初物・こごめ(クサソテツ)をいただきます … WanderVogel2013/05/01

春/旬のこごめ
- -
雪解け間近な新潟十日町の友人から初物の「こごめ」が今年もたくさん届きました。

こごめ(こごみ)はクサソテツ(草蘇鉄)というのが正式名で、湿気のある陽のあたる沢沿いや川沿いに毎年群生で生える多年生シダの幼葉を言います。
促成栽培も盛んで、東京でもスーパーなどの食品売り場に並ぶことも多くなっていますが、やはり旬のこごめは雪深い土地で育った野生のものにはかないません。

新潟魚野川支流上流域での渓流釣りで新潟に行っていた時には自分でこごめ採りをして持って帰って来たりしていましたが、ここ数年はその時期に行ける時間が上手く取れなくて、友人が採って送ってくれるものを楽しみにしています。

食べ方はおひたしやゴマ和え、天ぷらなどどんな料理にでも良く合いますが、他の山菜と違ってほとんどアクが無いので、僕は歯応えが残る程度にサッと茹でてマヨネーズ醤油でパクパク食べるのが一番好きです。

春の旬を一番感じる山菜です。
以前のblog:http://hd2s-ngo.asablo.jp/blog/2010/05/03/

春色の三渓園・クロバナロウバイ … 花の旅・WanderVogel2013/05/02

三渓園のクロバナロウバイ
- -
またまた三渓園に行ってきました。
工務店をやっている友人が、内部公開されている「旧燈明寺三重塔」を是非見たいというので、案内がてら行ってきました。

写真は園内に1本咲いていたクロバナロウバイの花です。
4/10に行なわれた自然観察会の時には花が咲いていなかったので、ぜんぜん気が付きませんでしたが、花が咲くとかなり目立っていました。

帰って調べてみると、クロバナロウバイはもともと北米東部が原産で、日本には明治時代に渡来したものである、と書かれていました。
変種にアメリカロウバイ(花の香りが弱いようです)という種があるそうで、厳密には違う種だということです。
しかし、私には明確な違いが見てもよく解りませんでした…

クロバナロウバイは、香る濃緑色の葉と多数の花弁からなるチョコレート色の甘く香る花が特徴だということですが、しまった! 花の香りを嗅いでくるのを忘れました。

この花、落ち着きのある花色と芳香が好まれ、茶花としてもよく利用されるということですから、茶人でもある三渓の庭に植えてあるのも納得です。

山と樹木のなぜ? を知りたくて … WanderVogel2013/05/03

樹木の本
- -
表題の「イタヤカエデはなぜ自ら幹を枯らすのか」というのは、この本の内容と必ずしも一致しませんが、「樹木の生き残り戦略」について知るには大変勉強になる入門書です。

日本の山野に自生する代表的な36種の樹木を取り上げて、木々たちがどういう「意思」で自分の居場所を勝ち取ってきたのか、どういう戦略と戦術で命を子孫に受け継いできたのかが明快な文章で読みやすく書かれています。
なかなか面白く興味深い「そうだったのか!」と納得させられる話がたくさん載せられています。

残念なのは白黒の写真しか掲載されていませんので、木の名前を聞いて頭の中に樹形や葉/花などをカラーでイメージ出来ない私などは、読むにあたって「樹木ハンドブック」などの図鑑を傍らにおいて、見比べながら読み進めないと今ひとつピンときませんでした。

今まで、何げなく見ていた山の姿と植わっている様々な木々たちとの間には、「必然」とも言うべき特別な関係があったことを再認識させてくれました。

GWの混雑を避けて、横浜自然観察の森を歩く … WanderVogel2013/05/05

横浜/森の小径
- -
自宅から7~8分 車を走らせると、横浜自然観察の森という横浜最大の森が広がっています。

円海山丘陵地帯に広がる「横浜自然観察の森」「金沢市民の森」「氷取沢市民の森」「瀬上市民の森」「金沢自然公園(金沢動物園)」などがひとつになった広大なエリア(200ha)です。
ハイキングコースにもなっている尾根路をそのまま進むと、鎌倉の鶴岡八幡宮・建長寺裏までも山伝いに歩いて行けます。
「山岳」というほどの高低差があるわけではありませんので、写真のようなある程度しっかりと管理された森の中の小径を散策するといった風情を楽しめます。

自然観察の森(45ha)では、ミズキ、スダジイ、ヤマザクラ、タブノキなどの高木の広葉樹、ヤブツバキ、アオキ、イヌビワ、トベラなどの亜高木~低木の広葉樹が見られます。
また、薪炭材や堆肥を作るために植えられたコナラ、クヌギといった雑木林や、スギやヒノキといった常緑針葉樹の林も広がっています。

ちなみに観察の森だけで45haありますが、これはどれくらいの広さかというと、江ノ島(38ha)より少し大きいくらいの大きさです。
円海山丘陵地帯全体の200haでいえば、みなとみらい地区よりも広いということになりますので、都市部の中に残された自然環境としては「広大」と言ってもいいでしょうね。

谷戸の水辺では「いたち川」源流の自然環境が残され、湿地や沼ではカワセミなどの水鳥も姿を見せてくれますので、バードウォッチングも盛んです。

ここには自然観察センターがあり、日本野鳥の会のレンジャーや友の会メンバーらが、森を守るボランティア活動や自然観察会など来園者の対応/活動支援を行なってくれています。

GWの高速道路の混雑ぶりをニュースで見て、登山計画をすっかり変更して近場の森で森林浴を兼ねた自然観察をのんびりしてやってきました。

横須賀市/葉山町、湘南国際村植樹祭 … 森林インストラクター・WanderVogel2013/05/06

湘南国際村植樹祭
- -
今日(5/6)は神奈川県の横須賀市と三浦/葉山町の丘陵地帯に広がる湘南国際村で開催された植樹祭に行ってきました。

「めぐりの森」と名付けられた丘の頂上付近に3,000本の植樹作業するというボランティアなのですが、大きな目的は宮脇昭先生の植栽指導を実際に体験してみたいということでした。
指導する宮脇昭先生は、東日本大震災で被災した東北地方を始め世界各地で行なっている宮脇氏独自の植樹理論/植栽方法による植樹活動で、植生再生の世界では今一番注目を浴びている方です。

今日の植樹でも、実際に植えられる樹種は22種以上にのぼり、一定のエリアに多種雑多な木々を密に植えていくという、独特で理にかなった植栽理論に基づく方法を実践指導されていました。
植える木々は常緑広葉樹が主体で、高木も亜高木も低木も一緒くたに植える。
木も甘やかしてはいけないのだそうで、競争して育てるということが大切なんだ!とおっしゃっていました。

木々の樹種選択は元々この辺りに普通に生えていた木であるタブノキ、シイノキ(スダジイ)、ヤマザクラ、カシなどの常緑広葉樹の高木を主体にヤマザクラやムラサキシキブといった亜高木~低木類が入ります。

従来の里山二次林で薪炭材やほだ木、肥料として利用するために昔から人の手で植えられていたコナラやクヌギといった落葉広葉樹はもともとの植生では無いということで、植樹リストに入れられていませんし、植栽と言えば定番のスギやヒノキといった針葉樹は(山での植樹では無いということもありますが…)当然のこと1本も植えられませんでした。

実際に植えられた樹種は、タブノキ、スダジイ、アラカシ、シラカシ、ウラジロガシ、アカガシ、オオシマザクラ、カクレミノ、シロダモ、ネズミモチ、ヒメユズリハ、モチノキ、ヤブツバキ、ヤブニッケイ、ヤマモモ、アオキ、トベラ、マサキ、シャリンバイ、ガマズミ、コムラサキ、ヤマツツジ、ムラサキシキブなど、常緑の広葉樹でこの辺りに自生している樹木としては、おなじみのものばかりです。

この苗木も地元で地元産の親木から生産された、地のものにこだわった森づくりを実践しているということです。
たしかに、三浦半島/葉山の森の植生を考えた時には厳密に言えば北関東の同一樹種のものであっても「外来種」と言えますし、ましてや関西/東北方面や日本海側の同一樹種ではまったく違う木であるとも言えます。


苗木を約60cm間隔くらいに千鳥に植えていき、その上に下草が生え延びないように地面に稲藁をかぶせて縄をかけて留めていきます。
この植樹作業を、600人集まった市民ボランティアの手によって3,000本をわずか1時間足らずで植え終えてしまいました。

何よりも御歳85歳を迎える宮脇昭先生のエネルギッシュな行動力と情熱溢れる熱い話し振りには、こちらもパワーをもらいました。

三渓園・横笛庵 … 建築の旅・WanderVogel2013/05/12

三渓園/横笛庵
- -
昨日、今日の2日に渡って三渓園で行なわれた研修に参加してきました。

写真の「横笛庵」は明治41年に建築された田舎家風の草庵で、お茶室としても使われている建物です。
主屋は茅葺き寄棟屋根、L型に付けられた部分は木賊葺き(とくさぶき)というか栩葺き(とちぶき)のようなザックリとした葺き方で葺かれ、入口の庇部分は檜皮で葺かれています。

古い写真を見ると、茅葺き屋根の頭頂部の棟の部分には植物が植わっていました。
これは「芝棟」という仕舞い手法で、山梨県から関東・東北地方にかけての茅葺き屋根の棟にはよく見られた意匠です。

茅葺き屋根の棟部分は茅を高く盛り上げたあと、杉皮などを被せて水仕舞いとすることが多いのですが、その上に芝土を載せて植物を生やして根を張ることで補強する仕舞い方をすることがあります。
これを「芝棟(しばむね)」と呼びます。

棟の芝土には乾燥に強く根の張りがよいという、イワヒバやイチハツ、ヤブカンゾウ、ニラ、アヤメなどを植え込んだといいますが、横笛庵の場合には、イチハツ(一初)が植えられていたそうです。

川崎市にある日本民家園の神奈川の村に移築されている「旧清宮家住宅」にもこの芝棟があり、ちょうどイチハツが花を付け見頃だと言うことです。

ハリエンジュ・ニセアカシアの花 … WanderVogel2013/05/13

ハリエンジュ・ニセアカシアの花
- -
家の近くの円海山ではハリエンジュの花が満開です。

ハリエンジュと言うよりも、ニセアカシアという方が馴染みがあるかもしれませんね。
マメ科の落葉樹のニセアカシアは、明治期に北米から輸入された外来種ですが、花が美しく大気汚染にも強いということで、公園や(治山緑化目的で)山奥の崩壊地周辺にたくさん植えられたそうです。

この木は繁殖力が強くてあちこちで増えすぎて、最近になって環境省はこのニセアカシアを「特定外来生物」として「要注意リスト」に入れ、伐採を勧めているといいます。

といっても、そう簡単にはいきません。
実は、国産ハチミツの約半分は、このニセアカシアから採取されているからです。
ニセアカシアから取れるハチミツは色も香りも良く、レンゲハチミツに次ぐ高級品なのだそうです。

どうなる! ニセアカシア。

円海山の林で見つけたニホンカナヘビ … WanderVogel2013/05/14

ニホンカナヘビ
- -
円海山の林で見かけたニホンカナヘビ。
写真を撮ったあと捕まえようとしたけど、すばしっこくてあっという間に逃げられてしまいました。
二匹いたので、ペアだったんだな。

可愛い顔をしています。

聴秋閣・杉板四半敷きの床 … 建築の旅・WanderVogel2013/05/15

杉板四半敷き床
- -
聴秋閣は二条城内に徳川将軍家の京都の居宅・茶亭として建てられた建物の内の1棟で、家光の乳母である春日局に下賜され東京青山にあった稲葉家下屋敷へ運ばれて明治時代までその地にあったといいます。
その後、一時 新宿牛込若松町の二条邸に移され、大正11年に三渓園に移築され聴秋閣と名付けられました。

外観もプランも極端な非対称デザインでありながら適度な安定感を合わせ持ち、バランスの取れた秀逸なデザインの建物です。
1階はかなり変形な平面プランで正式な茶室としては使いづらそうですが、もともと徳川家光上洛の際のプライベートな空間として佐久間将監に命じて建てさせた(といわれている)建物ですからそういうものなのでしょう。

1階の玄関床(写真)は、柾目/板目の入り交じった杉板市松張りの四半敷き(目地(めじ)が縁に対して45度になるように斜めに敷いたもの)になっています。

通常は石板や平瓦で床を仕上げるのが一般的ですが、ここでは珍しい杉板敷きになっているのが大きな特徴です。

茅葺き屋根の芝棟/アヤメ・イチハツ … 建築の旅・WanderVogel2013/05/17

芝棟/アヤメ・イチハツ
- -
日本民家園に移築されている「旧清宮家住宅」の芝棟に植えられているイチハツ(アヤメ科)の開花にギリギリ間に合うかと思い、時間を割いて見に行ってきました。
しかし残念でした。
すでに花は終わり、葉っぱだけになってしまっていました。

茅葺き屋根の棟はたえず風雨に晒される部分でもあり、その地方によって独特の様々な納まり/種類がありますが、旧清宮家住宅の芝棟はアヤメ科のイチハツ(一初)が植えられています。

もちろん機能的には雨仕舞いのために施されている納まりなのですが、その視覚的な効果は日本の民家の原風景を表しているように思います。

こういった芝棟を持つ藁葺き屋根のある風景は、昭和30年代/40年代始めまでは日本全国あちこちでまだたくさん目にしたのですが、高度成長期に一気に消滅してしまいました。

葺き替えられてからかなり年月の経った茅葺きの屋根に乗るみずみずしいアヤメ/イチハツの葉の色が、枯れた民家の佇まいに新たな生命力を示しているようで春(初夏?)らしい情景を見せています。

以前のblog:http://hd2s-ngo.asablo.jp/blog/2013/05/12/

アクセスカウンター