱心に祈っている。内部には照明設備はあまりなく、わずかばかり差し込む陽の光がいっそう密教的で神秘的な雰囲気を醸し出している。
書かれていた説明書きでは、ポタラ宮の内部には一千体の仏像が安置されているのだそうだ。


それにしてもここラサの直射日光の強烈さはなかなかに過酷である。
バザールでチベット人から麦わら帽子を買う。こういったものは世界共通なのであろうか、日本のものと同じデザインだ。ひとつ5角/人民元(約40円)だったが、なかなか良く出来ていた。
この当時、ラサ市内での人民元の交換レートは、100兌換券=130人民元だった。

ラサには結局1週間滞在したわけだが、高山病と言うか熱射病と言うか、厳しい気候に体力を消耗し、激マズの食事に毎日悩まされ続けたが、それを除けばまだまだ滞在していたい魅力溢れる古都だった。古さの残る歴史的な町並みを維持していられたギリギリのタイミングであったとあらためて思う。
中国政府による歴史的な町並みの破壊は、この後も組織的に進むだろうから1980年代終わりにはまったく別の町になっていることだろうと悲しさがこみ上げてくる。


さて、いよいよラサの町ともお別れだ。
ラサ市内から帰りの飛行機(322元/片道)に乗るため、なぜか前日の朝早くに乗客全員が市内のCAACオフィスに集められた。
そこからオンボロバス5台に分乗し、行きと同じように土ぼこりが車内にまで舞い上がるひどい悪路をひたすら走る。椅子に座っていられないほどの縦揺れに辟易しながらお昼過ぎに途中の待機ホテル?(民航招待所)に到着した。
地元民は1泊2元なのに外国人は4元と倍も取られる。(といっても、差額は160円程度なのだが)

招待所での食事料金も飛行機代に含まれておらず、みな同じ料理を頼むことになる。
8角(約65円)でご飯(お代わり自由)とキャベツ炒めのみ、という素晴らしい料理がテーブルに並ぶ。食事後、収容所のような部屋でラサ市内で買って持って来た「ウリ」を食べ、お茶を飲んで空腹を満たす。
夕食も昼食とまったく同じ料理が出た。当時の日記には、「頭が痛くなってくるほど、不味い!しかも、 きたない!」と記してある。
結局、部屋でウリとヒマワリのタネを食べて空腹を紛らわせることとなった。

翌朝は陽の明けていない6時に叩き起こされ、みないっせいに外に出て並び、ベニヤ板で囲まれた囲いの中に入ってセキュリティチェックと手荷物検査を受け、待合室?で2時間近く待たされる。やっと迎えのボロバス数台が到着し、みなそれに乗り込み走り出すと、わずが10分足らずで滑走路に到着。拍子抜けするくらいの手際の悪さで、いやもうここにきて何も言うことも無くなって、みなさん無言で指示に従っていた。


行きの飛行機では、なぜか大きなザーサイ(搾菜)が一袋とお皿とバッチがお土産として配られたが、帰りの飛行機ではお茶とお菓子とジュース、怪しげな温度計付きのキーホルダー、身だしなみセット(クシと鏡のセット)が配られた。
うーん、行きの飛行機でもらったザーサイ一袋というのが考えてみると非常に微妙な感じだ。(このザーサイ、ラサで食べようとしたのだが、ラサでの食事と呼応するかのように「激マズ」でして、けっきょく全部捨てることになった。)


2時間後、成都(チョンドゥ)の空港に無事に到着し、その足で何はともあれ、包子屋さんに2人して飛び込んだ。包子3皿(24個)と水餃子1皿、スープ2皿を平らげ、やっと人心地ついたのだった。

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山の自然素材を使って作るアート(オランダミミナグサ) … Nature Art・Workshop2021/10/03

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「タネ・種子」に注目して作った標本風のサンプル作品:オランダミミナグサ
「森林インストラクターと山を歩き、山で収集したもので作品を作ってみよう」という“森のワークショップ”の一環で作成した、WS用の個人的な「習作」
それぞれ自分で作った作品(植物の特徴、個性、仕組み)の詳細を良く確かめるためには、ルーペを常に用意しておくことが肝要だと思っている。

オランダミミナグサ(和蘭耳菜草、Cerastium glomeratum):ナデシコ科ミミナグサ属
ヨーロッパ全土が原産地ということで、特にオランダが主要な原産地というわけではない。日本には明治時代末期に帰化していることが確認されている。
今では、外来種として世界中に分布している「雑草」だ。花期は3~5月。
オランダミミナグサの茎はふつう直立し、緑色で全体に腺毛(せんもう)と呼ばれる、触るとべたつく毛が生えている。卵形~長楕円形をした可愛らしい小さな単葉が対生して取り付く。

オランダミミナグサは花弁より萼片の方がかなり短いので、閉じた時に花弁が上にはみ出て見える。
対して日本在来種のミミナグサ(Cerastium holosteoides var. hallaisanense)は、萼片と花弁の長さがほとんど同じで、花が閉じたとき花弁が隠れる。
種子は0.5mm程度のごく小さなサイズだ。

また、在来種のミミナグサは茎や萼片の色が暗紫色で、茎が緑色のオランダミミナグサとは外観でも区別出来る。
ミミナグサ(耳菜草)の和名は、対生する小さな葉をネズミの耳になぞられ、「菜」は、食用とされる植物であることから付けられたようだ。
なかなか可愛らしい命名の仕方でこれには僕も妙に納得させられた。

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