戸隠山・戸隠神社 奥社・戸隠森林植物園:2 … 山歩き・WanderVogel2013/10/28

ナナカマドとトチノキの黄葉
- -
戸隠神社奥社参道の南側の戸隠高原に広がる戸隠森林植物園はこじんまりとしているが、しっかりとした木道が整備された美しい自然植物園です。

自然植物園内ではスギやモミ、カラマツ、ウラジロモミといった高木の針葉樹に混じって、コナラ、ミズナラ、ブナといった落葉広葉樹を見ることが出来ます。
ここでは、原生林に近い林(ブナ、ハンノキ、ハルニレ、シラカバなど)や複層林の植林地(スギ、カラマツなど)、二次林(ミズナラ、コナラ)など様々なタイプの植生が入り交じっていてそれぞれの趣きを楽しむことができます。
林床も明るくきれいに管理されていて、二次林では広葉樹の幼樹が育っているのも見られます。また一方では、時間の経過と共に少しずつ遷移が起こっているのも感じられ、自然の成り立ちや森林の管理のあり方などの勉強にもなります。

園内には小川がいく筋も流れていて湿地もそこそこの広さを占めていますので、小川に定位している小さなヤマメなどを狙って水鳥も多く集まるようです。
この日もたくさんのバードウォッチャーが木道脇に集まり、水辺に立っている木の枝目掛けて大きなカメラレンズを向けていました。

写真は山沿いで見られた真っ赤に色づいたナナカマドの実と黄葉が美しいトチノキの様子です。
そのほか、ここでは同じく紅い実をつけたマユミやユモトマユミ、ガマズミ、鮮やかな青色の実のサワフタギ、真っ赤に紅葉した葉の下に枯れた実をいく筋も垂れさせたウルシの木など多くの美しい秋の実を見つけることが出来ました。

戸隠山・戸隠神社 奥社・戸隠森林植物園:3 … 山歩き・WanderVogel2013/10/28

クマスギの参道
- -
戸隠神社奥社参道の両側に続くクマスギの並木、林立する柱はまるでギリシャ神殿の列柱を思い起こさせます。
正直いうと、ここに来るまでクマスギという名前をうかつにも知りませんでした。

調べてみると、クマスギは同じく信州長野の須坂市の「市の木」にもなっているそうです。須坂には樹齢300年と言われる「萬龍寺のクマスギ」というのがあって、須坂市指定天然記念物に指定され、その辺りに生えているクマスギの母樹ということです。
ここの参道のクマスギ並木は由緒書きによると「慶応七年(1612年)に戸隠神社が幕府より朱印地を拝領された際に、随神門から500mに渡って約200本のクマスギが植えられた」とありますから、こちらも須坂市萬龍寺に負けず劣らず相当古い歴史を持っているということになりますね。

他の人のblogなどを読んでみると、クマスギは切ると中が黒いので一般に建材には使われないようで、表スギに対して裏杉(野生の天然杉)とも呼ばれるそうです。裏日本系のスギということで耐雪性があり、材の密度も高くて薪にすると火持ちがいいそうです。

今では周りを自然に囲まれたクマスギ並木しか目に入ってきませんが、由緒書きを見ると古くにはこの参道両脇に十数棟の坊や僧院、講堂などが建ち並んでいて荘厳な雰囲気に包まれていたことがわかります。
また、この辺り一帯が戸隠神社の所領として長い間 厳格に管理されていたことが幸いして、この周辺には原始林的な植生が広く残されています。そのおかげで戸隠森林植物園として私たちも貴重な自然を目にすることが出来るのですねぇ~。
やはり「自然は自然のままでは自然足り得ない」ということですね、人の手で管理し守り続けていくことがいかに自然にとって大切なことなのかを再認識しました。

追記:
この杉並木の樹齢400年を超えるクマスギのルーツについて、昨年(2012年)樹木遺伝子研究会のDNA鑑定が行われ、「戸隠 奥社の杜と杉並木を守る会」の発表によると、このクマスギ並木のルーツは戸隠神社中社前の三本杉の一本(お宮に向って右側)だったことがわかったそうです。(観光協会パンフからの豆知識)

アクセスカウンター