畑脇でクサギの花が咲き始めました … 自然観察・WanderVogel2017/08/13

クサギの花
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一昨日行った山上の畑脇では、クサギの花が咲き始めていました。

この辺りでも、丹沢の山中でも割りと良く見かけるシソ科(APGⅢ)の中低木で、クザギ・臭木という名前の通り葉っぱなどに独特の強い臭いがあるのが特徴です。
このblogでも何回か登場している「コクサギ」も同じく独特の臭いがありますが、あちらはミカン科ですので、科が違います。

雌雄同株の樹木ですが、花には明確な雄・雌があり、開花1日目は雄性期で、ちょうど写真中央の白い花びらを持った花がそれに当たります。
雌しべも飛び出していますが、その周りにある雄しべもやや上向きにピンと延びきっているのが解ります。先端に淡い紫色の花粉を付けた雄しべが見えます。
花からはけっこう強い臭いが出ていて、昼間はアゲハチョウなどの大型の蝶が集まり、夜はスズメガなどの大型の蛾が集まり、蜜と交換に花粉の媒介を行なっているようです。

花は2日目には雌性期に入ります。
写真の先ほどの花の右側のちょっとしおれかけている花がそれに当たります。雌しべは延びきったままですが、役目を終えた雄しべの方はだらしなく垂下がって元気がありません。
3日目になると、花弁も雄しべも抜け落ちてしまい、雌しべだけになります。

集散花序の形状の花たちはいっせいに開花するのではなく、日にちをおいて時間差で次々に咲いていきます。
写真に写っているだけでも、蕾みのもの、開花して受粉待ちのもの、すでに受粉が完了しているもの、と様々なステージの花の変化を見ることが出来ます。
これを見るだけでも、植物の進化の不思議さ、子孫繁栄のメカニズムの奥深さを感じてしまいます。

自家受粉を防ぐために、花に雄性期と雌性期を持たせる樹木は割りと多いのですが、クサギはそのメカニズムが一番解りやすい花だよね。


先日ボランティア活動に行った本牧の三渓園では、蓮池の畔に中国原産の園芸種のボタンクサギが咲いていました。
ボタンクサギはクサギと同種同属の樹木ですが、花の咲きかたが少し変わっていて、集散花序ではなく球形にまとまって咲くのが特徴です。

臭いだけで言えば、断然クサギの方が強烈で、インパクトが大きい。

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